
ここに来て、ニューモデルラッシュが続いている。3.11の大震災がなかったら‥‥言っても始まらないタラレバですが、もう少し空元気で突っ走れたような気がする。いや、そうでもないか。津波や原発災害に直面して、それがない状況を想像することの方が難しくなっている。年明けのデトロイトNAIASで心新たにし、3月のジュネーブから戻った一週間後にあの事態が訪れるなんて。その後、4月に上海、9月にフランクフルトIAAと巡って来たけれど、それでも世界は何事もなかったかのように回っていた。
さすがに、節電が合い言葉になっていた夏場までは国内で新たなクルマの話題で盛り上がることはなく、半年をどう過ごしてきたかもはっきりしない。その反動なのか、それともさすがにじっとしていても仕方がないということか。ギュウギュウに詰まったスケジュールに、往時の活況が戻った錯覚に陥るが、はっきりと時代が変わったと意識するきっかけとなった天災は、今まで通りのクルマ作りでいいのだろうか? その思いをより明確にした。
デミオに次ぐマツダ・SKYACTIVの第2弾アクセラは、9月末に試したフルSKYACTIVのCX-5の露払いとなるクルマ。ステップATのSKY-DRIVE採用したところが一歩前進といえるけれど、プラットフォームの新設計が前提となる切り札の4-2-1排気は未採用。91RON (リサーチ法オクタン価)では売り物の高圧縮比も12.0止まりとジャンプ感に物足りなさを残す。

新旧乗り比べてみれば、進歩は洗練熟成強化の3拍子で納得することができる。もともとデザイン的には出色と言えるものがあって、Cセグ・ハッチバックとしてはVWゴルフと比べてもそう極端に見劣りすることもない。実際フランクフルトで乗ったマツダ3は、現地で多くの同形モデルとすれ違ったし、何より存在感のあるスタイリングに誇りを持つことができた。でもな、6速AT一本で走りの評価となると箱根をビュンビュン飛ばす以外に明確なストロングポイントを見出しにくい。
上が新で下が旧


もともと80年代に一斉に花開いた感のある2ℓ以下のコンパクトカークラスのFF化は、FFのネガ潰しと普及促進のためのAT化と、それに伴う均質化を逃れる方策としてのハイパワー化がセットになって推進され、その果てに4WDを用意することで右肩上がりの方向性に整合性を持たせようとした。FF化、AT化、高出力化は、高速化を優秀性の尺度とする20世紀型の価値観に照らせば当然であり、必然でもあったわけだが、その先に理想郷などないことはもうすでに誰もが気がついている。
同じく上新、下旧


必要なのは何で、求めるべきは何か? 頭を切り換えないと、良いのに満足が得られないという、欲しいクルマにならない状態ばかりが膨らんでしまう。SKYACTIVの難しさは、右肩上がりを是とする旧来の価値観で優秀性を語る以外に手が見出せないことにある、と思う。従来比では確実に洗練度を高めているけれど、日々の生活感を変える商品としてのインパクトはない。
少し前に手にした、ナチュラルなドライビングスタイルの魅力を再認識させてくれるニュープロダクトの魅力は、良い悪いという二項対立ではなくて、面白さというシンプルな価値に賭けたところにある。性能なんか後でそれぞれの好みに合わせて仕立て上げればいい。要は、素材性の高さで勝負という心意気や覚悟の問題か。プラットフォームから一新したフルSKYACTIVのディーゼル+6MTのアクセラなんか目の前にあったら、思わず手が伸びてしまうかも‥‥ではありますが。
そういえばこれも先々週試乗したカムリ・ハイブリッド、乗ると思わず唸る出来ばえなんですが、コンサバの極みといったスタイリングにその味わい深さの欠片も見出せない。その辺の話は本編でじっくりやることにしましょう。

中秋のなんとか‥‥は、10月23日(日)AM6:00頃から昼頃まで箱根ターンパイク大観山パーキングにて、ということで。
Posted at 2011/10/20 01:10:33 | |
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