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流浪人ぽんぽこのブログ一覧

2021年05月15日 イイね!

ドライバーの安全意識と地域性(交通事故件数の都道府県比較 その5)

これまでの分析結果から、香川県の交通事故件数の人口10万人率等で上位に位置する事や、2000年頃から急激に増えている事等が確認できています。
この為か、平成25年に公益財団法人国際交通安全学会(IATSS)の研究調査プロジェクト『香川研究-事故発生要因の分析と対策への提言-』が立ち上げられ、幾つかの研究論文が出されていました。
なかなか興味深い内容なので、紹介してみようと思います。

一件目は、交通科学 Vol. 48 No. 1 (2017)に掲載された『ドライバーの安全意識と地域性-香川県を中心とした比較検討および詳細分析-』からの抜粋。
免許更新者に対するリスクテイキング尺度のアンケートを基に、地域性と講習種別の優位性を数値化した内容になります。
アンケートは全26項目で、『まったくあてはまらない』から『非常にあてはまる』の5件法となっています。
尚、東讃の定義についてはこちらを参照下さい。(私も知りませんが、多分合っているんだと思ってます・・)

結果としては、
・高松・中讃・西讃では講習種別との優位性が見られたが、
 東讃では優位性があまり見られない
・人口10万人率での事故件数が高め傾向の他県とを比較すると、
 香川県は優位性が高い項目が多い

との事から、論文では『高松・中讃・西讃地域ではドライバー間(講習種別間)で安全意識のずれがとくに大きいといえ、これが香川県の特徴であり地域性である』と結んでいます。
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 ・東讃のサンプル数が非常に少ない
 ・講習種別で"違反"の回答者は心情的に辛めの回答をしてしまって無いか
 ・"優良"や"一般"にも、たまたま検挙されなかっただけの人が混じっていないか
 ・自分では慎重な運転だと思っていても、他人から見ればそうでない等、
 評価自体をどこまで信用できるのか

等々、突っ込みたい所も多々あるのですが、事故リスクが高くなる様な行動を取るドライバーが多ければ事故が起こる率も高くなるだろう というのはある程度納得できる内容です。
が、香川以外の件では有意差はあまり見られず、これが事故が多いか否かの決め手になっているとも言えません。


次に挙げるのは香川県対象ではありませんが、公財)交通事故総合分析センターの定期刊行物より(2017) 土地利用の特徴と歩行者事故との関連分析,イタルダインフォメーション No.120より。
下図は人口と歩行者歩行者事故の10万人率をプロットした物ですが、そもそも人口及び事故率がともに高い(右上部)に属する都府県が異常なんじゃないか とも思えます。
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上図6都県のデータを基に分析すると、コンビニ数、商業地域面積、建物用地面積との間に相関性が有る となっています。
コンビニとの相関については、コンビニが点在する傾向が高い地方程に影響度が大きいという事なのでしょう。
都市部以外では、コンビニに車で行く事も当たり前ですからね。
商業地域及び建物用地との相関についても、これらの地域≒人がいる場所となりますから、歩行者事故との相関が有るのもある意味当然の事となります。
山岳路等では、人よりも鹿に当たる率の方が高かったりしますし・・・・
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このイタルダインフォメーションを参考文献の一つとして作成されたのがこちらの論文です。
2018年に(公財)交通事故総合分析センター 第21回研究発表会より、市街地の拡大と交通事故発生地点の空間分析~香川県を例として~』です。
2009 年から 2017 年の事故データを基に、人口変化や建物用地との関係を分析しています。

パラメータ値が3以上となっている(相関性が高い)項目を赤枠にしてますが、ざっとまとめるとこんな感じ。
 ・60歳以上人口数は事故件数との相関があり、特に死亡事故件数との相関性が高い
 ・建物用地率との相関は、開発時期に因って異なる
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60歳人口との相関については、なんとなくイメージと一致します。
事故の当事者側だけでなく被害者側としてもリスクは高いでしょうから。
不思議なのは、60歳人口の絶対数とは相関があるのに、人口の変化率にはマイナス相関となっている事。
割合よりも絶対数という事なんでしょうかね。

面白いのは建物用地の開発時期に因る差。
新しく開発された地域で事故が起こりやすいが、10年程経つと落ち着き、その後再上昇する という事になります。
これを更に分析した結果が以下。
香川県内で事故リスクが高い場所(赤)と低い場所(青)を抽出して比較したもの。
赤は丸亀市や善通寺市等で開発時期が新しい地域が多く、青は高松市周辺で開発時期が古い地域が多いとの事です。

 ・どちらの地域も事故件数自体は減少しているものの、減少率には差が有る
 ・増加地域は幹線道路の交差点での事故率が高く、非幹線道路の単路は低い
 ・現象地域は自転車や二輪車の事故率が高い⇒車の使用率が下がっている
 ・増加地域は事故発生直前の速度が高めの傾向
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この論文では以下の様に纏めています。

リスク減少地域は区画整理が行われているため,交通基盤の整備状況は良好であり,見通しが良く,歩道整備率も高い.一方,リスク増加地域は農地が蚕食的に宅地化しており,交通インフラは宅地化に十分対応しておらず,歩道整備率も低い.このことは生活道路への車両の進入を抑制していると考えられ,非幹線道路での事故の割合の低さとして現れている可能性がある.その一方,幹線道路及びその交差点が周辺の宅地化に十分対応できていないことが,幹線道路交差点の事故割合の高さとなっている可能性が考えられる.

開発初期にはそういった事が事前に想定されずに事故が起き、その対策として後に信号や歩道の整備等が進んで事故が減り・・・なんて事が、開発時期と事故率の関係に影響を及ぼしているのかもしれません。
ただ、昨今はナビの普及もあって幹線道路沿いの生活道路って結構抜け道に利用されたりしてますから、『車両進入の抑制・・・』ってのは少し懐疑的な感もあります。
こちらは以前にメキシコへ出張した際に撮影したtopeと呼ばれる道路上の突起ですが、個人的には生活道路は速度を落とす為にこういった物を設置する事で走りづらくする事も一つの策かと。
メキシコでは非幹線道路や駐車場内等、車の速度を落としたいと思しき至る所にtopeがあり、知らずに突っ込むと車が飛びます。^^;;;
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 ダラダラとした内容になってしまい、私も上手に纏める事が出来ていませんが、交通事故発生率が都道府県間で異なるのは、以下の様な様々な要素が絡んでの事と言えそうです。
  ・人の意識の違い(俗に言われる県民性に近いもの)
  ・交通環境の違い(開発時期や都市計画等)
  ・人口分布や交通インフラ(都市圏では車の依存度が低い等)  等々・・・

結局のところ、自分自身で出来る事ってのは『交通ルールを守って慎重に運転しましょう』しか無いんですかね。
いくら自分が慎重に運転しても、もらい事故は避けようも有りませんが。
Posted at 2021/05/15 20:44:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | 交通安全 | 日記
2021年05月08日 イイね!

雲泥の差か五十歩百歩か?(交通事故件数の都道府県比較 その4)

前回、都道府県毎の特徴を下記の様に分類しました。
 ①ずっと多い      
   群馬, 埼玉, 千葉, 東京, 神奈川, 静岡, 愛知, 大阪, 福岡

 ②2000年頃から急上昇
   岡山, 香川, 佐賀, 宮崎

 ③過去から減少傾向
   青森, 京都, 兵庫, 奈良, 和歌山, 鳥取, 広島, 徳島, 愛媛, 高知

 ④ずっと少ない
   北海道, 岩手, 秋田, 新潟, 福井, 岐阜, 三重, 滋賀, 島根, 山口

 ⑤その他(④と大差無いがなんとなく)
   宮城, 山形, 福島, 茨城, 栃木, 富山, 石川, 山梨, 長野, 熊本, 大分, 鹿児島, 沖縄

今回は、事故の内容について差が有るのか否かを見てみます。
以下は警視庁及び各道府県警等が発行している資料を基にしていますが、発行内容のレベルがまちまちな為、当方で手を入れている事はご了承ください。
※県名後の丸番号は、上記分類です

<直近で少ない県> 以下の資料では上段側
 島根県④ 交通事故統計だより 令和2年12月末
 鳥取県⑤ 令和2年版 交通年鑑(図解編
 新潟県④ 交通年鑑 令和元年
 秋田県④ 令和元年「交通事故統計(ミニ統計)」

<直近で多い府県> 以下の資料では下段側
 大阪府① 大阪の交通白書(令和2年版)
 福岡県① 令和元年交通事故(月別)
 香川県② 令和2年版 数字で見るさぬきの安全
 静岡県① 交通年鑑 令和元年板

まずは、道路別です。
国道の割合が少ない県で多い様な感は有りますが、特段の差は無い様に見えます。
こうしてみると、高速道路では事故が起きないというのがよく判ります。
交差点も無ければ歩行者や自転車との接触も無い(まれに有りますが・・・)訳ですから、当然なんですけど。
また、その他に分類されるのは農道等になるのですが、大都市圏を持つ大阪や福岡で割合が低いのも然りという感です。
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次は事故の種類別。
こちらも、特段の差は無い様に見えます。
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最後は第一当事者の原因(法令違反)別。
これの元資料は各県で発表している分類方法がまちまちで、特に安全運転義務違反の項目を細分化したかったのですが断念しました。
分類の均一性が少々怪しいところも有りますが、大都市圏を持つか否かの差の様に見えます。
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結論としては、大都市圏を持つか否かの差は有れども、人口10万人率や12h走行台km率での事故件数での差は無い となりますね。
もうちょっと何かしらの特徴が見られるのでは と期待していたのですが、見事に外れました。

何とも消化不良な状況ですが、色々な資料を漁っている中で興味深い研究論文を見つけましたので、次回それを紹介したいと思います。
Posted at 2021/05/08 22:16:10 | コメント(2) | トラックバック(0) | 交通安全 | 日記
2021年05月02日 イイね!

三つ子の魂百まで?(交通事故件数の都道府県比較 その3)

前回都道府県別の事故件数の分母を色々変えてみて、次回は上位・下位に顔を出す事が多いところの特徴を分析してみようという締めにしましたが、ちょっと気になる事が出てきました。

10万人率での事故件数について、静岡県がワーストの常連である事は事実らしい。
また、コメントで頂いた情報では、群馬県も事故が多いと言われている。
もし、都道府県別の差異理由として『県民性』といったものが大きく介在するのであれば、事故が多い都道府県は過去からずっと多い傾向に有るのではないか?

という事で、推移を調べてみる事にしました。

今回は、日本の統計が閲覧できる政府統計ポータルサイトであるe-Statから情報を取りました。
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このサイト内にある統計ダッシュボードに条件を入力すると、国や民間企業等が提供している主要な統計データを得る事が出来ます。
私も初めて使いましたが、ものすごく便利。
ですが、あまりにも沢山の統計データが有るので、興味を持って見始めたらキリが無いです。
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今回取得できた統計データは1975~2018年迄。
5年毎の統計が一部ありますが、それ以外は年毎になります。

まずは事故件数の推移から。
全都道府県ではどれがどれだか判りにくいので、2018年の上位6県 下位6県も作りました。
それぞれ、左軸は都道府県毎で、右軸が全国。
下位6件の左軸は、その他に対して10倍に拡大しています。
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1998~2001年に増加の角度が一気に高まり、2006年以降は急降下しています。
この傾向は下位6県でも見られるので、全国的な様です。
この時期は、私も含めた団塊ジュニアと呼ばれる1970~1975年生まれが、事故率が多いとされる25~35歳頃だった時期と重なりますが、関連が有るのでしょうか?
残念ながら、統計資料には事故件数と年齢の相関は有りませんでしたが、人口分布を見る限りでは、そこまでの関連は無さそうに思えます。


単純な件数で評価するのはやはり公平性に欠ける(?)ので、色々な数字で割ってみます。
実数と、全国平均との比率の2種 X 全都道府県, 上位6県, 下位6県の3種 合計6種のグラフを作成しています。

まずは毎度の10万人率で。
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上位の推移を見ると、群馬と福岡はずっと上位に、静岡, 香川, 佐賀, 宮崎は2000年頃にかけて徐々に全国平均以下にしていったものの、その後一気に上昇して上位の常連となっています。
一方で下位の推移を見ると、鳥取県は1985年頃までは全国平均を超えていましたが最近は下位の常連に。その他は概ね全国平均以下を維持してきた様です。

次は1万世帯率で。
人口率とは顔ぶれや推移は大差無い様です。
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次は自動車1000台率。
全国的に概ね下がり傾向にあるのは良い事ですね。
車の性能や機能の向上、道路環境の改善等によるものかと思われます。
大阪や福岡が鉄壁の上位となっているのは、自動車保有率が低い都市圏を持つからなんでしょう。(2018年では愛知が7位で東京は10位に隠れています)
そこに割って入っているのが、人口率でも同様傾向が見られた静岡, 香川, 宮崎 等。
2000年頃からの急上昇、何か理由が有る筈なんだがなぁ・・・
下位も、人口率とあまり差が無いです。
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次は道路1,000km率。
世帯別では44位の東京がここでは2位になる等、大都市圏を持つ都道府県が上位に並ぶようになっています。
というより、東京, 大阪, 神奈川が飛びぬけていて福岡が猛追している感じ。
また、1975年時点で4位だった京都は、2000年頃から徐々に順位を下げて直近では全国平均に近い状況になっています。
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最後は12時間走行台キロ率。
『12時間走行台キロ』というのは昼間の交通量を示す指標の様です。
夜間も含めた『24時間走行台キロ』という指標も有るのですが、統計ダッシュボードで拾えなかったので断念。
尚、直近値では24時間値≒12時間値 X 1.3程度の様で、前回のブログで作成した『1憶走行台キロ率』の分母は、24時間値 X 365日になります。
まぁ、概ね似た様な指標と思っていただければ良いかと。

1994年に1位だった神奈川は直近で7位、2000年以降に事故件数が増えた香川, 宮崎, 佐賀も、8, 9, 10位に付けていますので、上位のグラフには顔を出していませんが、顔ぶれは概ね変わりません。
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この指標を見ると、2005年以前はあまり変化が無いのに、2015年には急降下しています。
(2010年はデータ無し)
分母となる12時間走行台キロを見ると、ちょっと面白い事に気づきました。
2000年までは右肩上がりだった値が2005年以降は概ね維持となっています。
つまり、走った距離は変わらないのに事故が減ったという事。
あくまでも予測に過ぎませんが、車のアクティブセィフティ向上の影響かと。
シートベルトやエアバック、高剛性ボディ等のパッシブセィフティは、死亡事故は減らせても事故自体を減らす事は出来ません。
対してABS, TCS等のアクティブセィフティは、事故自体を減らすことが可能です。
流行の衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)も、同様でしょう。
乗用車のABSが一般化してきたのは2000年前後だった記憶ですし、2013年以降は大型車に対する義務化もされていますから、なんとなく時期が一致する様な。
機能の過信は禁物ですが、一定程度の効果が有る事だけは事実とみて良いかと思います。

都道府県毎の推移もあまり差が無く、順位変動も非常に少ない。
ある意味、その都道府県の恒常的特徴をよく示している指標と言えるかと思います。
北海道が長らくトップだったのは土地が広いが故でしょうし、2015年についにトップに立ったのが愛知というのも流石はトヨタ様の御膝元といったところかと。
※全国値のみ、右軸になります
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前回ブログでは『1憶走行台キロ率』が都道府県別の交通事故件数を比較するのに適切な指標としましたが、今回の結果でも類似指標である『12h走行台キロ率』が過去推移含めて適切な様に思います。

これを踏まえたうえで都道府県毎の分類をすると、こんな感じでしょうか。
 ①ずっと多い      
   群馬, 埼玉, 千葉, 東京, 神奈川, 静岡, 愛知, 大阪, 福岡

 ②2000年頃から急上昇
   岡山, 香川, 佐賀, 宮崎

 ③過去から減少傾向
   青森, 京都, 兵庫, 奈良, 和歌山, 鳥取, 広島, 徳島, 愛媛, 高知

 ④ずっと少ない
   北海道, 岩手, 秋田, 新潟, 福井, 岐阜, 三重, 滋賀, 島根, 山口

 ⑤その他(④と大差無いがなんとなく)
   宮城, 山形, 福島, 茨城, 栃木, 富山, 石川, 山梨, 長野, 熊本, 大分, 鹿児島, 沖縄


あれっ、なんとなく地域別になっている様な・・・・

②や③の理由が判ると、事故件数の多少にどういった内容が関連しているのかが明らかになるかもしれませんね。

という事で、続く(のか?)
Posted at 2021/05/02 17:12:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 交通安全 | 日記

プロフィール

「正規日本仕様ではなく、輸入代理店で取付けたと考える方が妥当な気がします。
これはシーサイドモーターのステッカーが有りますが、くまとっどさんの写真と同じ個体かも。

https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17348033
何シテル?   03/26 06:02
雄タヌキ 流浪人ぽんぽこです。 2020年05月 通算引っ越し回数が20回に達しました。

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