「J-クレジット」24年度参入 福島県、脱炭素と経済効果期待
2024年02月21日 08時00分
県は新年度、二酸化炭素(CO2)の排出削減量などを国が認証し、売買できるようにする制度「J―クレジット」に参画する。県事業を活用して家庭や事業所で削減したCO2の量を積み上げ、企業などにクレジット(環境価値)として売却・収益化する仕組みで、早ければ2025年度に売却を始める。クレジット市場は世界的に成長を遂げており、県は脱炭素と経済性の両面で参入効果を見込む。
県によると、県民が住宅用の太陽光発電設備を導入すると一定のCO2を削減できる。企業が発光ダイオード(LED)照明に改修した場合など省エネルギーや再生可能エネルギーに関する県の補助事業は多く、県内で裾野が広がっている。
CO2の排出削減量は国の認証を受けることで「J―クレジット」として販売できるようになる仕組みだ。
住宅用太陽光発電設備の場合、県は22年度に2261件を補助した。他事業を含め、CO2の排出削減量を全てクレジットとして売却すると、数千万円以上の収益を生む可能性もある。収益は再エネの普及啓発など環境保全活動に充てる。県は本年度、クレジット量の調査に着手していた。新年度は国の認証を得るため計画策定などを進める。
一方、企業などクレジットの買い手側は環境配慮の一環として市場評価が高まるとされる。近年、金融機関は投融資先の判断に温暖化対策の取り組み状況を加味し、取引や資金調達の機会拡大も期待できるという。
先行する山形県は16~22年度の7年間で計約1万1000トンのCO2をJ―クレジットとして売却し約3000万円の収益を得た。企業などが示した希望価格の高い順に売却する入札方式で1トン当たりの単価は2641円。東京証券取引所は昨年10月、J―クレジットなどを取引する「カーボン・クレジット市場」を開設するなどCO2削減を価値化する機運は高まりつつある。
県は「50年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)実現に向け、事業を通じて排出削減と資金の循環を図りたい」(環境共生課)としている。
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J―クレジット 国は2008年、前身のオフセット・クレジット(J―VER)制度を創設。二酸化炭素(CO2)の排出削減量などを「クレジット」として認証し、企業や団体などに販売する仕組み。日常生活や経済活動で排出されたCO2などの温室効果ガス(カーボン)を、植林や温室効果ガス削減活動などへの投資を通して埋め合わせ(オフセット)する「カーボンオフセット」の取り組みの一環。
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