
「フェラーリ・カリフォルニアに興味はありませんか?」師走に入ったある日、FERRARIの広報業務を行なっているP社のKTOさんから耳寄りな電話。「あります、あります、大変あります」
「なら、貸してあげます」「せっかくの機会だから、数日間借りられると嬉しいなあ。ちょっと遠出をしてみたいんです」「いいですよ4日間お貸ししましょう」
心待ちにした12月18日がやって来た。いそいそと六本木ヒルズまでピックアップに。FERRARI JAPANは08年からここの37階に本社を構えている。寡聞にして知らなんだ。応対は同社広報のKTAさん。
B4の地下駐車場に案内され、ロッソコルサの試乗車とご対面。ワールドプレミアのパリサロンでも見たし、その後のモーターショーでも折に触れ見ているはずだが、乗るクルマのリアリティは格別だ。何と言っても幅が圧巻だ。
後で調べると、全長4575㎜、全幅1910㎜、全高1325㎜、ホイールベース2670㎜。ドライバーズシートでの取り回しはコンパクトだが、ワイドボディがもたらす量感はやはり世界に冠たるプレミアムのスケール。
オールアルミのボディは1860㎏。4.3Lの90°V8にトランスアクスルの7速DCTを組み合わせ、複雑な折り畳みで収納するメタルトップ機構を備える。タイヤはフロントに245/40ZR19、リアに285/40ZR19を収める。スチールボディだったら2トンは覚悟しなければならなかっただろう。
こういうクルマの場合聞くは一時の恥…で臨むことが望ましい。路上で万歳ほどかっこ悪い話もない。ということで、コクピットドリルは詰まらぬ齟齬のないよう慎重を究めることにした。
しかし、六本木ヒルズから路上に繰り出すときの晴れがましい感覚は久しく味わってこなかったもの。慎重になりすぎて、いきなりミスコースしたりして。ここから八丁堀の編集部に行き、永田町の宿にチェックインしたあと忘れ物を取りに一旦帰宅したり……という話はすでに当日のブログに書いた。
今回は金曜日から月曜日までの4日間、蕩尽の限りを極めようということだが、当然糧を得るための予定は入っているわけで、そのやり繰りの中からビジネスマンズエクスプレスとしての資質を見極めようという魂胆である。
まずはcarviewの忘年会があり、翌日の昼までに栃木に行き夕刻まで用足しが予定されている。その後はなるべく長距離を走りたいが、北方面は雪の恐れが大。当然西行きしかなく、しかも月曜16時から青山で重要なインタビューの予定が入っている。
日数は4日あるが、間隙を縫って可能な限り距離を伸ばす。忙しいクルマ好きなら誰でも抱える悩みを、最新のFERRARI CALIFORNIAは解消してくれるのか、そうでもないのか。もうね、買った気になって確かめたいことをチェックする感じ?
寸暇を惜しんで飛び回る。元気がないとなかなかできないけれど、優秀なお金持ちというのは大体元気が良いもんである。俺の場合は元気だけはあるが、懐は悲しいほどに軽い。ビンボー臭いのは論外だが、実際どのくらいお金かかるのかね? 素朴な疑問に答えるのは楽しい。
しかし驚いたな。予想を遥かに上回る乗り心地の良さ。シャシーとパワートレインを統合制御するMANETTINOは、CONFORTばかりでなくSPORTを選んでもフラットで上質感の高い乗り味、乗り心地を印象づける。
ボディの精度と剛性の高さ、ステアリングフィールの上質な仕上がりと、回転域に応じて音色を変えるサウンドチューンの妙……何処をどう走っても乗り飽きることがない。本当に良く考えられている。
芦ノ湖スカイラインでは撮影もそうだが、走ることにどれだけ夢中になったか。東名/伊勢湾/名神と高速道路を乗り継いでも退屈とはまったく無縁。変幻自在のスピードの幅の広さがこれほどまでに豊さをもたらすとは……。
道中の様々なシーンについては
こちらを参照してください。写真に少し(かなり)コメントを付けてあります。
オープンにしてもウィンドディフレクターを付ければクローズドボディとそう変わらぬ快適性が約束される。トップを閉じればもちろん快適さに何ら支障は残さないだろう。
時間に余裕があって、せめて高速道路にコストが掛からないという状況が用意されるなら、このクルマで日本国中を走り回ってみたい。その足の長さには、正直驚いたし、もしも叶うなら次に手にしてみたいと真剣に思わせた。
4日間の総走行距離は1485.8㎞。プレミアムガスの消費量は263.88L。燃費は5.63㎞/Lとなった。時間に追われていたこともあり、エコランに徹することはできなかった。
まあこんな走りをしたわけです。可能ならどこまで伸びたか?これは次のお楽しみということにしておこう。
けっして、安価なクルマでもランニングコストが小さいクルマでもないけれど、得られる満足度は、そういってはおこがましいが十分支払った額に見合うものという気がする。
願わくば、そう遠くない将来、東京の南青山6-4-10にオープンする
ロッソ・スクーデリア(Rosso Scuderia)ショールームを訪れて、好みのカリフォルニアをオーダーできる境遇を得たいもの。生きている限り可能性はゼロではない……いつもの金言を胸に、もう少し頑張ってみよう。
久しぶりに奮い立たされたような感慨を味わった。FERRARI CALIFORNIAとの遭遇は、僕にとって2009年最大のトピックだったと思っている。
淑女が下着を脱ぐような……なんだか艶っぽい動作。これは意図的なのだろうか?
Posted at 2010/01/02 00:20:37 | |
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