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hornet:浮遊する青のブログ一覧

2006年04月11日 イイね!

泳げますか?

泳げますか?未だかつて,25メートル以上の距離を泳いだことが無い。
泳げると思うが,とりあえず25メートルで一息ついてしまう。
泳ぐのは嫌いじゃないが,さして面白いとも思わない。

高校に入学した夏,学校行事で臨海/林間学校に行くことになった。
1クラス約40名で8クラスあったから,320名弱。多いので二手に分かれることになる。
選別方法は単純,泳げるヤツは山へ,泳げないヤツは海へ。

体育の教師が泳ぎを見て,A~Dランクを判定する。
A,Bランクは泳げる組で山へ行く。
C,Dランクは泳げない組なので海へ行く。

林間学校は尾瀬。詩にまでなった尾瀬,行きたかった。
だから張り切って泳いだので,Bと判定された。筈だ。
が,それを記録していた生徒が聞き間違え,あろうことかDランクにされてしまった。
訂正を求めたが受け入れられず,臨海学校へ行くことになった。

私の通っていた高校は,公立なので当然男女共学だが,工業高校だったので,学年に女子は3~4名しかいなかった。
女子はみな山へ行った。そういえば女子の水着姿を見た記憶が無いな。
女子のいない海に行く意味なんか無いだろ?

臨海学校では,生徒は1チーム7~8名の『班』に分けられた。
泳げるレベルによって第1班から割り当てられる。
屈辱のDクラスは,一番泳げないランクだ。
なんと私は第14班,一番カスのチームに入れられてしまった。
実力はBだっちゅうのに。

各班には教師が二人つく。正と副で面倒を見てくれるわけだ。
その他に,ボートで全体を見張る教師も居る。

授業開始早々に我らが第14班の正の教師が体調を崩し,ダウンしてしまった。
第14班はあえなく解散,少しずつ別の班に割り振られた。
私は一人,第1班へ。
いきなり13階級特進しトップに登りつめてしまった。
そりゃそうだろう,本来実力はBだし,海に居ること自体が間違っているんだ。

しかし第1班はみな普通に泳げるヤツばかり。どうやら山より海が好きなヤツが泳げない風を装って来たらしい。
あるいは,山の人数が多いため海へ回されたか。

我々が泳いでいたのは,伊豆下田の海水浴場で,当然一般の海水浴客がうじゃうじゃ居る。
そんなところに170名を超える団体が来たって,泳ぐどころの騒ぎでは無い。

おそらく学校としては許可を取っていたろうと思うが,一般の海水浴客の制限区域の外に我々の泳ぐスペースが作られた。
一般の制限区域のさらに数十メートル沖にブイを浮かべ,我々の制限区域とするわけだ。
「これ以上出てはいけませんよ」というラインを超えた,禁断の地。
ほとんど足が地に着かない,恐怖の場所だ。
クロールは禁止。真っ直ぐ進まないヤツがいるし,人が多いので危険だから。
でも第1班だけはクロールを許されていた。
特権階級というのは気持ち良いものだ。

しかし第1班には辛い仕事が用意されていた。
我々の区域を囲むブイを敷設,撤収するという仕事が。
ブイだけを持っていくのは楽しい。ブイは浮くから。
しかし,ブイを固定するための錘(錨)をを持っていくのは,大変なことだ。
第1班で新参者の私は,錘の移動を押し付けられた。
ブイに錘を結んで,ブイを押していくということを考えたが,ダメだった。
錘が重いので,ブイも沈んでしまう。そりゃそうだろう,ブイで浮かぶ錘は錨の役を成さないし。
錘は10キロほどのコンクリだ。海水の中とは言え,これは重い。でかいし。
両手は塞がるから,泳ぐのは脚だけが頼りになる。

当時私は体重48キロ。体脂肪が無く,ほっとくと沈む身体をしていた。
当然足がつかない水域だ。撤収のときなんか,陽は落ちかけ暗くなり始めている。
錘をいったん沈めてしまうと,泳ぎながら引き揚げられない。底に降りて持ち上げなくてはならない。
(撤収のときはこれをやる。水深はせいぜい2メートルだが,かなり辛い作業だ)
だから錘を離すわけにはいかなかった。
今思うと,かなり危険なことをやらされていたわけだ。
ボートがあるくせに教師の姿は無かった。

そんな日々が3~4日続いた。
第1班は設置したブイのさらに外側で泳ぐようになった。そんなのアリかよ!

最終日には,遠泳を行い成果を試す予定だ。
遠泳といっても200メートルだが。
脱落者はボートに拾われることになっているが,ボート足りるのか?
不思議なもので,参加した全員がまともに泳げるようになり,皆遠泳を楽しみにしている様子。
私は200メートルを泳ぎ切る自信はあったが,なんとなく気乗りはしていなかった。「オマイラ,海をなめていないか?」


会社の先輩に,北海道の漁師の息子がいた。
彼は子供のころ,泳ぎを覚えさせるために船上から海に放り込まれたと言っていた。
漁師の「泳ぎ方教室」として話には聞いたことがあるが,実際に行われているとは思わなかった。
やはり人間,必死になると何かを達成できるものらしい。


閑話休題
みな遠泳(たかだか200メートルだが)に意欲満々だったが,最終日は台風接近で遊泳禁止。私は内心ガッツポーズ。

後日,学校のプールで成果を確認することになった。
泳いだ距離により,認定証をくれるとか。みんな得意になって泳いでいる。
私は25メートルを泳ぎ,プールを出た。
もちろんもっと泳げたが,土曜日の放課後で早く帰りたかったんだ。
Posted at 2006/04/11 21:12:35 | コメント(5) | トラックバック(0) | 散文 | 日記

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