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2021年08月29日 イイね!

物語A215:「動いた山」

「第QSS戦車私団」と「SS親衛隊」(こっそりと紛れ込んでやりたい放題の悪さをする「金」の玉の芝狸達も含む)の堅固な包囲網は、森から出現した「窮鼠」に続き「第32装甲私団」の次は「45独立特化組」と次々に襲われて崩落の一途を辿り始めた。
その後を追って森から現れた有頂天「ヒホンコー部隊+」の改造ピコピコハンマーの攻撃で各部隊の統率は完膚なきまでに乱れ、強固であった包囲網は消失するのである。
ナイナイメー辺地の一画に封じ込まれていた乱戦は包囲網に出来た切れ目を見つけた時点で爆発的に膨れ上がる。
それはまるでアメーバーが餌を体内に取り込み、その分だけ膨張していくかのようであった。
最後に森からこっそりと出現した黒田大尉とその部下「ヒホンコー部隊-」がこの乱戦の外縁部を掻き分けながら静々と突き進んでいく。

ワンワンセブン高地の頂上には、この戦闘の一連の流れをじっと好奇の目で観察している1対の鋭い目がある。
北方蛮族の覇者である「王者コナン」の鋭い目であった。
「第QSS戦車私団」と「SS親衛隊」の包囲網戦でこのワンワンセブン高地の麓の戦いは終止符となるはずであった。
高地頂上の王者コナンも、戦場での強者の出現の無い事に落胆しつつ、同じように戦いの終わりを予測していた。
包囲網戦が苦しみ足掻く獲物をじわじわと締め付けていた蛇が最後の締めを行う寸前の様に見えていたのである。
そこへ、森から救世主のようなごっつい槍が蛇の脇腹へ攻撃を始めた。
それも波状攻撃であった。
戦闘の流れが大きく変わった瞬間である。
封じられつつあった乱戦が破裂する瞬間に突き進むのである。

王者コナンはナイナイメー辺地に大きく広がる包囲円陣へ森から次々とこの波状攻撃が加わるのを興味津々に見守った。
この攻撃が誰の手による者なのかではなく、蛇はこの攻撃をどのように受け流して、どのように反撃するかに興味を持っていた。
だが、王者コナンの期待に反して蛇は攻撃されるがままであり、成す統べもないままに包囲網は破裂へと向かってゆっくりと歪み始めてゆく。
背後からの攻撃に備えて伏兵を置いておかなかった包囲網側の落ち度だと王者コナンは断じた。包囲した事から来る慢心による油断である。
それで包囲網の崩壊が始まる中、この戦局がさらに長引く事を王者コナンは推測した。
それならば、新たに出現した部隊の中に強者が出現する事を半ば期待した。
だが、その大半は見慣れた北方蛮族か遁走した北方地域の侵入兵であったので半ば諦めもしていた。

その時だった。

王者コナンの目の前で、ごっつい槍が乱戦に勢いよく突き刺さったのである。
黒田大和猫ノ信大尉「ヒホンコー」部隊の突入であった。正確に言うと黒田大尉の存在を完全無視している有頂天「ヒホンコー部隊+」である。
改造ピコピコハンマーという凶器を振り回しながら笑顔で次々と前方に居座っている諸々の兵隊を薙ぎ倒して前進する。
一見、その行動は乱戦する部隊を掃討しているかの様に見えたが、その行動に統率性はなく、たまたま前方に居る生贄を襲っている行動がいかにも掃討しているように見えるだけであった。

そこに統率者の居ない事を一睨みで見抜いた王者コナンはその攻撃の勢いがいつまで続くのだろうかと首をかしげた。
そして、案の定その攻撃は乱戦をより大きくするだけで終わり、ごっつい槍「ヒホンコー部隊+」は次第に乱戦の中に溶け込んで行くのである。
この時、初めて王者コナンは良く知る北方蛮族に混ざってこの乱戦を繰り広げる見知らぬ武士達が一体どこの何者で、どこからやって来たのであろうかと考え始めた。
彼らが手にするピコピコハンマーをどこかで見たような気がするのだ。
武者修行の流浪中に見かけたと思うのだが、場所は思い出せなかった。

そうこうするうちに森の中から最後に出現したしんがりの武士達、いわゆる殿軍、ある意味では最後尾に位置するので「ラスト・サムライ」が森から出現する。
第二の槍で一の槍に続いて乱戦に向かって果敢に突撃をするものと思えたのだが、その期待に反して「ラスト・サムライ」は乱戦を避ける様に外皮を削ぎながら進む。
リンゴの皮を剥くようにである。

「部外者です」「お通しください」「世界は平和」「隣人を許しなさい」「小心者です」「素通りします」「襲っちゃ嫌ー」「平和の使者」などなどの旗刺し物を立てて、混濁した戦場を意図的に回避して乱戦を掻き分け乍ら進撃する「ラスト・サムライ」達に王者コナンは目を向けた。
王者コナンは「ラスト・サムライ」がどのような目論見を持っているのだろうかなどとは考えておらず、勿論の事、我が目に適う強者がその一群に居ないかと見たのだ。

槍「ラスト・サムライ」の先頭で刺股を揮う勇者に王者コナンの目と他の六感全てが集中する。
進行を妨げる諸々の兵隊を薙ぎ倒して猛進するその姿に猛者の姿を重ねて少し期待するも、不足も感じていた。
その感もあって、王者コナンはそのふざけた旗を掲げる一群にわざわざ出向く気になれなかった。
ほんの少し向きを変えてこのワンワンセブン高地の頂上、我が元まで来いとほんの少し期待するに留めた。
来れば今度こそは正々堂々と討ち合うつもりでいた。

先程討ちかかってきた強者は、ほとんどボロ雑巾の状態でワンワンセブン高地へ這いずり上がってきたのだが、不覚にも王者コナンが手を出す前にベンとハーによって撃退されワンワンセブン高地の斜面を乱戦の中へ転げ落ちてしまった。
一合でも相手をしなければ武士に対し礼を失すると王者コナンは悔やんでいた。
それで、この次の機会があれば、今度こそは我が手で討ち果たしてくれようと王者コナンは狙っているのだ。
それ故に我が手より先に手が出せないように小癪なベンとハーを手出しする前に始末しなければならないと考えていた。
これも闘争生活のはかなき宿命なのだと王者コナンは嘆き、ベンとハーの背後で静かに二つの背中を見下ろす位置に佇んでいた。
ホールインワンの丘は何処と当たりの雪景色のグリーンを見渡す。

だが、王者コナンの強い期待は届かなかった。
勢いの良い「ラスト・サムライ」達は高地へと向きを変えないで素通りしようとしている事はその動きから明白であった。
戦闘を避けるとは敵に背を向けているようなものである。
全く卑怯千万な奴らである。それでも戦士か?武士か?剣闘士か?、と王者コナンは罵ってやりたかった。
その反面、卑怯者を相手にしても卑怯な戦いとなり、我が戦歴に泥を塗る事になるから相手にしない方が良いのではないかとも考えていた。
マルケットベルト作戦の全容を王者コナンが知る術がないので、黒田大尉の目論見を看破できずにその様に考えるのも致し方なかった。

その時であった。「ラスト・サムライ」達が組む槍の穂先でハインネケル大佐が宙を舞い花を咲かせたのである。
王者コナンはその光景を見逃さなかった。
傾奇者としてのハインネケル大佐の一世一代の豪華絢爛な披露である。
王者コナンと言えども気が付かない者は無いのだが。
「ほほ~う」卑怯者にしてはなかなかな飛翔距離を出すものだと感嘆の溜息を漏らす王者コナンであった。
打ち出しの姿勢もタイミングもなかなかに格好が良いとさらに王者コナンは感心して評する。
そして、感服しながら見ているその前で、立て続けざまにモデル中佐が宙に鼻血花を咲かせて大空で傾いた。

「う~むっ!連続花火とは。それも鼻血花をこうも鮮やかに咲かせるとは・・・。ふむふむ、只者ではないのぉ~。」そう呟きながら是非とも一戦を相まみえたいものだと思い始める王者コナンであった。

一寸の間が開いた後、王者コナンの目前で、さらに高く、より目立ち、そのうえどす黒い雨を広く周囲にさんさんと降り注ぎながらカン親分の巨漢が流星の如く宙へ舞い上がった。
前の二つよりも豪華絢爛で、ふた味も違った催しであった。
今までが3尺玉であれば、これは5尺玉であった。
それを目にした王者コナンの心体が一時停止した。
実は5尺玉などを打ち上げる事すら、非常に困難な事のである。
故に古今東西にないあまりにも衝撃的な光景だったのだ。

事実、降り注いでくるどす黒い猛毒にも匹敵する雨の下で、大口を開けて上を見上げていた村民兵と北方蛮族達の間で悲鳴が沸き上がり、地上も空中ショーに負けずに大騒動となっていた。

ハインネケル大佐もモデル中佐もカン親分もそれぞれがそれぞれに一つの部隊を率いる猛者である。
その猛者達がいとも容易く、それも立て続けに舞い上がった挙句に宙で花開いたのである。
どれも、その打ち上げタイミングも、打ち上げ速度に角度も、飛翔高度に、空に描く理想的な放物線も、頂点近くで破裂するタイミングと華麗さ、どれをとっても満点であった。
あそこにいるのはひとかどの猛者に違いないと王者コナンが確信するのも無理は無かった。
どの花火も実は寸前の戦闘でかなりに弱っていたなどとは王者コナンに分かろうはずがなかった。

「我に相応しい強者があそこにいる。」なのである。

王者コナンの目が強く語っている。
その強者の姿を想像しただけで王者コナンの内に闘志が自然と沸々と沸き上がってくるのである。
ベンとハーはこの王者コナンのオーラの変化を感じとるなり、自らの役目を達する為に王者コナンに先じて動いた。

王者コナンは決心する。
なにがなんでも、あそこに居るあの強者と相まみえねばならぬと。
相手が我を避けて逃げるのであるならばこちらから出向いて行くだけである。

「あれに在るらんは我が生涯の好敵手」と宣い「帰り入らせぬものか」と床几から勢いよくお腰を上げるなり戦車にいそいそと歩まん。

王者コナンの決心を先取りしていたベンとハーは、既に戦車に取り付いて所定の位置に並んでおり、戦車上より手綱による合図があれば猛然と引っ張って突進する態勢に入っていた。
二匹とも体中の毛を逆立て、牙を剥いて鼻息を荒くし、後ろ足で地面を引っ掻いて雪を蹴上げている。

戦車の車体が揺れるのをベンとハーは感じとり、王者コナンが車上に乗り込んだ事を知る。
ほとんど同時に手綱から二匹の体に力強い出発の合図が発せられる。
ベンとハーは間髪入れずに、戦車を力強く引き、戦車上で王者コナンが僅かに背後に仰け反った。
戦車はワンワンセブン高地の頂上から麓に向かって真一文字に駆け下り、後方で激しく雪煙が巻き上がった。
土煙も巻き上がる。
草や石も巻き上がり、有象無象の村民兵が敵も味方も関係なく巻い上がった。
それは、電光石火のF村侵攻作戦「パシリ大戦車作戦」の再来を思わせる驀進であった。

ベンとハーが遠吠えを上げる。

-- 灰色猫の大劇場 その22 ----------------
灰色猫が玉座に座っている。
犬の警察署長が柱の影から玉座を狙っている。

玉座を前に犬の熱血おまわりさんが居た。
犬の熱血おまわりさんは赤切符’s(再々発行)を手にしている。
署長の前で今までと同じ失態はできない。犬のおまわりさんは決死であった。

灰色猫が犬笛を咥える。その時走り寄る影があった。
犬笛を鳴らし、彼方に向かって指をさす。

走り寄った影も正体、犬の警察署長がその方向へ走っていった。
釣られて、犬の熱血おまわりさんも走って行く。

楽しそうに尻尾を振る二匹の後姿が遠ざかってゆき、見えなくなってしまった。

忘れ去られた赤切符’s(再々発行)を回収して、丁寧に燃やしてしまう灰色猫が最後に残た。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2021 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2021/08/29 21:23:16 | 物語A | 日記
2021年08月22日 イイね!

シュツエーション その3

赤富士も
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青富士も
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麓に映える桜かな。
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今日も元気で
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お利口な
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子供たち。
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Posted at 2021/08/22 19:06:44 | ぼーや木: ご当地狩れー | 日記

プロフィール

「プリウスミサイルというが・・・ http://cvw.jp/b/1467453/47466114/
何シテル?   01/11 12:41
FreeDog(寒;)です。よろしくお願いします。 好きな言葉「笑う門に福あり。」 さぁ、みんなでブログ読んで笑いましょう! 嫌な真実「My JOKE...
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