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イイね!
2024年03月25日

アンチノーズダイブをどういじるか

アンチノーズダイブとアンチスクワット。クルマ好きでもこの言葉を知らないってのは普通だと思います。
弄り回してるとか、競技レベルで漬かっている人であっても知ってるくらいで、足回りをいじる特にこれを意識してる人少ないし、ましてや理解してる人はほとんどいないでしょう。
でもサスペンション設計では乗り心地とハンドリングの両立には結構重要な要素だったりするし、適切に対処するとかなり変わる要素だったりします。
ちゃんと理解する、までいこうとするとかなり難しいので、難しいとこは除いてどうなっているか、どうしたらいいかを簡単にまとめてみたいと思います。

まず、ノーマルの車両にはほぼ必ずアンチのジオメトリが組み込まれています。
それはバネを柔らかくして乗り心地を良くしたいから。乗り心地良いくらい柔らかくすると加速減速でピッチングが起こりすぎて危険なハンドリングになるので、それを抑制するために組まれています。バネが柔らかいのに前後に沈まなくなる、そうなるもので、そうなるように設定されています。
これは、アンチノーズダイブではブレーキ力をうまく使い、その反力がノーズを持ち上げる力になるようにしてあるのです。
アンチスクオートも同様にリヤの駆動反力でテールが上がるようにしてある。その効き具合はサスペンションのジオメトリで調整できるのでそうして純正のスプリングレートで丁度いい量だけノーズダイブ、スクオートするようにしてあります。
(実はリヤにもアンチダイブはありますが、リヤはむしろ浮かないでほしいのでそのように設定されています。)

これ、サスペンションのジオメトリで効き具合を調整できますから、設定次第では前後のピッチングの動きをほとんど起こらなくすることもできます。しかしながらクルマというのはノーズダイブした方がハンドルの効きがよくなりますからコーナリングのターンインではブレーキングで前を沈ませればもっと曲がるようになります。また、逆にアクセルオンでスクオートするとリヤが食って安定します。リヤ駆動車ではリヤが沈めば駆動輪によりトラクションを掛けられるのでホイルスピンや荷重抜けでテールが外に流れることなく加速できるようになります。ピッチング方向に動かないより動いた方が運動性(曲がりやすさ)と安定性(直進性)の美味しいところを使えるようになる、だからそのように設定する、ということです。

ところが、バネを交換して硬くしまうと純正のレートで丁度よかったアンチのジオメトリでは効果が過大になってしまいます。姿勢変化が少なくなって怖くないとか、ピッチング変化しない分初期のヨー変化は機敏に反応したりもしますが、丁度いい姿勢にするのが難しくなります。

バネを変える、おそらく車高調に交換して、タイヤも太くしたりハイグリップにするのでしょう。それでハイグリップの高Gで増えるピッチングとバネレートで減る分とが丁度相殺されればいいのですが、そうでないとバランスが崩れます。それは補正しないと動きの悪いクルマになる、たいていの場合はハイグップでタイムアップして、硬いサスで高Gでもロールしすぎず怖くないクルマになりますが、気づかぬうちに操作に対して曲げにくくなる方向になります、本当はもっと曲がるのです。

この対処ですが、ノーズダイブしなくなったのですから、ノーズダイブようにすればいいわけです。アンチノーズダイブのジオメトリを減らし、もっとノーズが沈むようにする。
スポーツ走行目的ならフルブレーキより少し手前でバンプタッチできるくらい沈む量まで。手前なのはすべてのコーナー入り口でフルブレーキは必要ない(したら遅い)からそのレベルでも曲がるようにしたいし、フルブレーキが必要なコーナーでは早めに済ませてコーナー進入の時点ではブレーキを戻しながらターンインすればいいだけですから。

一般走行ならフルブレーキでフルボトム、もしくはそれでもストロークが残るくらいの初期アンダーでいいかもしれません。公道でフルブレーキをするときはスポーツではなく衝突回避でしょうし、しかもキツい下り坂もあります。そこでは前荷重が過大になるので、そこで対処できず曲がりすぎてスピンしないためです。
サーキットでもダメですが、公道では絶対スピンしないことは安全上重要ですから。

さて、実際のアンチノーズダイブのキャンセル方法ですが、これは車両によって異なります。まあ大抵の場合ロワアームの後ろ側支持点を下げるのが一般的です。厚めのシムを挟むとか、高足のブッシュに交換するとかです。この場合、ノーマルではそこは前側支点より高い位置に付いていて、ロワアームが前下がりの状態でブレーキ力を受けているはずです。

そういパーツはアンチノーズダイブキャンセラー、みたいな名称でしょう。二重否定でなんだかよくわからない印象で、アンチの利きをキャンセルするとバランスが良くなる、というのがもう騙されてる感あります。
しかし、効果を理解すればわかるでしょう。実際にのって調整が必要なので少し面倒ですが確かに効きます。
似たようなものに強化スタビライザーがあります。これもハイレートスプリングをいれた場合には過剰で逆効果になってしまうことが多いものだったりしますので、スプリングを硬くしたら要調整です。

手を入れたのになんか曲がりにくい、良くない、という印象があるのであればこの調整を検討してみることをお勧めします。他にも曲げやすくする方法はありますが、それぞれ効果は微妙に異なるものです。そして目的とする効果と違う要素で補正していくといずれハマってやり直すことになります。それもまあ経験ですが。
ブログ一覧 | サスペンション | クルマ
Posted at 2024/03/25 23:11:42

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この記事へのコメント

2024年3月26日 9:33
昔乗ってたGFで車高下げて当時話題だったフォレスター用のトラバンブッシュassy付けてロアアームに仰角付けたら曲がらなくなって、アーム角度のバンザイが悪さしてるんだな?とこれまた当時話題のロールセンターアジャスター付けたら初期強アンダー、後半極強オーバーで怖くて乗れんわ💦になり全部外したら、あら?良いかも?になり、車高もノーマル程度に上げたら、それはそれは良く曲がるし操縦性も素直な良い子になりました(戻りました)結局純正ジオメトリがいちばん扱いやすい😅それ以来「余計な事はしない」おじさんになりましたw

アライメント調整以上は素人が手を出すトコじゃないですね。
コメントへの返答
2024年3月26日 12:43
スバル車はとてもよくできていて、4ストラットの同じサスで幅広い性格をつけてます。これかなりすごいです。

一方、そーでもないクルマとか、それどころか純正状態がアレだったり、そもそも純正状態というのが不明なんてのもありまして、そんなの相手にやりあってるうちにこんな風に育ちました(笑)。

GFは素の車高もそれほど高くないし、前後重量バランスがセダンより良いので(重心高いけど)、フロントだけじゃなくリヤも流れてバランスするようになってます。
前をやったらリヤも食うようにしないとファイナルオーバー寄りになりますけど、それは4WDにしたら極強オーバーで、FRなんかでは普通のオーバーの領域で、スポーツお遊び車ではお好みの範囲に入るかと。
スバルの「土砂降り豪雨の高速でも普通に真っ直ぐ走れるリヤの安定性」に慣れるとこのオーバーはダメですけど、これはまだ使えるオーバーです。

じゃあ使えないオーバーステアのクルマってなんだよ? ってなるけどそれ、本当にあるんです。(笑) 直線真っ直ぐ走らない、純正がよく分からないクルマ。(笑)
2024年3月26日 16:59
しっかり読んで反応しちゃいました。

アンチノーズダイブってクルマでもバイクでも最近は普通に電子化されてより早く、より安全にブレーキ、コーナーを抜けていくためのシステムですよね?本来は4輪であれば荷重異動中にサスの限界を超えない様に水平維持が目的かと思います。2輪でも同じアンチノーズダイブは採用されていたんですが、前輪荷重をかけコーナーを抜けてバンクさせる時脳内の平行感覚が騙されてしまうらしいです。レースなら問題なかったのでしょうが街中での危険性のほうが先だってダンパーオイルを逃がさない様にキャンセルするのが一時流行りました。ある意味バイク乗り味に影響するからだと思います。本来は戦闘力が上がるためのシステムなんでしょうが最近の電子化が優秀なんでしょうかね?
コメントへの返答
2024年3月26日 17:47
最近のバイクはそうなんですか?ABSを使うやつとダンパーの硬さを電子制御で変えていくやつは似てるけどこれとは少し効果するところが違うやつだと思います。
80年代のフロント16インチ化でクイックにするトレンド対策はそもそも16インチがクイックすぎるとか、接地面の変形が大きくて急すぎて勝手に切れ込みすぎるのをステダンやら電子制御ダンパーで何とかしようとするやつだったかと。(2輪はくわしくないので間違ってたらゴメンナサイ)
2輪の場合、タイヤのグリップ、スリップの感覚もだけど、ヒトの三半規管のセンサー限界というか、それが誤作動おこさない範囲でハンドリングをつくらないといけないので、より繊細なセットアップが必要なんだと思います。
基本2輪のフロントのスリップ=転倒で、絶対避けるべき破綻に対してクルマだとただのアンダーステアで済んでしまいます。リヤはどちらもやはり避けるべきですが前後ともに絶対避けるべき、という落とし穴があるものと無いものでは設計、セットアップの難しさは段違いです。

ここで言ってるアンチダイブはサスジオメトリー、機構的な設定だと思ってください。バイクだと一時期のスーパーカブのリンクがそれです。あれはあれで優秀だと思います。

レースバイクはもう別物、そこはレースカーもそうなんですが、前後ともに滑ってからがドライバがちゃんと仕事しなくちゃいけないコーナリングで、ハンドル切るだけで曲がれるならコーナーワークじゃない、加速できないだけの直線扱いなんです。
2024年3月28日 8:58
昔、ビモータのテージって言うハブセンター・ステアリングのバイクを友人が持ってました。
https://scuderia-okumura.com/suspension/20190909.html

私もちょっと乗せてもらったんですが、これがブレーキを掛けてもノーズダイブが完全に0になるジオメトリーを持っていて、凄くビックリしました。
フロントサスペンションが全く働いていないみたいに感じられて、まるでサスが固着してるような感覚になり、ブレーキをかけるのが凄く怖かったです。(^-^;) 

でもギャップを通過する時のタイヤを見ると、サスはちゃんと動いていましたけどね。あれはちょっとやりすぎでしたね。
コメントへの返答
2024年3月28日 16:29
いいところに落ち着くには一度やりすぎないとわからないんですよね。やりすぎて戻してベストが出せる。
そしてバイクの場合、リンクのジオメトリでやるよりもフォークの固さとバンプストッパーやる方がセットアップが容易というのもあるかもですね。

それと、ハブステアのような
リンク式の場合、アームがバンザイすると沈む側に利いてしまうとか、ちょっと分かりにくいところがあります。

自転車でフロントにリンクサスがあるアレックスモールトンというのがありますが、あれ体重に合わせてリンク角調整しないとイマイチです。

これはクルマで車高下げてバンザイアームになるとバネ固くしないとすぐ底突きするのと同じなのですが、ブレーキ荷重とストローク感がリニアでないとそれだけでかなり乗りにくいんでしょうね。

ましてやノーズダイブしないとなると全くわからないでしょうから、その違和感で体がアラート上げますよね。

でもハブステアのビモータはちょっとのってみたいやつです、うらやましい。

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「@IIcx@赤GF8 ん?ターボ配管はカンバレ(笑)
ガスケット厚と面研でインマニ幅とヘッド穴位置がズレるので今つけてるゲタ加工して段差消す。それでもボルト穴が合わない場合はラッシングベルトでインマニ絞って差し込む。
インマニ付けてからヘッドボルト締めるのはオススメしないかな。」
何シテル?   05/29 18:00
クルマ趣味は走る/直す/作る、一通りをできるだけ自分でこなします。Blogの過去記事には、今とは異なる考えの内容もありますので疑問に思ったらコメントなど頂けると...
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