久しぶりに早起きして、伊豆西海岸を走ってみようと思いたった。
早起きといっても、以前の様に、AM3時とか4時とかの事ではない。
最近のパターンからすると、まぁ、6時に出発出来れば御の字だろうと踏んでいた。とりあえず、昨夜は22時30分には床に就いた。
3時30分にトイレに起きた。あと、1~2時間寝てから出発すればよかろう。
目が覚めると、窓の外は少し明るかった。時計は…?
6時45分!
なんだ、普段より遅いじゃん。
まぁ好い。寝る子は育つのだ。
起きたら、まず朝メシた。
スムージー1.8Lを3~40分間隔を開け2回に分けて飲む。
そしてポトフ。さらに昨夜の雑煮をチョイと流し込む。
なんだかんだで出発は9時を大きく回っていた。
まぁ、こんなものだろう。
以前と違い、急がなくなっているのだ。ワタシもずいぶん成長したものだ。世間一般では、これを老化と呼ぶらしい。
TypeRは、ロードスターを停めていた場所に収まっていた。
TypeRの車幅の大きさにビビっていたが、2階から駐車スペースを眺めたら、意外に広いことに気がついた。ロードスターだって、2ドアのスポーツカーなのだ。あれを停めて乗り降りできるスペースなら、4ドアのTypeRなんざ楽勝だったのだよ、明知くん。
クラッチを踏み、スタートボタンを押して、TypeRのエンジンをかける。
低いエンジン音が響くが、音量自体はさほど大きくはないので、アルピナの様にご近所への気兼ねは不要なのが嬉しい。
大晦日のバイパスは空いていた。ずっと向こうまで直線が続く区間でも、視野に入っているのはたった2台だ。外出する人はこんなに少ないのかと驚いた。
走行モードを、デフォのスポーツから、コンフォートに切り替えて、淡々と流しつつ距離を稼いでいく。大晦日は、用も無いのにパンダさんがうろついているから、用心するに越したことはない。
TypeRでは、この淡々としたドライブが比較的安楽にできる。コンフォートモードはアクセルへの反応が緩慢なので、こういう走りにはお誂え向きなのだ。6速で50kmh巡航だって出来なくはない。2Lという決して大きくはない排気量と、よく出来たターボがそれを可能にしているのだろう。
沼津の街へさしかかると、さすがにクルマが増えはじめ、街中から伊豆半島の付け根に当たる口野の信号まではノロノロのドライブとなったが、それも大して気にならない。意外に渋滞にも対応し易い、柔軟性があるクルマなのだ。
伊豆西海岸へ入っても、海岸沿いに旅館がある所までは、多少トラフィックがある。昨日や今日の昼まで仕事をして、年越しを温泉旅館で迎えようという客も多いのだろう。夕方になると、そういうクルマが更に増えるから、大晦日の夕方には伊豆へは行かないというのが昨年末に学んだ猿知恵だ。
それでも西浦を過ぎると、目の前からクルマは居なくなった。やっとアクセルが踏める。
TypeRというのは不思議なクルマで、オンもオフも冷静にイケる。ノロノロ運転を強いられてもイライラすることは少ないし、前が空いたときも冷静に踏んでいけるのだ。
クルマなんて、元々感情があるわけはないのだが、アルピナに乗っていると結構感情を刺激されるというか、感情の抑揚が生まれ易い気がするのだが、TypeRの場合はそういうことが少ない様に感じる。走るためのマシンという印象が強いのだ。
K17を走るのは久しぶりだが、やはりいつ来ても素晴らしいルートだ。
改良区間が増えたとはいえ、まだまだ狭隘部分や荒れた路面も多く、一般的には走り難い部類に入ると思われる。しかし、海面に手が届きそうな海抜1mほどの波打ち際を走るかと思えば、崖沿いの高所を夕日に光る大海原を目の端に捉えながら疾走していたり、タイトなヒルクライムの後にはストレートのダウンヒルがあったり、ヨットハーバーの横をすり抜けたかと思えば樹林帯の中を走り抜けたり、突然富士山の絶景を拝めたりと、変化に富んだドライブを楽しむことができるのだ。疾走しながら、一瞬一瞬、切り取られた様々な景色が脳裏に焼き付き、強く印象に焼き付いていく。
そんな素晴らしいルートをTypeRで駆け抜けるのは楽しいに決まっているが、どこか冷静な自分がいる。盤石の安定感が、スピード感を多少削いでいるのかもしれない。楽しさとリスク感は紙一重か? ならば、もっと踏んでやればいいのか?
前にも書いたが、TypeRは運転席からの視界も優れている。K17はヘアピンのタイトコーナーが続きしかもそれにアップダウンが重なっているつづら折れの山道が多い。そんな箇所では、とにかくコーナーの先を少しでも早く確認したいものだが、TypeRはその視界がとても広く、乗りやすい。
スポーツモードにしておけば、アクセルへの反応がビビッドで、ステアリングもクイックなので意に沿ったドライブが可能なうえ、視界も広く扱い易いとは、なんと良くできたクルマなんだろう。
とは言え、やはり良いところがあれば、欠点もある。スポーツ方向での出来の良さとは裏腹に、コンフォート方向では多少難点がある。
TypeRは乗り心地が良いという評価を時々見る。自分でも乗り心地が良いと書いたことがあるが、K17のように荒れた路面が多い道路では、コンフォートモードを選んでいても、時折、ドシッ!ドシッ!という衝撃が脳天を直撃する。小休止のために寄った土肥の市営駐車場では暫く頭が痺れていたほどだ。乗り心地が良いというのは、『ニュル最速を競うようなリアルスポーツとしては』というエクスキューズが付くと理解するのが正確だと思われる。
そして、ハッチバック形状と車体の軽量化の影響なのか、どんな路面を走っていても、常に後方からタイヤノイズが響いている。これは、乗用車としてはチョット頂けない。
これまでは、筑波山から北の比較的舗装状態が良く、道幅もしっかり確保されたルートを走ることが多かったが、TypeRで初めてK17を走ってみると、意外に色んな事に気づかされた。
それでも、やっぱり、このクルマで日本中を走り廻りたいと思う自分がいる。
なんでだろ~、なんでだろ~、なんでだ、なんでだろ~♪