【考察】カタログ燃費値に対する実燃費達成率（その２）

もう少し考察を続けます。




前回は、参加車両が5つのグループに分けられた事、マイクラC+Cが属すグループ2が、高い達成率を叩き出す傾向がある事まで判りました。
今回はグループ2の中でのマイクラC+Cや、グループ2自体がどういう位置にあるのかを見たいと思います。

マイクラC+Cが搭載するHR16DEは1.6L直列4気筒。
日本では愛知機械で生産されている様です。
HR16系をベースとすると、ストロークを短くしたのがHR15系、シリンダ数を4→3にしたのが、HR12系になります。
(下図は愛知機械のHPより拝借)


主なHR16DE搭載車のスペックを並べてみました。
MT車に限定したのもありますが、日本の税制上では不利な1.6Lなので、バリエーションが多くありません。


5車種並べました。持ち込み登録扱いのノートNISMO Sにはカタログ燃費値が有りません。
ノートNISMO Sのファイナルを除いてギア比が全く同じというのは面白いです。基本はタイヤ外径でチューニングしている様で、60km時Eng回転数を見ると、商用車のNV200が最も低回転、スポーツ車となるノートNISMO Sが高回転となっています。

まず、10.15モード同士の比較
タイヤ外径はほぼ一緒なので、基本は車重と走行抵抗の差になります。
　　マイクラC+C　14.6km/L　1,170kg
　　ノート16X　　　15.6km/L　1.050kg

燃費はマイクラが-6.5%　重量は+11.5%ですので、重量増加分程には燃費が悪くなっていないと見る事が出来ます。
マイクラC+Cはわずか1,500台の輸入車なので、最低限日本の法規に合わせた変更を施しているのみで、燃費を良くする変更はされていないと思っています。故にカタログ燃費値が相場よりも低いのでは？と思っていたのですが、対ノートで見る限りではそうでも無いようです。
（まぁ、ノート16X自体も大した台数出てませんがね・・・・）

次に10.15とJC08の比較
JC08は2009年ごろから表記の移行が始まり、2011年（平成23年）4月1日以降に型式認定を受ける自動車については、このJC08モード燃費値の表示が義務付けられました。丁度ノート16Xが両者の値を持っているので、並べてみます。
　　10.15：15.6km/L
　　JC08：15.4km/L

一般的には10.15→JC08で2割程悪くなると言われていますが、ほとんど変っていないですね。これまた意外な結果です。HR16DEエンジン車は走行条件での実燃費変化が少ない良い子ちゃんなのか？

ちなみに、Wikipediaにはこんな表が載っていました。
プリウスが15%近く低下しているのに対し、ランエボは微減、GT-Rに至っては微増という結果でした。カタログ燃費特化してないHR16DEエンジン車も、影響が少なかったという事なんでしょう。


今度は、他メーカとの比較です。
といっても、1.6L MTという縛りでは該当車種が殆ど皆無なので、1.5Lも加えてます。


マイクラC+Cの燃費は1.5L車のフィットやヴィッツだけでなく、1.6Lのスイフトにも負けてますね。ですが、ノートとスイフトは、燃費も車重もほぼ同等ですから、マイクラC+Cの燃費性能はスイフトと相応と言えるかと思います。
注目すべきはフィットの2台。
丁度モデルチェンジ前後になりますが、車重やギア比は同等なれども燃費が17%程も向上してます。恐らくエコカー減税の適用を目指して、カタログ燃費値を頑張った結果なんでしょう。
(これにより、先のグループ分けでも2→3に昇格してます)

でも、フィットの実燃費ってモデルチェンジで17%も向上しているんでしょうか？
単にカタログ燃費対策がうまくいっただけなのでは？？？
決してホンダさんの技術力を侮っているわけではないですが、エンジン単体でそんなに効率化するとは思えないのでねぇ。

とりあえず、この場の結論としては下記とします。
　・マイクラC+Cのカタログ燃費は、10.15→JC08にしても大差ないと思われる。
　・マイクラC+Cのカタログ燃費性能は、スイフトスポーツ(ZC32S)相応だが、
　　昨今のカタログ燃費競争下の車とは17%程低い。
　・結果としてカタログ燃費値に対する達成率については、有利な位置にある。

あぁ、これでマイクラC+Cが達成率で上位に来る理由が少しはっきりしましたね。
グループ2が有利というのも、あながち間違っていなさそうですね。