
「皇室献上桃」詐欺未遂疑いで東京の男逮捕 宮内庁関係者装う
2023年07月29日 08時00分
男が宮内庁からの返礼として示した木札(一部を加工しています)
宮内庁関係者などを名乗り、皇室への献上品名目にモモをだまし取ろうとしたとして、福島北署は28日午前10時25分ごろ、詐欺未遂の疑いで、東京都練馬区の職業不詳の男(75)を逮捕した。
逮捕容疑は、5月下旬ごろ、皇室への献上品を選定するなどの手続きを行える立場にないのに、宮内庁関係者などを名乗り、福島市の70代農家男性にモモの献上を依頼し、モモをだまし取ろうとした疑い。県警捜査2課は、捜査に支障があるとして認否を明らかにしていない。
同課によると、男は宮内庁関係者ではないという。男性は知人から男が「宮内庁関係者ではない」との情報を聞いて今月、同署に被害届を出した。
県警は、宮内庁関係者を名乗る男に実際にモモを献上したという農家の情報を把握していることから、男との関連を調べている。
福島市のモモ生産農家への取材によると、男は数年前から、東大客員教授の宮内庁関係者と名乗り、「皇室に献上するモモを選定している」と持ち掛け、周辺の農家からモモの提供を受けていたとみられる。
生産者「変だなとの声あった」
福島市飯坂町には、「モモ献上のお礼」として男が届けた「皇室献上桃生産地」と書かれた木札の写真を作業場に貼り、栽培の励みにしていた生産者もいた。同様に作物が献上品に認定されたとして木札が届いた例は北海道や茨城県でもあった。
同市の生産者の男性(74)は「(男が)宮内庁関係者を名乗り、飯坂町を訪問していた。『宮内庁で力を持っている』と知人に話していたようだ」とし、「こんなことになるとは。教訓にするしかない」と自身に言い聞かせた。
別の男性(71)は「地元で変だなという話も出ていた。献上は個人がするものではないと思っていたし、本物という期待はあまりしていなかった」と話した。別の80代男性は「農家同士のつながりを今以上に深め、情報共有できる関係を築くことが大切だ」と口にした。
ポスター一時掲示
福島市も男が生産者に届けた木札のレプリカを使い、ポスターを作製していた。今月中旬、生産者から「どうやら献上は虚偽だった可能性が高い」と連絡があったことから、道の駅ふくしまの一角に貼り出したポスターを外した。
市は品質の良さをアピールするためにポスターを活用しようとしていただけに、長島晴司市農業振興課長は「献上が虚偽となれば生産者のプライドを踏みにじる行為だ」と意欲の落ち込みを気遣った。その上で長島課長は「福島のモモがおいしいことに何ら変わりはない。引き続き全力でPRしていく」と話した。
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2023/07/29 10:41:27