
★今回のネタは完全に自分への備忘録ですが、読んだ方にもし需要があったりした場合は私が喜びます★
少し前の事ですが、手持ちのオーディオ類でレコードプレーヤーを除き(実質)最後まで残していた3ヘッドカセットデッキを売却しました。
このデッキはSONYのTC-K555ESJと言うドルビーS搭載の3ヘッドデッキでしたが、フルオーバーホール後に大して使わずに7~8年放置していたらカセット挿入扉が開閉しなくなり、テープ走行系も動かなくなってしいました。
SONYのサイトで調べると既に修理受付は不可能(と言うか全国各地にあったサービスセンター自体が、殆ど閉鎖されていた)であり、諸々調べてみると、技術者が個人で修理を請け負うサービスが結構あることが解りました。
と言うことは、15年くらい前にベータビデオデッキ修理で持ち込んだ大宮のサービスセンターは既に存在しないのか・・・悲しい。
調べた個人修理サービスの中から1箇所をチョイスして修理を依頼してチューニング含め見事復活となったのですが、折角修理しても気の利いたCDプレーヤーは既に手元には無く、ダビング(笑)用途として今後録音する機会も無いことから、また壊れる前に売却することにしました。

また、手持ちで割と高級なグレードのカセットテープが未開封のまま何本もあったので併せて売却したのですが、改めて手持ちの録音済みカセットテープを聴いてみると、令和のデジタルサウンドに慣れた耳であっても恐ろしく高音質であったことに驚きました。
折角なので、いまさら誰の&何の参考にもなりませんが(笑)カセットテープの所感を残しておこと思った次第です。
録音済みテープには、このSONY機を買う前に使っていたVictor製のCDプレーヤーと3ヘッドデッキ(記憶では確かXL-Z521とTD-V631)の組み合わせで録音したテープもありましたが、そちらも十二分に良い音で録音されていました。

本デッキは1993年に発売された、当時のSONYフラッグシップ(ESシリーズ内)モデルでした。
確か1980年代からES⇒ESD⇒ESG⇒ESL⇒ESA⇒ESJみたいな名称で次々にモデルチェンジして発売されてた記憶(30~40年前頃の記憶)があり、このESJ以降ドルビーNRのSタイプが搭載されたはずです。
高音質モデルの定番中の定番であるオートリバース無しの3ヘッドデュアルキャプスタン構造ですが、録再ヘッドにアモルファス(非晶質)合金を使ったり、テープ送りのキャプスタン軸に人工サファイアを使ったりと、これでもかと言うバブル時代感が満載で嬉しくなってしまいます(笑)

そして手持ちの放出した未開封カセットテープ群(写真は一部)。やはりカビを生やして腐らすのは勿体ないのですから。
元々SONY派だったのでSONY製品が多いですが、AXIA(富士フイルム)も少し残っていました。記憶ではmaxell(日立)のMetal VertexやUD系列なんかも残してた記憶がありましたが、過去に手放していたのか残ってませんでした。

そして1本だけ開封して結局未使用だった、Masterシリーズの第2世代「Super Metal Master」。確か1本2,000円位した記憶がありますが、カセット本体がオールセラミック製でケースがアルミ製とバブル臭満載な拘りが凄い。
第1世代のMetal Masterはそれなりに使用しましたが、当時はCDプレーヤー(SONY CDP-777ESAを所有)もカセットデッキ(本機)もセットで揃ってた時代に、なぜSuperの方は1度も録再しなかったのか不思議でならず大変勿体無いことをしました。(その頃にはCDをレンタルでは無く、中古店やネット通販で簡単に手に入る時代になっていたからか?)
今回手放す前に録音してみれば良かったのでは?という話もありますが、録音ソース側の機器に納得いくものが無いので泣く泣く未使用品としてデッキとの抱き合わせで手放しました。
さて、ここから一部だけですが、今更ながらのカセットテープ試聴レポート。SONY製品から5種類です。

【HF-Pro・TypeⅠ(Normal)】
非常に柔らかい音で、特に低音が豊かな感じが印象的。
とは言え高音もしっかり出ていて物足りない感じは皆無だが誇張した感じも無い。所謂ノーマルテープらしい音と言えるだろうが、中低音の柔らかい気持ちよさが特に好印象。
※写真は未開封が最終モデルで、録音済みは1世代前のもの(モデル名が中央では無く右上の線上に印字される)。
SONYのノーマルテープ(HFシリーズ)はラインナップが多かったが、この1グレード下のHF-ESだと全般的に音のクリア感や豊かさが落ちて格下感を感じられたので、このProグレードは相当抜きん出た性能だった様です。

【UX-Pro・TypeⅡ(High)】
低音から高音まで音がハッキリ&クッキリ表現され、特にロック系のアタック音はパワフルな音が印象的。ダイナミックレンジが広いと言う表現がピッタリな実力モデルと言った感じで、個人的に好きなテープです。
これまた1グレード下のUX-Sだとクリア感及びダイナミック感がガクンと落ちてたので、ハイポジもProグレードの名に恥じない作りだった様です。
もしかするとProの上位にMasterグレードがあるので、解りやすい個性を出して差別化を図ったのかも知れません。
因みにこのUX-ProとノーマルのHF-Pro(前述)はテープガイド部分にセラミックブロックが仕込まれており(効果は忘れた)非常に凝ったカセット構造になっています。
※写真は共に最終モデルですが、1世代前は他モデル同様に右上の線上にモデル名が入るデザインでした。

【UX-Master・TypeⅡ(High)】
ハイポジのフラッグシップモデルのMasterグレードで、カセット本体が全部セラミック製という気合いが入りまくったテープですが、個人的には優等生を狙いすぎたのか低音から高音まで非常に綺麗に出てはいるものの、それ以上でもそれ以下でも無いと言う印象で、妙にパワーの無いメタルテープという印象でした。
いや、全然いい音なんですけど、何故か印象が薄くてですね。結局の所、音が好みでは無かったのだと思うのです。
他グレードがモデルチェンジした際にも、このMasterグレードだけは継続販売だったので、作る側も差別化が色々難しかったのかな?と想像しています。

【Metal-S・TypeⅣ(Metal)】
メタルテープの最廉価モデルでしたが、なかなかにメタルテープらしいクリア&パワフルで優秀な音を出してくれて、個人的に大好きなテープです。
正直、この後世に多数発売された廉価版のメタルテープ群よりも音にパワーがあると言うか、楽器の質感表現が凄く良かった印象があります。
この一つ上位にMetal-ESと言うグレードがありましたが、価格差程の違いを感じなかったので、当時は安いこちらを愛用していました。

【Metal-Master・TypeⅣ(Metal)】
もう文句なんて一つも無い、圧倒的な音とはこの事でしょうね。今聴いても本当に度肝を抜くほど良い音です。
CDからダビング(敢えてコピーとは言わない)したものなのに、高音・低音とかの再現性が良いとか言うレベルでは無く、何か鳴らしている楽器が普及品から高級品になった様な錯覚まで覚えます。
当時のアナログ技術の限界をメーカーが突き詰めたんでしょうね。フルセラミックのボディ採用など含め、開発者の意地と根性を見た気がします。
これを聴くと、やはり後継のSuperMetalMasterの実力を聴いておきたかったです。今更ですが。
レポは以上です。今更過ぎて情報の需要は皆無でしょうが、今後のカセットテープ購入時の参考にしてください(笑)
折角なので音の雰囲気だけでも記録したくて、スピーカーからの音をスマホ(iPhone14)で撮ってみましたが、マイク性能が冗談抜きに凄いですね。撮影後に聴いてみたら再現性に驚いたのと、PCで聴いても凄いんだから並のビデオカメラは要らないんじゃね?と思ってしまいました。
流石に収録されている曲に著作権あるでしょうから、動画の公開は無理そうです。(最近ホント厳しいらしい)
あと、一度で良いのでType-Ⅲ(FeCr(フェリクローム))テープの音を聴いてみたかったです。(SONYは対応デッキを結構長く作っていたらしい)
自分が小学生くらいの頃、家にあったONKYOのステレオコンポにはTypeⅠ~Ⅲまでのテープセレクトスイッチがあったのを懐かしく思い出し、ネットでオーディオ機器のデータベースを見つけたのですが、当時(40年以上前)家にあったデッキも掲載されていてビックリ。
https://audio-heritage.jp/ONKYO/player/ta-630.html
こんな型番だったんだ・・・今更ながら初めて知りました。当時は高音側がNormalだと15Khz迄だったのね。
アナログテープを聴く時間は昔の思い出がよみがえり、とても良い時間を頂くことができました。(満足)