
先日のブログで書いたように、Moddoreは
ちゃんと動くようにはなったものの、次回使うときのための準備動作をする機能がありません。
ちょっと話がそれますが、その先日のブログで
動いている様子を示すためにアップした動画が、
8000回(!)を超えて見られていてビックリしています。
みんカラに動画を載せるためだけにYoutubeを使っていて(みんカラがそれしか対応していないから)、Youtube単体で見られることは想定していないのですよね。なので、
なんの解説もしていないから、動画だけ見てもなんのことやらわからないと思うんですけど‥‥(^^;。
スマホ縦撮りのショート動画はどうやら見られやすいようです。
さて、その機能不全を解消するため、次回の引き込み動作の準備をする機能を作る目的で
「2ポジション3極双投モメンタリスイッチ」を入手しました。タイトル画像の真ん中のスイッチがそれです。
全体から見ればたった一個の小さな部品です。しかも、スイッチなどというものは、電気が使われ始めたときからある超古典的な部品です。
でも、スイッチって案外いろいろあって面白いのですよね。それで、スイッチを眺めていて、ちょっと説明してみようかなと思い立ちました。使う
スイッチそのものの話と、Moddoreで
それがどのように機能するのかについてです。
なお、
電気は素人で全然詳しくはありませんので、その前提でお読みください。電気の知識は高校物理のレベルです。
まず、入手したスイッチは、
「2ポジション3極双投モメンタリスイッチ」です。
そんな呪文のような名前を言われてもなんのことかわからないよと思われるかもしれませんが、一般的な生活の中でまず聞くことはないと思うので、わからないのが普通だと思います。私自身も最近まで名前を知りませんでした。というか、欲しいスイッチはこんな感じって頭でわかっていても、それがどう呼ばれるものなのかがわからなくて、
やりたい機能からいろいろ探して、その結果として知ったというのが実際です。
では、
「2ポジション」「3極」「双投」「モメンタリ~~」なる呪文のうちの
「双投」から説明していきましょう。
まずこの
「投」って何?って思いますよね。スイッチが何を投げるの?って。

これはどうやら、英語の
「throw」をそのまま訳して
「投」にしたようです。
throwには物理的な機械のギヤやレバーを入れる/切る、連結する切り離すという意味が元々あるようです。電気が使われるようになってから、電気の入/切もそのニュアンスでthrowと呼ぶようになったのでしょう。
I had the microwave, toaster and heater all on at the same time, and I threw the breaker.
なんて言う使い方ですね。「電子レンジとトースターとヒーターを同時に使ったら、ブレーカが落ちた(切れた)。」です。
このthrowは決して日本語の投げるという意味ではありませんね。「ブレーカが落ちた/切れた」であって、「(怒りのあまり)ブレーカを壁から引っぺがして投げた」のではありません。そんなことをするよりも、契約アンペアの変更を考えた方がいいでしょう。
昔の人はそれはわかりつつも、漢字の「投」に入/切の意味がないこともわかりつつも、throwを日本語訳するときに「投」の漢字を当てたのでしょうね。もしも現代だと和訳をあきらめてカタカナにしそうです。
で、投が入/切を示す意味の言葉になったとして、
一つの電気経路のONかOFFかを切り替えるスイッチが「単投」と呼ばれ、
二股経路のどちらかに切り替えるスイッチのことが「双投」と呼ばれます。英語だと、single-throwとdouble-throwです。

こういう双投スイッチがあることは知っていても、なかなかその名前は出てきませんよね(知っている人には当たり前!?)。
双投スイッチってわりと身近に使われていて、例えば、廊下の両端に廊下の照明のスイッチに使われていますね。端っこのどちら側でも点けたり消したりできます。

Moddoreでもこのリンクを引き込み終えたときに電源を切るために使っているこのリミットスイッチが双投スイッチです。

端子がどう接続されているのかわかるように、絵が描いてありますね。
ただしModdoreではこのスイッチの双投の片方しか使っていません。通常は電気を流す側に繋いでいます。リンクが当たると別の方に切り替わるのですが、そちらには何も繋いでいないので何も起きません。
さて次に
「3極」にいきましょうか。
「極」とは、接続・切断する電気経路の数のことで、3極とはそれが3つあるという意味です。極は英語ではpoleです。3極ということは、一つの物理的スイッチの操作で3つの独立した電気経路が切り替えられるということです。1経路しかないものが「単極」、2経路あるものが「2極」または「双極」、N経路(Nは3以上)あるものが「N極」と呼ばれます。
例えば、2極単投スイッチだと、こういうスイッチになります。
点線で示したところが物理的に一緒に動きます。
私がModdoreの改良で使いたいのは、3極双投スイッチなので、こういうスイッチですね。
で、実際のスイッチの裏側の写真がこちら。

押すところは1個しかないスイッチなのに、下の端子は全部で9個もあります。この9個の端子が上の模式図にそれぞれ対応しているということです。
そして次に
「モメンタリ」はなんぞやです。
スイッチには、
「モメンタリ」とその対語となる
「オルタネイト」という2種類があります。これは漢字を当てていないカタカナ外来語ですね。モメンタリはそのまんま英語のmomentaryで、意味は「瞬間的な」です。オルタネイトもそのまんまalternateで「交互式の」という意味です。押している間だけ状態が変わるのがモメンタリスイッチで、どちらの状態でもそのまま保持するのがオルタネイトスイッチです。

そのまんまですね。タイトル画像の奥の左右のスイッチが、それぞれオルタネイトとモメンタリです。
オルタネイト動作するスイッチの説明には、ラッチ式とかロック式とか書いてある場合もあります。モメンタリスイッチのことが「without lock」と書かれていたりとかね。
ちょっと脇道にそれますが、車の発電機のオルタネーターも同じalternateから来ています。alternating current generator(交流発電機)の略ですね。alternating currentが「交互にかわる電流」で交流です。交流で発電した後にダイオードで整流して直流にします。ちなみに、オルタネーターが登場する前のダイナモは、整流子とブラシを使った直流の発電機でした。
最後に
「2ポジション」ですね。
双投スイッチの場合に、2ポジションスイッチと3ポジションスイッチというものがあります。

この図にあるように、
両方OFFにできるものが3ポジションということです。3ポジションスイッチは、以前に、
エアコン吹き出し口の切り替え機能を回復するための邪道な修理で使いました。
今回は2ポジションが使いたいスイッチです。
ということで、スイッチそのものの説明はこれくらいにして、使いたいスイッチ
「2ポジション3極双投モメンタリスイッチ」をModdoreの改良でどのように使うのかについての話に移りましょう。
やりたいことは、
(1) 引き込み動作のときには、
遅延タイマーで時間が経った後だけにモーターに給電し、モーターの回転位置を戻す操作のとき(次回準備)には、ボタンを押せば
いつでも給電できるようにする、
ということと、
(2) 引き込み動作と回転位置を戻す動作とでモーターを
逆に回したい、
という2点です。
(1)のために双投スイッチを1極使い、(2)のために2極の双投スイッチを使います。
(1)は、モーターへの入力電源を
遅延タイマーの負荷出力にするのか、常時電源にするのかを切り替えればいいということになるので、一つの双投スイッチがあればそのまんまいけます。(2)は、
極性反転スイッチを作るということそのものなので、2極の双投スイッチがあれば作れます。したがって、合わせて3極必要ということになります。3極双投スイッチがあれば、この(1)と(2)とを
一つの物理的な操作で同時に切り替えられるわけです。
そしてモーター利用方法としては、
遅延タイマーで引き込む動作が標準的な状態で、一時的に回転位置を元に戻す動作をする操作になるため、モメンタリスイッチが目的に合います。また、状態2つの間の遷移でよくて、両方ともにOFFにする必要はないので、3ポジションはいりません。
回路図でもうちょっと説明すると:
まずこちらが、まだ電磁クラッチが使えると思っていたときの最終回路図です。
電磁クラッチが24V入力でモーターが12V入力なので、モータに入れる直前に降圧コンバーターを間に挟んでいますが、この段階では、遅延タイマーからの負荷出力(load)をそのままモーターの入力に繋ぐ回路になっています。モーターはリンクを引き込む一方向にしか回すことはなく、リンクを伸ばすときは電磁クラッチを切ってフリーにするだけでいいのでそうなっています。
これに対し、電磁クラッチをやめて、物理的にレバーを当てて力を伝える方法に変えた後においては、モーターに直結したレバーの回転位置を次に動かし始める適正な位置に戻す必要があります。このとき、逆回しにできる方が望ましい。
ということで、それを実現する改良回路がこちらです。
遅延タイマーの負荷出力(load)と常時電源とを双投スイッチで切り替えられるようにして、(降圧コンバーターを介して)モーターに繋ぎます。「スイッチを押している間だけは、遅延タイマーとは無関係に電気をモーターに送る」ということです。さらに、モーターへの入力の直前に、極性反転のための2つの双投スイッチを入れます。この3つの双投スイッチを全部連動して動くものにすれば、「スイッチを押している間だけは、引き込み動作とは逆方向にいつでも回転できる」ようになるわけです。
これで完成でもいいのですが、電磁クラッチを使わなくなったため、24V系を直接使うところがなくなりました。そのため、最初の入口の段階で12Vにしてしまえば、全体をもうちょっとシンプルにできます。それがこちら。
基本は同じで、スイッチを押している間だけ遅延タイマーとは無関係にモーターに給電するのと、そのとき同時に電気極性を反転させる仕組みです。
これをコントローラボックスの中の部品の配置で示すとこんな感じになります。

2ポジション3極双投モメンタリスイッチを穴を開けて取り付けて、それ以外の部品配置はそのままで配線の取り回しだけを少し変えれば改造できます。
‥‥と、こんなことを考えて、2ポジション3極双投モメンタリスイッチを探してアリエクで探して先々週に注文していたものが、今週になって届いたのでした。
さあ、あとはそのスイッチを組み込んで回路図の通りに改造するだけですね‥‥、‥‥。
‥‥
‥
‥‥
‥‥‥と‥‥‥いう
つもり‥‥‥だったのですが‥‥、
‥‥
‥
‥‥
先週の動作テストで、思いのほかドア用を流用した
スライドロックの回転ノブの操作感が悪いんです。ちょっとしたことではあるんですが、その一手間がUX的にもかなり印象がよろしくありません。
そもそもがちょっとしためんどくささを解消するための装置なので、この装置を動かすための操作にめんどくささがあってはならないわけです。
装置の存在意義に関わります。
どうしようかな‥‥スイッチがさっさと届いていたら、そんなことを考えることもなく改造していたんだろうけどな‥‥。幸か不幸か、どうしようか考える時間がたっぷりあったんですよね。
‥‥で、結局‥‥、やっぱり2ポジション3極双投モメンタリスイッチを使った上述の改良はやめることにしました!
『長々と書いているこのブログはいったい何なんだ!』
ということでもあります。(汗)
ということで、ロックのノブ操作を排除する違う作り方で作ることにします!!
‥‥それでいろいろ探して‥‥
使えそうな
新たなキーパーツを見つけました。
DPDT(Double Pole Double Throw:双極双投)リレーを搭載した汎用の直流モータードライバです。しかも399円と安い。
リレーとは、(微小な)電気信号を使って大きな電力を使うもののスイッチを入/切することができるスイッチの仲間です。こういうやつですね。
見つけた部品は、
2つのトリガー入力信号を持っていて、それぞれで順方向開始、逆方向開始の動作開始指令ができます。かつ、それぞれの
回転を停止する信号線も持っています。なので、主電源ON信号で逆回転開始して近接センサでその回転を止めるなんていうようなことがやれます。自動化できますね。これとソレノイドアクチュエータでレバーのロックの出し入れをやれば、全部自動化できそうです。
ということで、どういう感じに作ろうか回路図を書いてみました。
うーん、それなりに
大幅な変更になりそう。
さらにはコントローラボックスの中の部品の配置を軽くやってみました。
うーん、もう
完全に作り直しですね。穴位置も変えないといけないし、部品が増えちゃってギリギリなんとか収まるか‥‥、今まで使っている箱に合わせて本体ができているので、何とかして同じ箱に納めたいところ‥‥。
ということで、この新しい改良に使う部品は、まだまだ全然届いていません。
ちょっと改良はお預けです。
≪つづく≫