左ねじの続きです。
基本的にねじは右ねじが基本。
水道の蛇口もペットボトルの蓋も、右に回せば締まります。
これは右利きの人が力をかけやすい為と言われていますので、左利きの人には使いづらいのでしょうね。
我が家で見つけた左ねじの一つが扇風機の固定ナットでした。
左回転側が『しまる』とあるので、左ねじです。
何故左ねじなのか。
モータは軸側から見て右回りが正転と定義されていて、扇風機も右回りです。
正転をCW、逆転をCCWと言いますが、これは「Clockwise Rotation」「Counter Clockwise Rotation」の略。
正転の意が時計回りという事なんですね。
(図は
オリエンタルモータのHPより拝借)
起動時、モータ軸は右回転方向(青矢印)に加速をしていきますが、羽は慣性の法則で止まる方向(赤矢印)に居続けようとします。
固定ナットは羽との摩擦力に因って羽と同方向に回される力が起きます。
左ねじにする事で、赤矢印方向の力がかかった際に締まる方向となるので、緩み止めになるという具合です。
定速回転時には慣性力の影響はありませんし、停止時は惰性で止まるので、モータ軸と羽の慣性力影響を最も受けるのが起動時。
その時の影響を回避する為に左ねじを使う という事でしょう。
わざわざ特殊な左ねじを使わなくても、羽を回す方向を逆にすればいいのでは?
モータって、簡単に逆回転出来るでしょ?
私もそう思っているのですが実情は違う。
わざわざ左ねじを使うだけのメリットが何かあるんでしょうね。
誰か判る方、教えてください。
レースの世界では一般的なセンタナット方式でのホイール固定。
先の扇風機の様に、中央の一本だけで固定します。
ねじはどちら向きでしょうか?
ベネトンF1のメカニックだった
津川哲夫さんの記事に因ると、『ホイールの通常回転方向(前進方向)に対して反対回転方向で絞まるネジが刻まれている』とあります。
これは、2017年のモナコGPで撮影されたWilliams FW40の左フロント。
ハブ先端のねじは右ねじなので、津川さんの記事と一致します。
わずか3山程度で締めているのですから、締め付けトルクは相当なものでしょうね。
※この先の3枚は、
こちらから拝借しています
ところがRed Bull Racing RB13の左フロントは左ねじです
津川さんの記事とは逆ですね。
Ferrari SF70-Hも右フロントが右ねじですので、左フロントは左ねじと思われます。
何故、このような違いが有るのでしょうか?
前回のブログでも書いた様にホイールに掛かる力は駆動力<制動力ですから、制動時にどのような力が掛かると考えるかの違いだと思われます。
ここから先は私の推測。
Williamsの『ホイールの通常回転方向に対して反対回転方向派』は、ブレーキをかけた際にホイールは逆転方向に回ろうとするので、この時に締まる側にするという考えと思われます。
扇風機と同じ考え方ですね。
これに対してRed BullやFerrariの『ホイールの通常回転方向と同回転方向派』は、ナット自体が慣性力で過回転側に回るという考えだと思われます。
SuperGTでも両者の考えが存在する様です。
こちらのBMWは反対回転方向派です。
余談ですが、この動画では工具の使い方を間違っているのが気になります。
プロとしては失格ですね。
1.カチカチと2度締めをしている事。(2度目は完全にオーバトルク)
2.体重を掛けて締めている事。(カチッと鳴った時に即止めが出来ない)
こちらの
ホンダは、同回転方向派です。
どちらが正しいとか間違いって事では無いんでしょうね。
※2025.05.03追記
2025 Rd.2 公式練習の動画に写っていたいた777号車のピット風景を見ると、左右輪共に右ねじの様に見えます。(1:53:40秒過ぎ)
部品共通化の為???
レースの醍醐味の一つであるピット作業。
2019年のF1ブラジルGPでは、わずか1.82秒で四輪タイヤ交換という記録が出ています。
無駄なく連携の取れた作業を行う様は美しいですね。
個人的に好きなピット作業はアメリカのストックカーレース。
6人でタイヤ交換と給油を行うのですが、ホイールは5穴の鉄製15インチ(アルミより軽いらしいが)でジャッキも手動でありながら、わずか12秒程度で作業を行います。
重たいタイヤやジャッキを抱えて車の前後を駆け回る様は、アメフトに通ずるものを感じます。
センタロックであれば外したナットをガン側に保持して再利用出来ますが、5穴では無理。
外したナットは床面に飛ばし、交換後のホイールには予めナットを接着剤で貼りつけておくことで対応しています。
ねじは両輪共に右ねじの様で、対角締めはしていません。
バランスは良くないのでしょうけど、過去には作業時間短縮の為に4つしか締めないというインチキを平気でやってたそうですから、まぁ何とかなっているんでしょうね。
(現在は1つでも締めてないとペナルティー取られます)
こちらの動画は、1964年と現在(2016年?)の比較です。
1964年は牧歌的な雰囲気ですね。
でも、この光景がみられるのも残りわずか。
来年からはセンタロック&18インチアルミホイールになるそうです。
正回転派か逆回転派か、どっちなんでしょうね。
Posted at 2020/09/26 21:39:47 | |
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