チョルノービリ原発“ロシアの攻撃で被害”ゼレンスキー大統領
2025年2月14日 21時33分
ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、チョルノービリ原子力発電所で放射性物質の飛散を防ぐために設置されているシェルターがロシアの無人機による攻撃で被害を受けたと明らかにしました。現時点で放射線量の上昇はみられないとしています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、SNSで、ウクライナ北部のチョルノービリ原子力発電所で、放射性物質の飛散を防ぐために設置されているシェルターがロシアの無人機による攻撃を受けたと明らかにしました。
攻撃でシェルターは被害を受け火災が発生したものの、消し止められたとしていて、現時点で、放射線量の上昇は見られないとしています。
シェルターは、1986年の事故で爆発した原子炉を覆ってきたコンクリート製の「石棺」と呼ばれる構造物をさらに覆うように設置されています。
ウクライナ非常事態庁が公開した動画には、シェルターで爆発が起きたような様子が記録されているほか、火災が発生している様子や、シェルターに穴が開き、黒く焦げている部分があることなどが確認できます。
チョルノービリ原子力発電所はロシアによる軍事侵攻の直後に、1か月近くロシア軍によって占拠されていました。
ゼレンスキー大統領は「結果を考えずに敵対行為を行うことができる国家は世界でロシアだけだ。プーチンは交渉の準備などしておらず、世界を欺き続ける準備をしている」と非難しました。
”プーチンとロシアからの明確なメッセージ”
またゼレンスキー大統領は14日、訪問先のドイツ南部のミュンヘンで記者会見を開き「無人機は高度85メートルを飛行していた。レーダーが探知できない高度で意図的な攻撃だったことを示している」と述べました。
そして「安全保障を巡る国際会議が始まったまさにその日に起きた。プーチンとロシアからの明確なメッセージだ」と述べ非難しました。
ウクライナ高官「ミュンヘンでは誰もが非常に怒っている」
ウクライナ大統領府のイエルマク長官は14日、世界各国の首脳や閣僚が安全保障をめぐって意見を交わすミュンヘン安全保障会議でSNSにメッセージを投稿し「ここミュンヘンでは、誰もが非常に怒っている。それは、よくある懸念というものではなく、本当の怒りだ」と強調しました。
その理由として1986年にチョルノービリ原発で事故が起きたあと各国がさまざまな支援をしてきたことに触れ「世界中がシェルターに投資し、きょう、ロシアの愚か者たちはそのシェルターに向けて無人機を発射した」と非難しました。
ロシア大統領府 報道官は攻撃を否定
ロシア大統領府のペスコフ報道官は14日、記者団に対し「正確な情報を持っていないが、1つだけ分かっていることは原子力インフラを攻撃することはないということだ。ロシア軍はそんなことはしない。これは挑発行為に過ぎない可能性が高い」と主張し、ロシアによる攻撃だとするゼレンスキー大統領の発表を否定しました。
放射線量を監視する職員「今のところ放射線量の変化見られず」
チョルノービリ原子力発電所の放射線量を監視している政府機関の職員は、NHKの取材に対し「無人機が直撃しシェルターの上部が被害を受けたが、今のところ放射線量の変化は見られない」と述べました。
また「もしミサイルなどによって攻撃されれば、最悪の場合、放射性物質が漏れ、風に乗ってベラルーシ方面に影響が及ぶ可能性もある。これは原発へのテロだ」と強調し、攻撃の規模によっては放射性物質が漏れるリスクがあると警戒感を示しました。
IAEA “爆発音を聞くも放射線量は正常”
IAEA=国際原子力機関はSNSで、現地にいる職員が13日から14日にかけてチョルノービリ原子力発電所のシェルターがある方向から爆発音を聞いたとしています。
IAEAは「現時点でシェルター内の施設に破損した兆候はなく、屋内外の放射線量は正常で安定している」としています。
また、グロッシ事務局長は「原子力発電所周辺での最近の軍事活動の活発化は、原子力の安全性へのリスクを浮き彫りにしている。IAEAは厳戒態勢を維持している」とコメントしています。
Posted at 2025/02/15 01:32:15 | |
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