大相撲九州場所 大関・霧島が優勝 ことし春場所以来2回目
2023年11月26日 17時31分
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大相撲九州場所は千秋楽の26日、2敗で単独トップに立っていた大関・霧島をただ1人、星の差1つの3敗で追っていた平幕の熱海富士が敗れました。
この結果、霧島は結びの一番の取組を残して、ことしの春場所以来となる、2回目の優勝を果たしました。
◆霧島とは
霧島はモンゴル出身の27歳。左四つに加えて前まわしを取っての寄り、さらに強じんな足腰を生かした粘り強い相撲が持ち味です。
モンゴルでは遊牧民としてゲルと呼ばれる移動式の住居で生活し、少年時代は1人で馬を乗りこなしていたということで柔道やモンゴル相撲などにも取り組みました。
相撲の経験はなく体重は70キロほどでしたが来日してから陸奥部屋に入門して平成27年夏場所の前相撲で初土俵を踏むと、その年の九州場所で三段目で優勝を果たしました。
その後、幕下では左ひざのけがなどに苦しみましたが師匠で元大関・霧島の陸奥親方をはじめ同じモンゴル出身の元横綱、鶴竜親方からも指導を受けて体作りを進めながら相撲の技術を学んで着実に実力を伸ばしました。
そして、初土俵からおよそ5年で新入幕を果たすと、次の年の九州場所では新三役となる小結に昇進。ことしの初場所では三役で初めての2桁となる11勝を挙げ、新関脇として臨んだ春場所では12勝3敗で並んだ大栄翔との優勝決定戦を制して初優勝を果たしました。
そして、5月の夏場所でも11勝をあげ三役を務めて直近3場所での勝ち星が34勝と大関昇進の目安とされる33勝を超え、場所後の臨時理事会で正式に大関昇進が決まりました。
しこ名を「霧馬山」から師匠の陸奥親方と同じ「霧島」に改名し、新大関として臨んだ名古屋場所はけがのため、6勝7敗2日の休みに終わりましたが、9月の秋場所は勝ち越して角番を脱出しました。
今場所は西の大関として臨み、力強い寄りと動きのよさで白星を重ねてきました。
たゆまぬ努力で2回目の賜杯
稽古熱心なことで知られる霧島は大関に昇進してもなお、たゆまぬ努力を続け、2回目の賜杯を手にしました。
今場所に向けては大関経験者の正代が所属する時津風部屋に連日、出稽古に赴き、関脇・若元春や大栄翔などを相手に精力的な稽古を行いました。ある日の稽古では終わってみれば41番、実に55分間、相撲をとり続けました。
それでも稽古後には「まだまだ足りない、もっとやりたい」と語り、努力を惜しまない姿勢がことばにもにじみ出ていました。
稽古十分で臨んだ今場所でしたが、前半戦で2敗を喫するなど順調とはいえないスタートを切りました。それでも「自分の相撲を取る」「1日一番」とみずからの相撲に向き合い続け、徐々に調子を上げていきました。
特に、終盤戦にかけては、土俵上での霧島らしさが発揮されました。
11日目の関脇・若元春との一番では、互いに得意とする左四つで組み合ったあと、どんどん前に出て寄り切り。12日目、2敗でトップに並んでいた関脇・琴ノ若と対戦では、立ち合いで右の下手は許したものの、まわしを引いて頭をつける霧島らしい攻めで琴ノ若に十分な形を作らせませんでした。そして、最後は、力強く寄り切ってみせました。
翌日の関脇・大栄翔との対戦では、強烈な突き押しにも下がることなく受け止め、タイミングよくはたきこんでみせました。
そして、14日目、優勝を争う平幕の熱海富士との直接対決に臨みました。熱海富士も稽古熱心な力士として知られていますが、霧島は、この取組に向けて「どちらが稽古をやってきたか。自信持っていかないとね。初日からきょうまで大事に取ってきたので、どれが一番大事というのはない。変わらず相撲を取っていこうかな」と気負いはありませんでした。
霧島は立ち合いで熱海富士の圧力を受け止めながら右腕を差すと、すきを見て左腕を巻きかえてもろ差しの体勢を作りました。
そのあとは、体が起き上がった熱海富士を一気に寄り切り、大関として格の違いを見せつけた一番となりました。
単独トップで迎えた千秋楽の朝もしこを踏み、立ち合いの確認を行うふだんどおりの稽古を行った霧島。
「緊張感はどうか」という報道陣からの問いかけにも「変わらずに。逆に千秋楽だから思い切り相撲を取ろうかな」とここでも泰然自若でした。
師匠で元大関・霧島の陸奥親方は「今場所だけではなくて、積み重ねて休まずやってきているから。今回も巡業に出て、稽古して、その結果だろう」と目を細めていました。
鹿児島県出身の師匠のご当所でもある九州場所で最高の結果を出した霧島。年間最多勝も獲得し、大関としての責任と存在感を示しました。
Posted at 2023/11/26 17:54:53 | |
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