
沈思黙考、無慮一月。書きたいこと、書かねばならぬこと、書くべき事柄は山積みのまま今年も残すところ3日余りに。昨日やっと整理がついて、Starting overの道筋が見えてきました。頼るべきは遠い親戚よりも家族。娘の成長にかつての血気盛んだった自分を重ね、家内の開き直りに尻を蹴飛ばされた気分を味わった。
元より人と同じであることを良しとはしない。人が右を行くと言えば左にsomething elseを見出す傾向にあった。同じ釜の飯を食うことの意味も重要性も心得ていて、ご相伴の作法ぐらいはわきまえているが、皆と同じことで安心するMe too conceptには与しない。
誰かが豚カツを食うと言えば、なら俺は生姜焼き。天の邪鬼というより、違うモノ見たさの好奇心を優先することをあえてした。空気を読むことより、違う可能性を探る方が面白い。多くの人がそうするなら、一人くらいアホがいてもいいだろう。
そういう感覚は、和を持って貴しと成す……聖徳太子の十七条憲法の第一条にあるこの国の民の基本的な生活信条の象徴として用いられることの多い言葉……とは対立するようだが、十七条を詳しく読み解くと無条件の和が目的ではなく、互いに聖人ではなく凡人であることを認め合い、当然存在する多様な意見を私情を排して公正な議論によって公共の利益を求める。寄らば大樹で靡(なび)くのではなく、率直な議論によって打開策を得る。
おおっ、最初こんなこと書くとは思いも寄らぬことを書いている自分に驚くが、要するにまず自分の頭で考えて、行動を起こして、何がしかの手応えを得てから先に進みましょうというのが、まあ俺流だ。
それがあっているかどうか。ここまでの沈み具合を見ると丸出駄目男だが、メディアの側に立つ語り部が産業生産側の業者の如く宣伝広告の徒と化しては拙い。我等のクライアントは、資金豊富なメーカーなどではなく、読者でありまたクルマのユーザー。情報源にまとわりついて下流に配信するのではなく、情報源と対峙してあるべき姿を模索する。難しいけれど経験によって学び、多様な個性が切磋琢磨してより良い理想に迫ろうとする。
そのためには、皆で揃って同じことをしていたらだめだろう。多様なニーズになんか応えられっこない。独りで突っ張るのはとても寂しく辛いことだらけだけれど、それが仕事ではないか。そういう考えの結果として今の僕がいるわけですが、評価の手応えは薄い薄い。

今年もデトロイトNAIAS、ジュネーブSalon International de l'Auto、北京、パリMondial de l'Automobile、ロサンゼルスとルーティンワークの国際モーターショーを5つ巡り、北京以外ではそれぞれいくつかのクルマを現地でプレスツアーの試乗会とは別次元で試してきた。
フランクフルト~ジュネーブ間のVW UP!とBMW520d、パリのプジョー208HDi、LAのアコードEX-L/PHEV、アバロンhybrid、サイオンFR-S、そして極めつけの今年一番のインパクトを得たTESLAモデルS。娘に叱られながらも無理を貫いた爪に灯をともす取材旅行の成果は、実入りを遥かに上回るものがあると自負している。

その少なくない情報量を反映する気力が萎えていて、一月が経ってしまった。反省は猿でもできるのでしない。少しずつ今関わっているメディアを介して届けるのが先決だろう。
還暦の年男の今年2012年もシュンと過ぎちゃった。幸い来年の展望は拓けてきた。デトロイトNAIAS行きは決まっているし、ジュネーブにも切符は手配したので多分行く。まだ身体だけは元気なので、あとは気持の持ちよう。トヨタがピンクのクラウンを売ると明言したことだし、時代は間違いなく変化の方向へと動き出した。というわけですので、皆さんご心配なく。残り少ない今年をつつがなくお過ごしください。
では、これからcarviewの忘年会に行ってきます。
Posted at 2012/12/28 18:04:01 | |
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