こんにちは。しんぼぽんこです。ポルシェ991.2GT3RS 2020年の話を続けます。
前回は991Rの存在に苦悩?する話まででした。今回の話もきっかけはYouTubeで米国人のあげた動画がきっかけです。(最近の動画の普及は凄いですね…静止画派のわたしはついていけません)
その動画、マクラーレン720Sがとてつもなく速く、ゼロヨンチャンピオンだという内容です。(もちろん改造車には勝てませんが)半信半疑で動画を観ると確かに速い。停止からの加速だろうが、走行中からの加速だろうが、関係なしに速い!
これはちょっと720S実物を見てみたいなと思い、以前570GTを拝見&試乗させてくれたディーラーの担当者に連絡します。試乗も含めて、ふたつ返事でオッケーを頂き約束の時間に訪問します。
ショールームに着くと担当セールスさんが、720Sの試乗車のホイールを磨きながら「お久しぶりです!」と挨拶をしてくれます。以前540Cおよび570Sを比較検討していたものの、結局991.2GT3RS購入になった話はしていたので「991.2GT3RSはどうですかー」と聞かれます。
わたしも「720Sはどんなんですかー」と返します。すると「720Sは素晴らしい乗り味ですよ。例えばフェラーリだと最新の488は高級サルーンの様な乗り心地になっちゃいましたからね。うちのは乗って納得ですよ。」と車好きのツボをついてきます。
掛け合いもそこそこに、720Sの試乗になります。約3500万もするスーパーカーをあまりにも惜しげなく案内なさるので戸惑いましたが、マクラーレンの良さは乗らないと分からない!がこの担当セールスの持論とのことで遠慮なく試乗に入ります。
ちなみにマクラーレン720Sのスペックは、
4543×1930×1196
1420kg (DIN)(→GT3RSより50キロ軽い)
3.9リッターV8ターボ
最大出力720ps7500rpm
最大トルク78.5kg5500rpm
※サーキットではリッター1くらいだそうです。
991.2GT3RSと、長さは同じ、幅は5センチ広い、高さは10センチ低い。馬力は、GT3RSよりGT2RSに近い数字ですね。。この試乗車は走行約3300キロでタイヤの溝はやや少なくなっています。(皆さん踏んでますね。。)
ディヘドラルドアを開けて室内にアプローチします。570系より横方向への展開幅が数センチ減り約45センチあれば開けれるとのこと。ミラーを含んだ車幅が212センチ、片側ドア展開で約240センチ。ドアが跳ね上がる高さは約200センチ。
まあいずれにしてもイオンとかに乗っていくクルマではありませんね。隣にクルマがいると怖くてディヘドラルドア開けられないですよ。。(BMW i8しかり)
ポルシェより低い着座位置の運転席に座り、やや合わせにくいパワーシートスイッチに悪戦苦闘しながら、ポジションを決めて、視認性を確認しますが720S素晴らしく良い視界です。(マクラーレン車はみな視認性が良い)
720S、エンジン始動直後は中々勇ましい音ですが、1分ほどでトーンが下がり段々落ち着いてきます。このエンジン音は外で聞いたらいわゆるスーパーカー系V8エンジンのサウンド。
しかし、なぜか室内で聞こえる回転音(サウンド)は違います。強いて言えば以前試乗したホンダシビックTYPE R(FK8)のエンジン音に似ています。湿った感じが消え完全に乾ききった音です。これはこれでレーシーで良いのですが音の厚みに欠けます。
ですので、屋外に響き渡る音そのままを車内で期待するとやや拍子抜けします。この点は室内外音色が同じの570GTの方が個人的には好みですね。
指定ルート(下道→高速→下道)で試乗を開始します。Dレンジで走る分には、スルスルとシフトアップしといくところや乗り心地のしなやかさは991.2GT3RSと全くといっていいくらい同じ。(やはり行くつくところはこの感触なのかと。)
そして高速道路に上がり、アクセルを踏み込みます。
グィぃぃーン!!
アクセルオンして3.9リッターターボが効いて行く様子は、意外にも以前試乗したシビックTYPE R FK8の2リッターターボエンジンと相似形です。(馬力は720馬力vs320馬力と倍以上違いますが)エンジンを回し続けるとぐんぐんトルクの厚みが増していき底無しにパワーがある様な錯覚を覚えて怖くなります。。(720馬力、実際底なしですね。まだまだ足回りにも余裕があるのに人の限界が先にくる)
しかもターボエンジンとは思えないくらい回転が軽い!全く摩擦がない印象です!(この点もNAの991.2GT3RSと互角。ターボエンジンでこの回転の軽さですから720Sすごいですね。)
ミッションと足回りの感触は高速道路に上がっても991.2GT3RS同様あくまで心地よくしなやかさMAX。室内の様子は、アイドリング、低中回転域ではGT3RSよりやや静かな程度ですが、高回転域はGT3RSよりかなりマシです(GT3RSがうるさ過ぎる)それ故に惜しいのは風切り音。ある一定の速度になるとドアミラー付近から大きくなります。
担当セールスのすすめで走行モードをトラックに換えます。ゴツンゴツンと相当に足回りが引き締まります。GT3RSスポーツサスオンと同等の硬さです。(サーキット用ですね)トラックモードは高速道路ではちょっとバンピー過ぎるので(セールスにバレない様に)すぐにスポーツに戻します笑。
そして、しなやかさを担保したまま、無理のない範囲で高速コーナーを駆けます。コーナー旋回時はリヤは軽く、こちらは981GT4と同じ感覚。(ミッドシップですからね)また、操舵感はニュートラルで癖がなくシビアなクルマだという感じは受けませんでした。(要は乗りやすい)
ある程度スピードが乗っていると、はっきりと車体の軽さを感じます。(991.2GT3RS 1470kgに対して、マクラーレン720S1420kgと50kg軽量)
そして、ある程度踏み込んでもフロントノーズが浮き上がる気配は全くありません。(セールスさんはフェラーリ488、ランボルギーニウラカンではこうはいきません!と熱弁)
ちなみにRRのGT3RSもどれだけ踏み続けてもフロントは全く浮きません、故に互角ですね。
ブレーキに関しては570GTより踏力が少なくて済みました。(570は結構強く踏まないとダメだった。改善されたのでしょう。)そして踏み具合に対する効き具合はポルシェ991.2GT3RSと同じでこちらも互角。(私のRSは鋳鉄、720Sはセラミック)
ただ、720Sのブレーキには難点があり、強く踏むとリヤウイングが上がりエアブレーキが発動して車体を安定させるんです。傍目には超かっこいいのですが、これが曲者で最大に跳ね上がるとバックミラー越しの後方視界が突然!半分になるんです。正直参りました。
このエアブレーキの作動量をバックミラー越しに確認しようとスポーツモードのままブレーキング→自動シフトダウンして加減速を繰り返しますが、もう加速力も減速力も「超強烈」でリヤウイングがウニュっと上がるたび気分が悪くなりました笑(セールスさんは慣れたもので平気でした)たぶん700馬力の991.2GT2RSもこんな感じなのでしょうね。
ポルシェ、マクラーレン、どちらが先かは分かりませんが、GT3RSのPDKスポーツと720Sのデュアルクラッチのスポーツモードの反応速度や自動減速の癖は全く同じ、そっくりです。720Sは、エンジン回転の鋭さはNAのGT3RSにはかなわないかわりに少しアクセルを開けるだけでブラックホールに吸い込まれるように加速する。。。同様の領域に持っていくにはGT3RSは9000回転目掛けて少し回さねばならない。。
991.2GT3RSがどしっとしたゲテモノマシンに対して、720Sは軽快なアスリートマシン。といったところでしょうか。
スリリングな高速試乗を終えて下道を流しながら、セールスさんに「720Sがびっくりするくらい991.2GT3RSに似ていたこと」を話します。セールスさんは「マクラーレンがポルシェを真似たんですかね、ハハハ。」と掛け合いながら、結構991.2GT3RSが気になる様子でした。(720Sの圧勝と思っておられたのかもしれない)
わたくし、この日は話題のスーパースポーツに乗せて頂いて疲れ果てて帰宅後爆睡。
そして、翌日。。
朝起きると首が痛い。
ムチウチの症状です。
すぐ気付きました。
720Sの強烈な加速Gと減速Gのせいだと。。。
2008年のR35GTRの高速試乗以来のことでした。
次回に続きます。
読んで頂きありがとうございました。