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『大津園児死亡、直進車と右折車の法的責任は? 誰もが加害者になる可能性』に注目。
まずは天に召された幼き御霊の、永遠に安らかならんことを祈り、ご遺族および関係者の無念・悲嘆に寄り添いたい。
さて、実際に子ども達へ突っ込んでしまった軽自動車のドライヴァーは、過失割合が低いとの事情からか釈放され、実名報道も消滅している。
確かに過去の判例では、直進車の過失割合を極めて低くしているが、直接衝突した右折車とは別の、無辜の第三者への損害賠償責任を免れるものではない。
また弊ブログ主の運転経験(プロのドライヴァーではないが、20代は仕事の移動で相当な距離をレンタカーで走行していた)からしても、直進車側に事故回避のスキルがあれば、車対車の軽微な接触事故で済んでいた可能性が高いものと考える。
その根拠を、私が日常的に心掛けていること・実践している運転スキルを具体的に紹介しつつ述べる。
○右折待ちのクルマへのアッピール
私が直進する場合は、右折待ちのクルマが突っ込んで来ぬよう、当方の存在をアッピールすると同時に、意志を明確に示す。特に直進側の交通量が少ない場合は、注意を要す。
具体的には
昼間でも前照灯を点灯し、右折車の動きが怪しい場合は
ハイビームに切り替えて、相手の動きを抑止する。
それでも突っ込んでくる場合に備え、
足下はブレーキに添える。
○右折待ちのクルマへの配慮
多数の右折車で発生する渋滞は、深刻な社会的損失である。
個々の直進車が優先性を主張し、スムーズに通過することの利得より、社会・経済を支える道路交通環境へ及ぼす右折渋滞の損失の方が、明らかに大きい。
横断歩道に歩行者・自転車が居ない/後方から路肩を走行する二輪車が来ない前提で、右折車が少数の場合、または路線バスなど公共性の高い車輌の場合は、直進する
私が一旦停止しパッシングで合図→右折車を先行させるようにしている。
また
信号の変わり目では、右折の間合いを多くできるよう、早めに停止する。黄信号で進入するなど以ての外。違反であるのみならず、右折渋滞を悪化させ、社会的損失を拡大する。
並行して
パッシングまた夜間は消灯するなどの手段で、停止の意図が正確かつ速やかに伝わるよう工夫する。
○自らが右折する場合の対処
無理な右折は、今回起きたような対向車との衝突を避けたとしても、横断中の歩行者・自転車を巻き込む惧れがあることを認識しなければならない。
右折レーンで待機する際、ステアリングを切って停止していると、追突された場合に反対車線へ飛び出し衝突→歩行者を巻き込む事故に発展しかねない。
ステアリングは中立状態を維持し、安全な右折が可能になってから右へ舵を切ることを習慣付けるべきだ。
○歩行者の立場
今回の事故でも明らかなとおり、保育士さんが引率し十分な安全配慮をしてもなお、交差点における歩行者の死亡事故は起きてしまう。
可能な限りリスクを低減する為にも
交差点を横断する際は、デバイスから目を離し、イヤホンを外すなど五感を総動員して危険を察知し、速やかに交差点から離脱するべきだ。
また交通法規で横断妨害の罰則が定められての通り、歩行者は絶対的に護られねばならない。
ならば歩行者も、左折車・右折車との衝突リスクを招き、通過間合いを減少させて渋滞=社会的損失を発生させる、
点滅信号での横断開始を含めた信号無視を戒めねばならない。
○道路管理者・警察の責務
矢印信号の表示時間が短く、右折側の交通を消化しきれない状態ではなかったか等、信号設定について真摯に検証を求めたい。
一部報道では、当該事故現場交差点のように右折信号表示中でなくとも青信号であれば右折できる制御ではなく、右折信号表示中のみ右折できる制御(右折分離または右直分離信号と呼ばれる)にすれば解決するのでは…との指摘があったが、個人的には完全な対策にはならないと考える。
数か月前のこと、我が家の近所にある右折分離信号にて、私の前で右折待ちをしていた軽自動車が、対向車が無いのをいいことに堂々と右折信号表示前に進入し走り去った。
右折信号表示の後、先の道路で追いつき「信号無視したろう、危ないじゃないか」と指摘したら、見るからに賢そうな女性ドライヴァーが「えー、いっちゃいけなかったんですかぁ?」と恍けていた。
これが現実のドライヴァー・リテラシーである。
当座の安全対策として、大量の水を重石および緩衝材として用いる樹脂製の「クッションドラム」(参考情報URL参照)が置かれたが、はっきり言って不適切ではないか。
あの製品は分離帯端部などへの車輌衝突に備えるものであり、歩行者を保護するものではない。
クルマが衝突→クッションドラムが破壊されずに倒れ、居合わせた幼児が下敷きになれば、そのまま突っ込んできた場合と比較でリスク低減になっていない。
早急に、
本格的なガードレール設置を急ぐべきだ。
費用は然程大きなものではないが、そもそもコストの多寡とは無関係に、道理利用者たる市民の生命を護る投資を躊躇してはならない。
○その他
今回の事故は、典型的な「だろう運転」が招いた事故であり、冒頭指摘した通り過失割合が低いと謂えども、直進車の責任は免れ得ない。
直接的に衝突した相手との過失割合は、判例から1:9乃至2:8だとしても、何ら過失の無い第三者=無残に轢過された保育園児・保育士への賠償は、この過失割合とは別に連帯して負わねばならぬ。
直進車が絶対的に優先だ、右折車は待つべきだ、では安全は確保できず、渋滞が多発する劣悪な交通環境は改善されない。
「だろう運転」→「かもしれない運転」への認識シフトは、運転免許の更新に伴う講習などで当局から指導されるが、それだけでは不十分だ。
フロントガラスから望む視界だけでなく、鳥の目で自車を俯瞰し、どのように運転すれば社会的に最適かを考えて経済的・合理的な行動を取れば、結果的に安全性は飛躍的に高まるものと考える。
改めて、幼い犠牲を衷心より悼み、その辛苦と無念に報いるべく、今日も道路に出る私たちは、大きな教訓を汲み取らねばならない。
それができぬ者は、また新たな惨劇を惹き起こし、或いは本人が悲惨な最期を迎えることになるものと断じる。
Posted at 2019/05/12 19:18:01 | |
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