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2021年03月25日 イイね!

拉因

拉因 オークションサイトで見つけた古レールは、明らかにロールマークの一部である陽刻が見えるものの長さ145㎜程しかなく、もし元々が長いロールマークだったとすれば、全体の一部でしかない。

 読み取れるのは「SW」「1922」の6文字。
 「1922」は西暦の製造年(=大正11年)で間違いなかろうが、「SW」が何を意味するのか(製造者?発注者?規格?)が分からない。
 なればと、古レールを目利きするのに毎度お世話になっているサイト(参考情報URL参照。極めて資料性が高く、辞書代わりにしている)を見るのだが、該当する刻印が無い。
 汎くネット検索を掛けてみても、ヒットしない。
 応札締切が迫る中、素性の分からない鉄塊に貴重なお小遣いを投じるべきか、悩んでいた。

 それは同時に、ラッキーな状況でもあった。
 ドイツ「ウニオン」のレールを落札した際も同じだったが、私以外にもウォッチしてた人が複数居たものの、やはり誰も明確な由来が分からなかったようで、札が入らない=値段がレイズしない。
 それなら私が解明し、納得して落札してやろうと、再度目利きを始めた。


 「SW」の前に、後天的に穿たれたと思われる穴があるのだが、その淵にサビ或いはバリにしては不自然な凸部があるのに気付いた。

 そうか、元々ここには別の文字が刻印されていたのだ。
 「SW」ではなく「*SW」なのだとしたら、資料を一読した/ネット検索しただけでは、ヒットしなかった可能性がある。

 加えて、熊本県からの出品であったことから、地域も考慮して再検索と資料の閲覧を繰り返したところ………素性が判明。即刻応札して、出品当初の提示額で落札した。


 「*SW」は、正しくは「RSW」で、ドイツの「ライン製鋼所=Rheinische StahlWerke」の略号だった。
 「RSW 1922」で改めて検索すると、熊本電鉄の駅舎上屋で、全く同じレールが用いられているのを確認でき、出品地とも一致する。 

 ドイツの重工業地帯・ルール地方の中でも、国際河川・ライン川とルール川が合流する水上交通の要衝にあるデュースブルグ市ルーアオルトに製鉄所を構えていた「ライン製鋼所」は、帝政末期~ヴァイマル共和制下のドイツで最大級の鉄鋼企業だった。
 このレールが製造された1922年当時は、第一次世界大戦の戦後処理を話し合った前年のロンドン会議において莫大な額の戦時賠償が課され、ハイパーインフレに陥るなどドイツ経済が混迷を極めた時期である。
 ルール地方は、賠償金支払いの遅れから翌1923年1月にフランス地上軍が進駐、所謂「ルール占領」にも逢っている。

 その後、ドイツ経済が回復軌道に乗る過程で「ライン製鋼所」、現在も事業を継続している「ティッセン(1999年に、やはり日本向けにレール輸出実績がある大手鉄鋼企業クルップと合併しティッセンクルップに)」他2社の計4社が経営統合し、1926年に合同製鋼(Vereinigte Stahlwerke)が発足した。
 ティッセンを率い、合同製鋼創立を主導したフリッツ・ティッセンは、ヴァイマル共和制への不満からナチズムに傾倒、私財から巨額な献金をするパトロンとなっていた。

 後にポーランド侵攻やユダヤ人排斥に反発し、ナチスと袂を分かちドイツから亡命するが、時すでに遅し。ドイツだけでなく、世界を第二次世界大戦の渦へ巻き込む手助けをしてしまった。
 戦後になって、ナチスを支援した責任を問う裁判にかけられ、ドイツ国内に残っていた資産の一部を没収されている。

 
 1月に手に入れた「TENNESSEE」のレールではアメリカ経済史の勉強をさせてもらったが、今回の「RSW」のレールでも、大いにドイツ経済史・政治史を学ばせてもらった。

 めでたし、めでたし……



 ……と締めたいところだが、一つ疑問が残ってしまった。
 一般的に見られる古レールの断面サイズとは、どうやら違うようなのだ。




 上記写真の通り、底面幅・高さとも100㎜。
 サイズからして60lb(30kg)/レールだと思われ、この規格のレールは底面幅と高さが同じなのが一般的で、ここまでは矛盾が無い。
 しかし、多くの60lbレールは底面幅・高さが約108㎜(=4.25in)で、RSWのレールは僅かに小さい。
 ヤード・ポンド法ではなく、メートル法で定められた規格なのだろうか。

 この辺り、状況を整理した資料が見当たらず、不明のまま残されている。
 古レールの世界は、やはり奥が深い。


 


Posted at 2021/05/16 23:22:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | 鉄道 | 日記
2021年03月23日 イイね!

標致

標致 藪から棒で恐縮だが、独特のフォルムと車体構造を誇る三菱自動車の「アイ」と、卓越したフロード性能を誇る我がゲレンデとは、キャラクターが全く異なるが共通点がある。さて、何だろうか。











 欧州ブランドにおけるOEM供給にお詳しい方でないと、なかなか分からないかもしれない。
 実は共に、プジョーブランドのモデル(メルセデス・Gクラス→プジョー・P-4/三菱・アイ→プジョー・イオン:ただし電動モデルのみで、シトロエンブランドでもC-ゼロとして展開)がある点だ。



 三菱・アイは、実母が長く愛車としており、私もユーザー車検などの場面でコミットしてきたが、何度か記事にしている通り根本の部分でオーナーとの折り合いが悪く、ここ数年は駐車している様子を眺めるだけになっていた。

 ところが、昨年暮に事故(自動車絡みではない)で負傷入院し、私も求められて治療にコミットしながら話し合いを進めていく中で、本人も肉体的衰えを自覚して運転免許の返納を決意、愛車の処分を私に依頼してきた。


 我が家が、セカンドカー買替えのタイミングであれば、引き取ってもよかったし、単純に増車してアフターパーツを探し、プジョーまたはシトロエン仕様にすることも考えた。
 しかし、保険料負担など管理コストの問題で、断念せざるを得なかった。

 次善の策として中古売却し幾らかの利益を得る策も検討したが、その為に買取店を回る時間が取れず、かつ年度を跨ぐと軽自動車税の負担が発生するため、これも断念。
 最終的に、一緒に空手を習っている子の保護者で、自動車関係のお仕事に就かれている方へ相談し、無償で引き揚げから廃車手続きまでお願いすることとした。
 お願いした方の曰く、アイはコアなファンがいるのは確かだが、一般受けするモデルではなく、特に赤なので値がつかない……とのことだった。
 もっとも値が付いたとしても、手間を取ってくれた方がポケットに納めてくれればいいだけの話で、こちらは軒先にクルマを置いておくだけで楽に処分できるのだから有難いことである。

 オーナー自身は、私に処分を頼んでおきながら「(実母が)知らない人に頼むのか?」「一万円くらいで引き取ってくれると聞いた」などと不満を垂れていたが、仮に買取業者へお願いしても結局「知らない人」なのだし、不満なら自分でやってくれと突き放し、納得させた。



 我が家では、実母と同い年の義母も愛車(マツダ・キャロル=スズキ・アルトOEM)を処分し、運転を卒業。昨今社会問題化している高齢ドライヴァーの事故リスクに関しては、これ以上無いヘッジが完了した。
 ご近所でも、正調ドイツ車(=我が家のゲレンデやMLおよびGLEのような他国製のドイツ・ブランド車ではなく)を恰好よく乗りこなしていらしたご老人が、携わっていた経営からの引退を前後して体調を崩し、運転どころか日常生活も儘ならない状況となって、やはり愛車を処分されている。
 安心感を覚えつつも、私の周りから一台、また一台と愛すべきクルマが消えていく状況に、一抹の寂しさを禁じ得ない。

 とか言いながら、数年後に我が子たちがクルマを操縦するようになれば、クルマ生活が次なる展開を迎える一方で、新たなリスクと費用負担の発生に四苦八苦するのだろうが。
 その頃、どんなクルマ社会になっているのか。
 楽しみでもあり、不安でもある。


Posted at 2021/05/05 22:27:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車 | 日記
2021年03月07日 イイね!

剽窃

剽窃 そろそろ桜の開花も見通せるかと思える日曜の午後、買い物に出掛けたついでに遅い昼食を摂るべく川越街道を北進していた。

 以前であれば川越の中心市街地に入る手前、駅の最寄で言えば東武東上線・新河岸駅の北西にあった「すた丼」を選んでいたところだが、生憎撤退してしまった。
 さてどの店に入ろうか迷っているうちに、その「元・すた丼」店舗に差し掛かると、ラーメン屋「百歩ラーメン」が開業している。これ以上逡巡しても決められないと考え、入ってみた。



 ラーメン店としては、平均以上の味とCPだと思う。
 特段、記憶に残る味でもないが、決して不味いわけでもない。

 でもね、店頭の能書き(「長寿の秘訣は…」云々)、テーブルに刻み長ネギと高菜、替玉ができる太麺の豚骨ラーメンって、まんま川越街道の銘店「一指禅」のパクリだよね。
 ビジネスモデル登録なんてしていないだろうから、真似したって法的な問題は無いのだろうけど、ラーメン好きかつ「一指禅」ファンとしては看過し兼ねる。

 よって、提供される食事の質に対する評価とは無関係に、リスペクト無き模倣と断じ総合評価はゼロ。全くお勧めできないし、私も二度と行かない。


 お読みになられた方が、どうしても行きたいとお考えなら、川越街道を南下した沿道にあるオリジナル「一指禅」を訪れてからにしてほしい。
 尤も、オリジナルを超えるコピーが存在し得ないことを思い知るだろうが。


Posted at 2021/05/09 00:17:32 | コメント(0) | トラックバック(0) | | 日記
2021年03月06日 イイね!

芝工

芝工 今日は所属する大学技術士会を経由して案内のあった芝浦工業大学・芝浦技術士会のイヴェント「第15回技術士フォーラム」(事前申込制・参加費無料)を拝聴した。
 今年度は、大学技術士会関連では東工大・蔵前技術士会に1回(10月)、東大・赤門技術士会に10月2月の2回、そしてこの度の芝工大・芝浦技術士会と、計4回参加させていただいた。

 今回も感染拡大の影響でウェブ開催となり、参加4回のいずれもウェブ開催となったのは、昨今の状況を反映している。
 ちなみに、いずれのイヴェントでも主催者のご配慮により、参加エヴィデンスを取得、それぞれCPD(継続研鑽)の記録を残し、1~2前後のCPDポイントを蓄積させてもらった。
 そのCPDポイント蓄積について、一昨年度は年間推奨の50Pを大幅に上回る200P超え、今年度は土木業界関連でもウェブ開催の講演会が定着したこともあり、参加のペースが上がって300Pに達する勢いである。

 建設業界エンジニアのCPDポイントは、勤務先が入札に際して有利になったり、経営審査で評価されたりと、実務上のアドヴァンテージとなるので遺漏なく蓄積していかなければならない事情がある。


 さて、今回のイヴェントは昨秋・東工大の講演会に引き続き「宇宙」。
 テーマこそ重なったが、先行した東工大に劣後することなく、卒業生が宇宙開発の重要なプロジェクトに深くコミットしているだけのことはある。
 最高峰にして最先端の話題を、汎く無償で提供していただけるのは、実績ある学び舎にして研究機関の底力である。

 はやぶさⅡプロジェクトについてのご講演をされた、JAXAの中枢で研究をされている久保田孝教授は芝工大のOBではないものの、埼玉県立浦和高校から東京大学に進まれており、やはり埼玉県立高出身の私個人としては、そこはかとない親しみを覚えてしまう。

 探査ローヴァーについてご講演された飯塚浩二郎教授は、芝工大の現役研究者で、地質や勾配などありとあらゆる条件下でも安定的に移動可能な駆動システムの研究を紹介されていた。
 宇宙探査だけでなく、地上においても極地における探査活動や、災害対策のための不整地モビリティーに応用可能な、間口の広い研究であるものと感じた。


 我が国最先端の知性に触れ、満足のうちに講演会を終えた。
 ウェブ講演会の運営も、極めて安定しており、主催者・参加者双方の慣れもあってかリアルな講演会と比べ、充実度に差が無くなってきた。

 東工大・芝工大ともに、技術士会だけでなく同窓会または校友会組織も講演会の運営にコミットしていて、強固な体制を組んで臨んでいるからこその安定感、なのかもしれない。
 私が所属する大学技術士会においても、今後の運営の参考とさせていただきたい。



プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
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