・・・が観たくて、6月23日(土)に岡山国際サーキットまで行ってきました。
2012年春のデビューからずっと86に乗りたい乗りたいってホザいている私ですが、86/BRZレースをナマで観るのは初めてでございます。
と・・・その前に、そもそも「86/BRZレースとは何ぞや?」という所から説明しましょう。
86/BRZレースは、先日ル・マン24時間レースを制したばかりのTOYOTA GAZOO Racingが支援する参加型モータースポーツで、86/BRZがデビューした翌年の2013年から始まり今年で6シーズン目になります。
国内Aライセンスをお持ちの方でしたら、トヨタ86の「86 Racing」かスバルBRZの「RA Racing」をディーラーで購入し、事務局にエントリーすれば参加できる国内最高峰のワンメイクレースです。
・・・とまぁ、ここで説明を終えると、参加している当事者だけが盛り上がるただのワンメイクレースというふうに聞こえますが、この86/BRZレースの特徴はレースで飯を食っているプロのレーシングドライバーが参加していることです。
主にGT300クラスで活躍されてるプロドライバー達がメインですが、その数なんと30人以上ww
86/BRZレースが始まった当初はプロ・アマ混合で同じステージで戦ってましたが、さすがにそれじゃストリートファイトにプロボクサーが混じるようなもんなので、2015年からはアマチュア向けのクラブマンシリーズとプロ向けのプロフェッショナルシリーズにクラス分けしてレースすることになりました。
ただ、プロフェッショナルシリーズもクラブマンシリーズも使う道具は基本一緒なので、アマチュアドライバーにとってはプロドライバーという分かりやすい目標があり、プロドライバーに追いつけ追い越せと自分の腕を磨くことが、何年もレースを続けたくなるモチベーションに繋がります。
しかも最近では、86/BRZの乗り方のツボを心得たアマチュアドライバーがプロドライバーより速く走ってプロを驚かせることも増えてきました。
一方のプロドライバーが集うプロフェッショナルシリーズの雰囲気はというと、自分の身銭をはたいて買ったクルマに乗り、帰りの足を心配しながら走るクラブマンシリーズのアマチュアドライバーとは違って、チームが用意してくれたクルマに乗り込み、ぶつけても修理代はチーム持ちになるので、負けることが何よりも嫌いなプロドライバー同士、毎回クルマの限界ギリギリを攻めたガチガチのガチバトルが繰り広げられます。
そして超接近戦の末、クラッシュしてしまうこともしょっちゅうです。
……うわぁ、目の前でスピンモードの86がぁーー!!
ドカーーン☆☆
いや~。
レーサーにクルマなんて貸すもんじゃないですね~(笑)
とはいえプロのレーシングドライバーは、雑誌の筑波アタックやベスモのバトルなどでご存知の通り、与えられたクルマのポテンシャルを100%引き出すことが得意な人種です。
パット見エアロパーツもリヤウイングも付いてない地味な86も、プロドライバーの手にかかれば岡山国際サーキットを1分50秒台前半で走ってしまいます(驚)
86やBRZで岡山国際サーキットを1分50秒台前半で走るためには、車高調を入れてハイパフォーマンスなタイヤにブレーキチューンを施し、さらに吸排気やコンピューターをカスタマイズしてパワーアップを図り、エアロパーツで武装して空気を味方につけたクルマに仕上げてから、岡山国際サーキットを何周も何周も走って練習してようやくたどり着く領域です。
>たまたま助手席に乗せてもらえたツレの86。
18インチのアルミからビッグキャリパーが強烈に主張しています☆ウヒョー(゚∀゚)
一方の86/BRZレースの車輌のブレーキはというと……
たまたまタイヤを外していた瞬間をスマホで撮影したので少し小さいですが、ブレーキシステムは純正のまんまです。
レギュレーションで認められてるのはブレーキパッドの交換だけです。
さらに86/BRZレースで使用されるタイヤは18インチでも17インチでもなく、なんと16インチの205/55R16!
今やスイフトスポーツでも17インチを履く時代に、S14シルビアのK'sと同じサイズのタイヤでレースをしていることに驚いています。
しかもそんな細いタイヤで1分50秒台前半を出すんだから、二度驚いてしまいます(笑)
エンジンの方はエアクリーナーやオイルエレメント以外は基本ノーマルのまんまです。
マフラーも純正から交換することはできません。
そんな非力なエンジン(失礼)で、岡山国際サーキットを1分50秒台前半で走ってしまうんだから、もう三度も驚いてしまいますww
その86/BRZの速さの理由、それは……
サイズは205/55R16に決めてはいるものの、タイヤメーカーは自由だということでしょうね。
この画像は86/BRZレースで使用されるタイヤの顔つきを並べたモノですが、まぁとにかくどのタイヤメーカーも雨の日の排水性を無視した大人げない顔つきをしています(笑)
一応どなた様でも購入が可能な市販タイヤではありますが、その黒いドーナツの中にはライバルメーカーより予選が速くて決勝ではライバルより強く走れる秘密がいっぱい詰まっているのでしょう。
各メーカーが切磋琢磨しあうことでタイヤの開発競争が勃発し、年々タイヤの性能が上がっていることが、この異常な速さの理由なのだと思います。
ドライ路面のコンディションで行われた86/BRZレースの予選は、最終コーナーの1つ手前の右コーナー「マイクナイトコーナー」で観戦しました。
非力なエンジンでメインストレートを1km/hでも高くスピードを稼ごうとすると、エアロパーツも無く205/55R16という細いタイヤを履いた86/BRZで、1km/hでも速くこのマイクナイトコーナーをクリアしないといけません。
そんなジレンマと戦いながら走る姿を観ていましたが、まーとにかく驚きの連続でした。
スマホで録画したムービーをキャプチャーした画像ですが、車体をアウト側に傾けながらノーブレーキで突っ込んでいるのがお分かりいただけますでしょうか?
ロールケージとストラットタワーバーでボディ補強しTRDの車高調で足回りを固めてはいますが、205/55R16の細いタイヤでマイクナイトコーナーをカットしていく姿に、86/BRZのメカニカルなコーナーリング性能の高さと昨今のタイヤ戦争の過激さを感じる事ができました。
しかもプロフェッショナルシリーズのドライバーになると、マイクナイトコーナーの進入から既に4輪ドリフト状態でアプローチしていますww
クラブマンシリーズのドライバーが高いグリップ性能のタイヤをフルに使いきっているとしたら、プロフェッショナルシリーズのドライバーはその高いタイヤ性能の限界を越えた先の領域まで突入しているとも言えます。
けど、そうやって安心してコーナーを限界まで攻めれるのも、出走前のきちんとした整備があってこそです。
スゲェ~、ヒモでアライメント取っていますわ。
しかも駐車場にテントだけ張った野戦病院みたいなピットにプリウスPHVを横付けし、プリウスPHVから電源を供給しています。
いかにもトヨタらしいやね~~
こちらの86は予選前にあわててフロントガラスの交換をしています。
レース後に割れたガラスのまんま公道にでて自走で帰宅するわけにはいかないですもんね~
モータースポーツ活動に積極的な埼玉トヨペット グリーンブレイブチームは、遠方の岡山国際サーキットにも関わらず、こんなにゴージャスなピットをこしらえてました。
埼玉トヨペットさんの気合いが感じられます。
駐車場に追いやられたピットにも関わらず、整理整頓されたプロらしい作業場です。
カッコいいですわ~
一方、地元岡山の某ディーラーは予選前に出来ることは全てやったのか、もう余裕な雰囲気(笑)
そういえば予選の前でしたか、こうして左フロントタイヤを覆ってるクルマをよく見ましたが、これは何の意味があるのでしょうね~?
86/BRZレースはとても奥が深いッス(゚∀゚)
今年の86/BRZレースのシリーズ優勝の副賞には、こちらのブライトブルーの86 GT“Limited・Black Package”が贈られるみたいです。
86/BRZレースで優勝して副賞で86をゲットするって、一体どんだけ86が好きなんよ(笑)って話ですが、こうしてパドックを歩いたりコースを駆ける86/BRZを見ると、その理由がよーく分かりました。
クラブマンシリーズとプロフェッショナルシリーズ合わせて100台の86/BRZが集まった岡山国際サーキット。
この盛り上がりはかつてのマイナーツーリングのような雰囲気にも似てるので、いずれこの先30年~40年後には伝説として語られるようなレースになりそうな予感がします。
ただ、大々的に広告を打ってチケットを売ったりしていないので、この日の岡山国際サーキットはレース関係者しかいない雰囲気だったのが残念です。
入場券はひとり2000円でしたが、パドックにはスーパーGTなどでお馴染みのレーシングドライバーがあちこちウロウロし、お昼ごはんに立ち寄ったクラブハウスラウンジでは、86/BRZレースのアドバイザーの影山正彦さんやプロフェッショナルシリーズにエントリーされている織戸 学選手と共にビュッフェスタイルでゴージャスなランチを頂くことが出来ました♪
入場券の2000円なんかあっという間に元が取れた86/BRZレース 予選。
おそらく新車の販売が続く限りこのレースは存続するのでしょうけど、これからも毎年追いかけていきたいと思いました。