ナイナイメー辺地の第1飛行隊によるお祭り騒ぎを、彼らの集合地点であり目的地でもあるワンワンセブン高地の頂上で冷然と見下ろす北方蛮族の
王者ケンメル・コナンの姿があった。
王者ケンメル・コナンの両脇には、この北方地帯までにも付き従って来た部下達で構成される
「第QSS戦車私団」を率いるゲッポル・ゲッポル中佐と、同じく元帥に付き従った
「SS(スペシャルソード)親衛隊」を率いるヒル・ハインネケル大佐が左右に布陣している。
彼らの部隊は高地の稜線を覆うように左右に長く隊列を組んで並んでいた。
そして、その背後には王者コナンの力量に惚れ込んだ北方蛮族の強面の面々が烏合の衆のように群れている。
「ズナッペス団」を率いるジェロ・ゴヤスレイ団長、
「攻殻デルタレンジャー」のリーダーであるハンニバル・バルカ(この集団は強さだけで優劣が決まるので、これといった肩書は無い。)、
「あるそん・ろう火付盗賊方」(「改」の一文字が付いていないことが意味深である。)の頭、あるそん・ろう長官達の北方蛮族が王者コナンの下知を首を長くしながらも、戦いに逸る血気盛んな仲間達を力ずくで押さえつけながら待っていた。
「第QSS戦車私団」と「SS(スペシャルソード)親衛隊」は
一糸乱れずに整列していたが、北方蛮族で構成される「ズナッペス団」「攻殻デルタレンジャー」「あるそん・ろう火付盗賊方」は隊列を組むというよりも
各自適当に群れているだけであった。
時折、戦闘を前に熱くなり過ぎている故に、他の群れと喧嘩したりしている。
また、自らが一番乗りを上げようと少しでも群れの前に出ようしてお互いに張り合ったり、口喧嘩をしたり罵りあったりと騒々しかった。
さらには、前方の敵との間に壁のように立ち塞がる「第QSS戦車私団」と「SS(スペシャルソード)親衛隊」の隊列の隙間や、その頭ごなしに獲物の様子を窺おうとして伸び上がったり、隊列に少しでも割り込めそうな隙間があれば無理に
割り込もうとしていた。
それをジェロ・ゴヤスレイ団長、ハンニバル・バルカ、あるそん・ろう長官が腕ずくで、時には
鞭や棒や辛子明太子などの武器を使って押し返していた。
北方蛮族らは何とかして自分が先頭に立とうとしていたが、どの北方蛮族も
王者コナンからは必ず一定の距離を保っていた。
ベンとハーを繋ぎとめている
綱の届かない距離は必須の危険地帯として確実に距離を保っている。
しかし、その綱が
ゴムのように伸び縮みする綱である事に気がつかない不運な蛮族も少しながら居た。
咬み傷とおしっこにまみれた不運な北方蛮族が身ぐるみを剥がされて周囲に幾体か転がっていた。
王者コナンはナイナイメー辺地で繰り広げられているお祭り騒ぎを眺めながら
思案していた。
この集団が何をしたいのかが読めなかった。
どうも、自分の居る地点に集まろうとしているようにも見えたが、あちらこちらで起こる宴会騒ぎを見て確信が持てなかった。
しかし、一番の思案どころは、この集団のどこを見ても自らの闘争心を湧き起こす
強者の輝きが見えないという事である。
この付近を根倉にしている浮浪者から大軍団が天空から出現したという報を聞いて直ぐに仲間を引き連れて集まってはみたものの、「つまらない」が王者コナンの心の声であった。しかし、コナンは直ぐには諦めなかった。
強者の中には普段は普通、時にはそれ以下だが、戦いの最中にその内なるパワーを発揮する強者が居る事をコナンは知っているのだ。
火事場の何とかである。
だが、この乱痴気騒ぎの集団の中にそういった強者が居るのだろうかかという疑問が時間が経つにつれて強くなった。
後方に控える北方蛮族の仲間達の動きも目の片隅で五月蠅かった。
そろそろ適当に餌でもあてがっておかないと、勝手に
暴走し始めるのではないかと思えた。
北方蛮族らが勝手気ままに動けば戦場はさらに大混乱状態になると創造できた。
既に敵自らが混乱して広範囲に散っている状態のところに北方蛮族が勝って気ままに飛び込んでしまうと全く手が付けられなくなる。
当然、この混乱に乗じて敵は逃亡する事が当たり前のように予測できた。
強者が戦場のそのような隙を見逃す筈がない。
危うしと受け止めたら直ぐにでもその隙に乗じて
逃げられてしまう。
それはコナン元帥の欲望を満たせないのでそれなりに困る。
そこで、コナンはまだ仲間達、特に北方蛮族達の制御が利く間に、強者の燻り出しをする事にした。
-- 灰色猫の大劇場 その6 ----------------
灰色猫が玉座に座っている。
もぐらが柱の影から玉座を狙っている。
玉座を前に螻蛄が居た。
螻蛄は何かを言いたかったが、頭脳が
おけらだった。
そして、そんな螻蛄を囮に使ったもぐらは日に当たりすぎて
熱中症で倒れた。
もぐらは強い日差しに弱いことを忘れていたのだ。
この
惨状を前に灰色猫は静かな一時を
玉座の上で寛いでいた。
--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
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Copywright 2018 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2019/01/03 19:36:53 |
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