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伏木悦郎のブログ一覧

2012年04月11日 イイね!

大本営発表はヤバイ

本当に危ないなあ、と思っている。今に始まったことではないのですが、ある情報がもたらされるとまるで先を争うように同じ論調が溢れかえる。情報源が限られているのだから当然といえば当然なのですが、その情報を伝達する役割の自動車メディアがいよいよ危険水域に踏み入れた。そんな印象を強くしている。

それは、政府の発表を都合よく流す既存マスメディアが、政治や統治機構の制度疲労と同じように時代に合わなくなった現実にも似ている。新聞・TVなどのマスメディアの時代不適合は、上杉隆によってクローズアップされ、先の震災に端を発する原発事故でその存在が露わにされた記者クラブ制度の弊害による。

それはほぼ明らかなのですが、現在の政治や社会の仕組みの中では依然として存在が認められ、その枠組みにおいて機能している。メディアの情報発信に疑問を抱かない(あるいは目を瞑る)人々が多数派を構成し、取捨選択を含む情報の共有によって安心を得る。空気を読むことが善とされるメンタリティに沿った情報空間が、即座に変化する兆候は今のところ見られません。

それと同じようなことがクルマの世界にも言えそうです。政府とマスメディアの関係はそのまま自動車メーカーと専門メディアに置き換えられます。メーカーが生産する製品/商品を扱うメディアなので、取材先がそこに求められるのは当然ですが、正確さを期すために一方的な発表報道に傾くことの危うさは一連の震災報道で思い知らされた最大の教訓だったはずです。

与えられた情報や事実だけに囚われることなく、批評の精神を以て対象に向き合い、自ら経験に基づいて自分の頭で判断する。そういうプロセスを踏まないと、結果として誤った情報伝達や嘘といわれても仕方のない報道が氾濫してしまいます。

いま気になっているのは、旬の話題とも言えるSKYACTIVディーゼルのCX-5と、久しぶりにスポーツカーで盛り上がれることになったトヨタ86/スバルBRZの報道のもたらされ方です。

CX-5のSKY-Dについては、早い段階からクローズドコースでのプロトタイプ試乗があり、正式発表後に東京都内、箱根、九州鹿児島と多くの試乗機会が設定されていました。当初からの評価は、すでに欧州で経験していた最新コモンディーゼルのイメージ通りで、内容的にも高く評価できるものでしたが、気になるところがないわけではありませんでした。

そこで、鹿児島試乗会に媒体から声が掛かったのを受けて、帰路約1400㎞の単独行を試みることで本当のところはどうなの? に応えようと考えました。結果は、メーカーお膳立てのコース設定とは必ずしも一致しませんでした。長い距離をリスクを背負って走ってみて分かることがあったんですね。

86についても、オンロードにおける評価に詳しい説明を要することがありました。BRZについては、袖森ともてぎで少し走らせただけで、オンロードはまだ機会がありません。オーダーしているんですが、なかなかお鉢が回ってこないんですよ。

いつも書いているように、僕はトヨタとスバル、86とBRZを20世紀型の単純な二項対立の構図に当てはめようと思ったことは一度もありません。企画の段階から振り返って、筋道を踏んで行くと86からアプローチするのが自然で、トヨタがスバルBRZの販売を認めた背景は別の意味で興味深い。物事の順序から言えばそういうことになるはずです。

BRZには来週やっと空きが出たので1日だけ試せる予定です。乗らずに書くのはフェアじゃないので、一連のまとめにはもうしばらく時間が必要です。

それにしても、この86BRZ登場による奇妙な空気の醸成は何なんでしょうかね。初っぱなのエンターテインメントとジャーナリズムの狭間はいつも悩みどころではありますが、過去何十年にもわたって専門誌メディアが積み重ねてきた価値観が現実社会(リアルワールド)との乖離を生んでしまったことは間違いないようです。

その一角で何がしかの影響ももたらした者としては忸怩たるものがありますが、これまでのやり方を継続するベクトルには未来がない、と僕は思っています。一気に全部を変えるのは不可能ですが、これまでの経緯を踏まえつつ、最善の道を模索する。

キャリアが問われる同時に柔軟な発想が求められる。一定の年季が必要な、若い世代には対応が難しいテーマなので、ここは身をもってやるしかない。そんな気分でいます。

いずれの中身もここに記すのは何かと差し障りがあるので、DRIVING JOURNALに書き連ねようと思っています。向こうはエネルギー不足でしばらく間が開いてしまいましたが、あそこはサバイバルの砦のひとつ。ぐずぐずしている暇はないようです。

もっともっと多様な意見が本質の部分で語られないと。自らの価値観に囚われる一方で、メーカーからの情報を鵜呑みする自動車専門メディアが揃って間違える可能性は否定できません。
Posted at 2012/04/11 14:06:18 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記
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