
全国新酒鑑評会 福島県の酒は金賞16点 3年ぶり受賞数1位
05月21日 10時54分
各地の酒蔵が日本酒のできを競う全国新酒鑑評会の結果が21日発表され、特に優れた「金賞」に福島県から16点が選ばれました。
都道府県別の金賞受賞数では兵庫県と並んで1位となり、福島県の日本酒の品質の高さを改めて示す結果となりました。
「全国新酒鑑評会」は、広島県東広島市にある独立行政法人酒類総合研究所が日本酒の製造技術と品質の向上のため明治時代から開いている唯一の全国規模の日本酒の鑑評会です。
113回目のことしは全国から809点が出品され、21日午前10時に審査の結果が発表されました。
特に優れた「金賞」に選ばれたのはあわせて202点で、福島県からは入賞した30点のうち16点が金賞を受賞し、都道府県別の受賞数で兵庫県と並んで1位となりました。
福島県は金賞受賞数1位の10連覇がかかったおととしの鑑評会では5位、去年は惜しくも2位にとどまっていましたが、今回、3年ぶりに1位となり、福島県の日本酒の品質の高さを改めて示す結果となりました。
【”日本酒の神様”「県民の期待に応えられた」】
ことしの全国新酒鑑評会で福島県の金賞受賞数が3年ぶりに1位となったことについて、県酒造組合特別顧問の鈴木賢二さんは、「県民の期待に応えられてよかった」と話していました。
福島市にある県酒造組合の事務所では渡部謙一会長と特別顧問の鈴木賢二さんら関係者が集まり、午前10時に酒類総合研究所のホームページで審査結果が発表されるとパソコンの画面で都道府県別の金賞の数を確かめていきました。
福島県からは16点が金賞に選ばれ、金賞受賞数は兵庫県と並んで1位となり、関係者らは3年ぶりの1位にほっとした表情を浮かべていました。
今回の結果について、県内で酒造りの指導に当たってきた、「日本酒の神様」こと県酒造組合特別顧問の鈴木賢二さんは、「酒米の品種によってはコメが固く厳しい状況だったが水の割合を減らすなどのアドバイスしてきた。どんなお米がきてもきちんと対応できる福島の酒蔵の技術の高さが結果につながった。県民から日本一復活を望まれていたので応えられてよかった」と話していました。
また、県酒造組合の渡部謙一会長は、「それぞれの蔵が前の年の結果を踏まえ、その年のコメの傾向を研究して取り組んできた結果だと思う。県全体が盛り上がると思うので組合としても大いにPRしていきたい」と話していました。
【1位奪還に県観光物産館でも喜びの声】
全国新酒鑑評会で、福島県の酒が都道府県別の金賞受賞数で3年ぶりに日本一に返り咲いたことをうけて、福島駅前にある県の観光物産館では、喜びの声が聞かれました。
福島県の金賞受賞数が16点と兵庫県と並び、3年ぶりに1位となったことを受け、県観光物産交流協会ではJR福島駅西口にある観光物産館に「金賞受賞数日本一」の垂れ幕をかかげ、売り場の一角に金賞受賞の16点のうち8点の酒を並べた特設コーナーを設けました。
金賞受賞の酒を購入した男性は、「福島の酒は、飲みやすいところが魅力です。蔵元の皆さんが努力されて、金賞に結びついたと思う。来年もがんばってほしい」と話していました。
県観光物産館の櫻田武館長は、「福島の酒の良さは、どんな料理にも、どんな人の好みにも合う、幅の広さです。いわば酒のデパートです。それぞれの蔵元の技術と、県民の思いが実を結んだ結果で、3年ぶりの喜びを爆発させていきたい」と話していました。
【2年ぶりに金賞受賞 二本松市の酒蔵は】
全国新酒鑑評会で2年ぶりに金賞を受賞した二本松市にある酒蔵の杜氏は受賞を受け、ほっとした表情で喜びをかみしめていました。
創業300年あまりの「奥の松」の銘柄で知られる二本松市の東日本酒造協業組合はおととしまで14回連続で金賞を受賞していてことしは2年ぶりに金賞を受賞しました。
出品したのは酒米の山田錦を使った大吟醸で、ことしは原料のコメがかたかったため仕込む水の量を少なくするなどして香りが高く、きれがよく、味にふくらみがある酒に仕上がったということです。
杜氏の殿川慶一理事は「去年は入賞止まりだったので、安心しました。
コメが固く溶けづらくて対応するために最初の仕込み水の量を少なく工夫し、味を見ながら決めていきました。福島県としても金賞受賞数が日本一になり、全国や世界に発信して福島のお酒を皆さんに飲んでいただけると期待しています」と話していました。
【 津波被害の浪江町「鈴木酒造店」は入賞ならず】
浪江町の「鈴木酒造店」は、ふるさとの「プライド」の回復につなげようと、酒米ではなくあえて地元産コシヒカリで酒を仕込み、全国新酒鑑評会に出品しました。
4回目の挑戦となることしも入賞は果たせませんでしたが、蔵の杜氏は「着実に前進しているのでこだわっていきたい」と話していました。
鈴木酒造店は、江戸時代から続く浪江町の酒蔵です。
14年前の巨大地震による津波で蔵が被害を受け、原発事故の発生後は山形県長井市に避難し、酒造りを続けてきました。
4年前、町に酒蔵を再建してからは、風評などに苦しんできたふるさとのプライドを取り戻したいと、地元で栽培して地元の人たちが食べているコシヒカリを使った酒造りに取り組み始め、全国新酒鑑評会にも出品しています。
食用米は酒米と比べて粒が小さく粘り気が強いため、良い酒を造るのは技術的に難しいということで、4回目の挑戦となることしも入賞は果たせませんでした。
それでも、杜氏の鈴木荘司専務は「浪江に戻ってから着実に前進しているので来年こそはという思いでこれからも浪江のコシヒカリにこだわってつくっていきたいです」と今後への意気込みを話していました。
【福島県が福島市で記念セレモニー】
都道府県別の金賞受賞数で3年ぶりに日本一に返り咲いたことを祝って県は福島市で記念のセレモニーを開きました。
午後5時すぎから福島市内のまちなか広場で開かれたセレモニーには、金賞を受賞した酒蔵や県酒造組合の関係者、それに内堀知事が出席し、記念パネルが除幕されると会場は大きな拍手で包まれました。
続いて内堀知事が「3年ぶりの返り咲きは蔵元のみなさん一人ひとりが日々努力を重ねた結果だ。国内外からの観光客に飲んで笑顔になってもらいファンにしたい。日本一奪還は大きなチャンスなので、魅力をPRして福島の日本酒をもっと盛り上げていきましょう」と祝福しました。
セレモニーのあと会場では金賞を受賞した蔵の酒が無料で振る舞まわれ、街ゆく人が行列をつくり高い品質の酒をじっくりと味わっていました。
帰宅途中に立ち寄った20代の会社員は「きょうは発表前から気がかりでしたが3年ぶりの日本一と知ってうれしかったです。日本酒は福島の誇りなのでこれからも頑張ってほしい」と話していました。
Posted at 2025/05/21 19:31:23 | |
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