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40℃







車載外気温計が表示した
私が車載温度計のある車に乗り出してから初めて40℃という数字を見た


この日は台風が東北太平洋側を掠めるように通過した
幸い暴風圏はなく強風圏のみで
さらに極端に強い風の影響を受ける事もなかった


台風がすぐ近くにいるのに風があんまり吹かなかったのは幸いである


だが
暑い空気の権化たる台風が近くにやってくれば……当然気温も上がる
さらに台風は低気圧の化け物である


低気圧は空気を吸い寄せる性質を持つ


山を挟んだ日本海側からも空気を吸い寄せる
冬と似た現象を引き起こした


冬の太平洋側は乾燥した風が吹き下ろす 今回もそれになった
暑い乾いた風が山地を吹き下ろしてきた


ただでさえ台風の暑さに乾いた暑い空気


地獄よ……
あの40℃は幹線道路上で観測した
しばらく走っていても下がらなかった
路面付近は50℃近かったんじゃね？


私はそんな中 魔境にやってきていた
何か古本でも……と思ったが
残念ながらなかった



私は魔境に見切りをつけ別の古本屋に行くために駐車場から動き出す
歩いている人もいる
暑いだろうなぁ 私はエアコン効かせた車内だからなぁ


通行人が左にいる 私は駐車場の道を出口に向かってしずしずと行く
アクセルは踏まないクリープ現象というやつな


まぁ我がマスィーンの場合低速はモーター駆動なので モーターがクリープっぽい速さを演出しているに過ぎないんだがね


右には軽バンがいる
バックランプが点灯


その瞬間私の妖怪アンテナ📡が何かを察知した
軽バンは躊躇なく下がった！


おおおおおおおおおお！


ガツンとブレーキ！わざと大げさにノーズダイブ！
左の歩いている人も飛び退いた！
よもや自分の歩く方向に躊躇なく車が下がってくるなんて！


歩いていた人は目を丸くして軽自動車を見る
私の存在には気がついたらしい
軽自動車の人はバツが悪そうにペコッと頭を下げる


しかし歩行者には最後まで気がついていないみたいな感じだった
駐車場の事故ってこういうパターンが大半なんではないだろうか？


頭から突っ込む駐車はこういうリスクもあるんだわよ
狭いスペースならなおさら


うむ まぁ……
暑いからな 多分仕事中ひと息つけていたのかもしれない
あの軽自動車は個人所有というより会社の……って感じだったからね


これは他人事ではないのだ
自分だってやっつまうかもしれない
運転中は周りに注意しながら運転せねばならないが
いつも気を張り続けている訳ではない


必ず気が抜ける瞬間がある
24時間張りつめたまま生きている人間など存在しない


その一瞬 フッと抜けた瞬間が危ないのだ


さて行くか
気をつけて行かねばな
明日は我が身という事だ


私は走り出す