白河市 「ビャッコイ」の国天然記念物指定へ申請準備
08月14日 07時47分
貴重な植物の「ビャッコイ」が、北半球で唯一、確認されている福島県白河市は、保護につなげようと、その自生地について国の天然記念物の指定を受けるため、申請に必要となる、土地の所有者らの同意取得などの準備を進めることを決めました。
「ビャッコイ」は北半球では白河市の表郷地区だけに自生しているとされ、環境省が絶滅の恐れがあるとして絶滅危惧種に指定しています。
このため、白河市は地元住民らとともに生育の障害となる落ち葉を取り除くなどして表郷地区にある1.4ヘクタールほどの土地を10年ほど前から自生地として定めて保全活動に取り組んでいます。
しかし、自生地に流れる水の量や日照量が少なくなるなど年々、生育環境が悪化していることから市は環境を守り保護につなげようと自生地について国の天然記念物の指定を目指すことを決めました。
指定には文化庁への申請が必要で、自生地や周辺の土地など土地の所有者の同意が必要なほか、年間を通じた植生の調査などが求められる可能性があるということです。
市は今後、およそ120人の土地の所有者に説明して同意を取得した上で5年以内の指定を目指すとしています。
白河市文化財課の根本純子課長は「ビャッコイは白河市にしかない希少な植物なので、適正な管理や保全に努めながら国の天然記念物の指定を受けられるよう準備を進めていきたい」と話していました。
ビャッコイはカヤツリグサ科の多年草で、環境省が絶滅のおそれが最も高い絶滅危惧種に指定しているほか、昭和30年には県の天然記念物にも指定されました。
10度から12度前後の冷たい湧き水を好むとされ、8月から9月にかけて小さな灰色っぽい花を咲かせます。
ビャッコイの名前は、日本の植物分類学の草分け的存在、牧野富太郎博士が命名しました。
今から120年余り前の明治33年ごろに地元の子どもが見つけた標本を、採取地や日付がなかったことから会津から送られてきたと思い違いをし、白虎隊にちなんで名付けたという逸話があります。
氷河期の名残を留める植物とされ、以前は栃木県などで自生が確認されていましたが、現在、北半球で確認されているのは福島県白河市だけで、同種とされる植物がオーストラリアやインドネシアなどの山地に分布しているだけです。
Posted at 2023/08/15 09:06:49 | |
トラックバック(0) | 日記