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2014年06月22日

旧・台北帝国大学関係の建造物を訪ねて(後編)

旧・台北帝国大学(現・国立台湾大学)については、前回のブログを参照の事。

なお今回のブログをまとめるにあたって、劉子銘ほか「Hi! NTU 解読台大的82個密碼」(国立台湾大学出版)を参考文献としたほか、Wikipediaも参照している。

また本文中に引用している古写真は中華民国文化部が運営するウエブサイト「国家文化資料庫」http://nrch.cca.gov.tw/ccahome/より、著作権保護期間が切れた画像を引用している。

なお本文中では「台湾原住民」という表記を用いているが、日本語での語感はさておき、中国語で「先住民」というと「既に絶滅した民族」という意味になることもあり、現地で広く使われている用語をそのまま尊重し使用しているものである。





青田七六の見学を終え、次なるお目当ての場所へ行こうと地図を眺めていると…

近くに国立台湾大学があり(青田七六は教員住宅なので、当然と言えば当然)、キャンパス内を通り抜けられれば、ちょっと近道が出来そうなので、大学見学を兼ねて立ち寄ってみることに。


キャンパス内は如何にも大学と言った光景で、自分の母校でも無いのに懐かしさを覚えてしまう。




キャンパス北側の、近年整備されたと思われるエリアを抜け、キャンパス中央部の歴史を感じさせるエリアへと到達。


上の写真は理学部2号館…元を辿れば1931(昭和6)年に台北帝国大学理農学部2号館として建てられた建物。

内部には当時の階段教室がほぼそのままの姿で残され、現在でも実際に使われているとの事だが、流石に立ち入って見学するのは難しいだろう。


そしてその隣が、1930(昭和5)年築の理学部1号館(台北帝国大学理農学部1号館)


なお後で知ったのだが、この1号館の「植物標本室」は大学ミュージアムの一部として一般公開されているとのこと。
(今回は事前にこの情報をキャッチしておらず、大学キャンパス見学すら当日気まぐれで決定した有様で…要は時間が無かったという話…汗)


往時の写真(中央が理農学部2号館、奥が同3号館、右が同1号館)

台北帝国大学「台北帝国大学一覧」(昭和12年)より引用(詳細は前述)


そして名物の椰林大道(椰子並木)の道を歩き


この日、卒業アルバムの撮影なのか、生憎のお天気にもかかわらず、角帽やマントを纏った学生が大勢写真撮影に興じている。まあお陰で写真を撮りまくっていても目立たないのだが(笑


そしてこの並木道、台北帝国大学時代から名物だったのだとか。(北大のポプラ並木みたいなものか?)

台北市役所「台北市政二十年史」(昭和15年)より引用(詳細は前述)


そして椰林大道の突き当たりに堂々と建っているのが総図書館(中央図書館)


デザインはレトロ風になっているものの、妙に大きくごちゃごちゃしている…それもその筈で、この建物自体は1998年に完成したもの。
但し、このデザイン…後で関わってくるので、ちょっと覚えておいて貰いたい。


そして総図書館の脇には学生活動中心という建物があり、要は福利厚生棟。



内部には全家(ファミマ)やフードコート風の学食があり、休日にもかかわらず大賑わい


フードコートには、自助餐(バイキング)や鍋貼(餃子)をはじめ、ベジタリアンなどの店まで揃っており、バラエティ豊か。(休日でいくつかの店は休業していたのだが)


一回りして、「滷味」(ルーウェィ)の店が目についたので、そちらで昼食を取ることに。


滷味については、一昨年に師大夜市でも食べているのだが…

「台湾式の煮物」として紹介されることが多く、漢方系のスープで野菜・麺・点心・練り物などを煮込んだ料理なのだが、ここの店のように「加熱滷味」と呼ばれる加熱式の場合、好みの具材をカゴに盛って店員に渡すと、その場で煮込んでくれるため「煮物」というよりも、「鍋物」や「おでん」に近い感覚になる。

ちなみにここの店は、漢方系のペーストが別に用意されており、好みの分量で味を調整することが出来る。


で、具材を選んで店員に渡し、煮込んでいる間にお会計を済ませるのだが…この段階で言葉が通じず、日本人であることがわかり…
「いらっしゃいませ。ワンハンドレット・テンね」とルー語で対応してくれ、出来上がるまでの間、英語でちょっとだけ話をしていたのだが…中国語を学びに来た留学生と思われてしまったようで、「ちょっと散策しているだけ」というニュアンスは全く伝わらず(汗


そして完成した滷味はこんな感じ。


全て混ぜて煮込んでいるので、軽い大根や油揚げばかりが目立ってしまっているが…エリンギや椎茸、餃子に餅(?)など、実は盛りだくさん。

個人的には好きに具が選べて、しかも漢方系のスープで台湾らしさも楽しめるので、お気に入りの料理の一つなのだが…但しどうしても「漢方系」ゆえのクセもあるので、誰にでもお勧めできるという訳では無い側面も否定出来ないのだが。

ちなみにお値段は、コンビニのおでんと同じで、選んだ具材の種類と個数で決まり、今回の内容で110元(≒\385)。


そしてテーブルで滷味を食べていると…年輩の女性(教授)に何やら中国語で話しかけられ、「Sorry, 我是日本人」と英中混同のルー語で返すと、流暢な英語で「あら、日本の人?滷味好きなの?どうして?」と言った具合に返事が返ってきて、そのまま会話が弾み、楽しいひとときに。


こうしてお腹もふくれたところで、再びキャンパス内を歩き始める。

そして次は国立台湾大学行政大楼(要は管理棟あるいは本部棟といったトコロ)


この建物は大正15年築の旧・台北高等農林学校の校舎で、台北帝国大学設立後に移管され台北帝国大学附属農林専門部となった。


当時の写真はこんな感じ。

台北高等農林「台北高農農学科1928第四回卒業紀念写真帳」(昭和3年)より引用(詳細は前述)


そしてこの行政大楼と、美しい庭園を挟んだ反対側が文学院(英訳を見る限り、文学部というより教養部・外国語教育施設的な機関の様子)



この建物は昭和4年築の旧・台北帝国大学文政学部の校舎。



往時の写真はこんな感じ

台湾総督府「台湾事情 昭和四年版」(昭和4年)より引用(詳細は前述)


そして更に椰林大道を歩き、次は日文系(日本語文学系所)の校舎



昭和4年築の旧・総図書館(旧・中央図書館)の建物で、往時の写真はこんな感じ

井出季和太「台湾治績志」(台湾日日新報社/昭和12年)より引用(詳細は前述)


先に紹介した1998年築の新・総図書館が完成してからは、一階部分を日文系校舎、二階部分は「校史館」として大学の歴史を扱った資料館として使用されている。

と、言うことで入館。




館内





そして校史の展示室へ

前回述べたように、ここ国立台湾大学は公式に台北帝国大学の後身校なので、台北帝国大学当時の歴史についてのパネルや、品物も展示されている。






そして旧・総図書館の建物と言うこともあり、往時の閲覧室も一部残されている。



ふと窓の外を見ると、味のある渡り廊下が



そして校史館の他、「人類学博物館」も併設されており、主に台湾原住民関係の現物資料(民具など)などが展示されている。

(室内は撮影禁止なので、廊下部分だけ)

ここで展示されている資料は台北帝国大学当時に収集され、「土俗人種学講座標本室」に収蔵されていたものを引き継いでいるものも多いとのこと。


ちなみに往時の台北帝国大学文政学部土俗人種学標本室の古写真はこんな感じ

井出季和太「台湾治績志」(台湾日日新報社/昭和12年)より引用(詳細は前述)


その他、「国立台湾大学出版中心」で発行している書籍を中心に扱う書店もあり、先述した劉子銘ほか「Hi! NTU 解読台大的82個密碼」(国立台湾大学出版)をはじめ、大学に残る歴史的建造物について書かれた本(繁体字)を何冊か買い求めることに。

書店の店員はここの学生のアルバイトのようで、ノートを開いて勉強していた手を止めて、レジ対応をしてくれる。しかし台湾最高学府の学生だけあって、実に英語が流暢。
まあ書店のアルバイトに限らず、キャンパス内で宗教系学生団体に勧誘されたりもしたのだが、日本人だというと「ヨウコソ。ワタシタチ、クリスチャン デス。プレゼント(勧誘パンフレット←中国語) ヲ アゲマス…」と言った具合に流暢な日本語が出て来きて、こちらがビックリしてしまうほど。


それらの本や校史館の展示を見ていると、大学構内に残る歴史的建造物は今回紹介した範囲に留まらず、非常に沢山現存しているほか、今回訪問した「校史館」や「人類学博物館」をはじめ、キャンパス内のあちこちに標本室などを開放した博物館施設が多く存在し、「台大博物館群」として公開されているとのこと。

正直、これらの建物や博物館を見て回ると…丸一日は必要になりそうで、また改めて訪問する必要があるだろう。今回はまあ情報収集を兼ねた「下見」程度という事だろうか。


そして二階の校史館を見学したあと、ちょっとお手洗いを借りようとすると、一階の研究室が並ぶゾーンにあるとのことで、完全に「大学の中」と言った雰囲気の廊下を歩いていく。


お手洗いそのものは、台湾としては一般的なそれなりに綺麗(まあ日本と比べて厳しい評価をしてしまうと…なのだが)な施設で、バリアフリー対応になっていたりと、なかなか。
但しペーパーが備えられていないので、用意は必要
紙どころか、ウォシュレットまで付いている日本の国立大学は贅沢過ぎなのか(汗


そんな話はともかく、日語系の校舎なので、掲示板を見ていると、日系企業や日本料理店からの求人、そして日本への留学案内などが貼ってあったりして、なかなか面白い。



こうして国立台湾大学のキャンパス内の散策を終え、正門へと出てくる。



この正門も台北帝国大学当時からの建造物で、往時の写真ではこんな感じ。

台北帝国大学「台北帝国大学一覧」(昭和14年)より引用(詳細は前述)


そして正門から外へ出ると、公館エリアというエリアなのだが、完全に学生街と言った風情で賑わっている。


学生街と言うこともあり、気軽な雰囲気の店も多く、特に一人旅の時など覚えておくと便利なエリアかも知れない。


そしてふと目に付いた看板が…


「JR」のロゴで、「MRTファッションハウス」って一体…「MRT」は台北メトロという意味で、何となく鉄分を感じてしまう看板。

そしてその下の市議会議員の看板(氏名と顔は加工している)に書かれている「現代侠女」というフレーズと、刀を持った写真もなかなか興味深いところ。


で、この公館エリアを抜けて、次なる目的地へと向かい(というか、大学構内をショートカットしてきたつもりが、完全に寄り道になってしまっている)、もう一カ所日本統治時代の近代化遺産を訪問したのだが…

<終>台湾の日本統治時代の建造物ネタには、興味のない方が多い様子なので、今回の台湾編はコレにて打ち切りにしたいと思います。
ブログ一覧 | 旅のまとめ(2014年) | 日記
Posted at 2014/06/22 20:45:26

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この記事へのコメント

2014年6月22日 22:07
こんばんは♪

昔に見た景色もあって、次も楽しみにしていますよ~
コメントへの返答
2014年7月3日 18:07
こんばんは。
お返事が遅くなり、大変失礼いたしました。

2815さんも台湾にはお詳しいみたいですね。
台湾の懐かしい雰囲気は何度訪れても楽しいものがあります^^
2014年6月22日 22:23
興味ありますよ~(^^)
新竹駅の構内陸橋にも日本統治時代のパネルが展示されていたりして、親日度がよくわかります・・(^^)
コメントへの返答
2014年7月3日 22:47
お返事が遅くなり申し訳ありません。

こうして日本統治時代の建物が評価され、ブームにもなっているのは嬉しい限りですね。
続きは…また何かの序での時にでも紹介したいと思います。
2014年6月23日 0:08
こんばんは。

大学自体が文化的価値の高い建物である事が面白いですね。
学び舎という閉鎖的な場所という事もあり部外者が入るには勇気が要りそうですが、その辺りは寛容なのですね。
それとも閉鎖的と考えるのは、日本人特有のものなのかな。
まあ、もちろん何処へも入れるわけでは無いでしょうけど、海外の大学の中というなかなか見る機会の無い場所を拝見出来て良かったです。
コメントへの返答
2014年7月5日 3:52
こんばんは。
お返事が遅くなって申し訳ありません。

歴史ある大学の場合、建物が文化財となっているケースは時々聞きますね。
有名ドコロでは早大の大隈講堂とか東大の安田講堂あたりでしょうか。
有名ドコロだと、見学者もそれなりに居るでしょうし、まあそもそも規模の大きな大学なら、誰が立ち入っても解らないとは思いますが…
ただ新設の大学や歴史ある大学でも女子大だったりすると、訪問を躊躇してしまいますけど(汗

国内ならともかく、海外となると、色々と不安もあったのですが、実際は日本の大規模大学と雰囲気は変わらず、心配するほどの事もなかったのですけどね。
2014年6月23日 22:33
近代化遺産・産業遺産が大好きですので、日本統治時代の建築物には興味が有りますよ~♪(^_^)b

赤煉瓦の壁にアーチ部分の白っぽい石材の組み合わせがアクセントになって威厳さと優雅さを出してますね♪
細かい装飾も目を引きます♪

『帝大學生之生活』・・・そのまま読んで意味が判ります♪
校歌もモニターに日本語のテロップが表示されるのも嬉しいですよね♪(^_^)b

日本の大学ですと部外者が気軽に入れるのは『オープンキャンパス』の時ぐらいでしょうね・・・
実は、今年の早春、技能検定試験受験の為、長久手の某大学のキャンパスに入った事が有りますけど・・・試験の事で頭がいっぱいで・・・( ̄。 ̄;)
コメントへの返答
2014年7月5日 3:57
今の日本で、ましてや国立大学となると、実用面で影響のない、装飾的な部分でここまで凝った建物は建てられないでしょうね…

特に台湾の場合、日本国内の古い大学と似たような雰囲気で、親しみが沸きましたよ。

繁体字中国語は、そのままおよその意味が解るのが良いですよね。
やはり漢字が解れば、情報量も一気に増えますし、やはり台湾は深くかつ快適に旅できる素敵な国だと思います。

まあ大学によるのかも知れませんが…
逆に私の母校など、キャンパスが観光地というよりも公園化していて、普通に部外者が散歩しているような場所だったので、「大学=閉鎖的」という感覚が薄く、気軽に入ってしまうのかも知れません(汗

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「@NEOCA ルノーと共通のプラットフォーム、(単純な数字だけの比較で)XVよりトルク三割増し、5ナンバーサイズで最小回転半径4.9m、郊外使用でラフに踏み込んでもリッター20は切らない燃費…でもちょっと高いかな」
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