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2020年01月23日 イイね!

物語A203:「一騎打ち」

「マイウェイ」という茨の道を歩むゴメリー中尉はついにその終端であるワンワンセブン高地麓の登山口「入山禁止」に辿り着いた。
ちなみに、ワンワンセブン高地は丘であって、山ではない。
なので、この名付けにはいささかも間違いは無いのだが当時の村々のセンスがかなりの度合いで疑われる事実である。
ゴメリー中尉の背後を守って付き従ってきた第30軍団の猛者達は、中尉がこの登山口「入山禁止」に到着した時には一体残らず戦場の混沌と暴力という海の中へと消え去っている。
護衛する任務を中尉自身には気取られなかったもののその事は彼らの忠誠心にあまり意味がなく、彼らの志が達成された事が一番の大事であった。

中尉の後に続いていた猛者の中には、後ろを見る事なく先を急ぐ仲間の後姿に敬礼しながら、その志を仲間のその背に託して、敵の張扇渦巻く海の中へ深く沈んでいく猛者の姿が何度も見られた。
敵を羽交い絞めにして胡椒の嵐の中に没してゆく猛者の姿も見受けられた。
その友を救うべくマスクを片手に、みずからはマスクをしていない口を手で塞いで勇敢にもその嵐に飛び込んでゆく戦友がいた。
馬糞、牛糞、鳥糞にまみれ乍ら仲間に救出を求めて差し出された手があった。
だが、これは誰もが無視して先を急いだ。

猛者達の意を酌むには、ゴメリー中尉が高地の頂上に中尉自身のその足で立つ事である。
それが彼らの犠牲に誠に報いる返礼であった。
眼前に立ちはだかる高地を見上げながら、この勾配を我武者羅に登るのだと、猛者達の最後を心眼で見つめ続けていたゴメリー中尉は強い意思を発散した。

比喩的な表現であるが、こうしてゴメリー中尉は味方の屍を踏み越えて高地へ登る道に、未踏の地へと向かう第一歩を踏み出したのである。
ゴメリー中尉の心眼にはその踏み出した一歩の足が地面にくっきりと映え、月面の第一歩の足跡と同様に光り輝いてい見えている。
しかし、次の栄光の第二歩が無かった。
ゴメリー中尉はその二歩目の足を踏み出せなかったのである。

ゴメリー中尉の立つ「入山禁止」登山口の近くであるそん・ろう長官は張扇を振りかざして打ちかかって来る「第QSS戦車私団」と「SS(スペシャルソード)親衛隊」の兵士を蠅のように払い落としながら憮然とその場で仁王立ちしていた。
配下である「あるそん・ろう火付盗賊方」のほとんど全てを失い、残された僅かな配下とも逸れてしまったろう長官はその場で孤軍となって闘いながら部下からの戦闘情報も得られない中で状況把握も出来ないまま憮然としていた。

先ほどまでは仲間であり味方のはずであった第QSS戦車私団兵やSS親衛隊員に襲われている事は充分に承知しいた。
それはいつもの事だったが、配下を失った今は青瓢箪のゲッポル・ゲッポル中佐とヒル・ハインネケル大佐の顔や卑屈な態度を思い出すと無性に腹が立った。
南から来た余所者である。

戦車私団兵が宙を舞った時、その舞い落ちる先に一歩を踏み出して希望のオーラが湧き上がっているゴメリー中尉を見つけた。
逆に希望を失ったろう長官にとってはまたとない獲物であった。
そのろう長官の怒りの鞘当てになるゴメリー中尉は不運であった。
そして、希望を無残にも打ち砕くために一騎打ちの戦いをろう長官は挑んだのである。

栄光の二歩目を出そうとして片足を上げたゴメリー中尉の襟首を素早く掴むなり、ろう長官は背後へ思いっきりゴメリー中尉の体を投げ飛ばしたのだ。
不覚にも投げ飛ばされた中尉は雪の上を転がった。
雪に足を取られつつも二回転して、素早くゴメリー中尉は立ち上がり、自身と登山口との間に仁王立ちしているあるそん・ろう長官の巨漢と対峙した。

腰に縛り付けた陣太鼓を山馬流「一打一打」で淡々と単々にタンタンタンタンと打ち鳴らしながら、巨大なごっつい胸を張ってあるそん・ろう長官は物事に動じない全くの無表情な厚顔でゴメリー中尉に一歩一歩と詰め寄る。
ろう長官の大きな影が中尉に覆いかぶさって来る。
その脅威に尻込みせずにゴメリー中尉は迫り来る分厚い胸板に先祖伝来の張扇を叩きつけ、ろう長官の巨体をその一撃で後ろへと押し返した。
だが押し返されてもまた、陣太鼓を淡々と単々にタンタンタンタンと打ち鳴らしながらハト胸を目一杯に張って、ろう長官はゴメリー中尉に詰め寄ってくる。
顔筋一つとて変えていない不気味な厚顔もまた同時に迫って来る。
ゴメリー中尉はこの執拗で単調な太鼓のタンタンタンタンという音に閉口しながらも、力強く張扇を振るって打ちつけ、ハト胸をまたもや押し返した。
しかし、ろう長官はまたもや少し後ずさっただけで、直ぐに何事も無かったかのようにゴメリー中尉に迫って来る。
陣太鼓の音は鳴り止まない。

ゴメリー中尉は三度目の正直、仏の顔も三度までと張扇を持つ腕に渾身の力を籠めて、二度と戻って来れない様にと力強く張扇でハト胸を引っ叩いて押し返した。
その手応えにゴメリー中尉はろう長官が後方にひっくり返るのだろうと期待したが、その期待は軽く裏切られた。
ろう長官は数歩後ずさったが、少しよろめいた体躯を足で踏ん張った。
この時に厚顔が少し動いた様に見えた。
ろう長官は体勢を立て直すと、何事も無かったかのように淡々と単々にタンタンタンタンと太鼓を鳴らし始め、ピクリともしていない分厚いハト胸は無表情な厚顔と共にゴメリー中尉に迫ってきた。

その後も、迫り来るハト胸を張扇で何度も叩いて押し返したが、繰り返し繰り返し迫ってくる壁の様な長官のハト胸にゴメリー中尉は少しづつ押し返され、次第に恐怖していった。
山馬流「一打ち一打ち」で淡々とタンタンタンタンと単々に打ち鳴らす陣太鼓の単調な音が少しずつ中尉の心を蝕み恐怖を増幅してゆく。
だが、あの高地に立つのだというゴメリー中尉の大きな欲望への執着心と僅かながらの使命感はまだそれに勝っていた。
目の座ったゴメリー中尉は諦める事を忘れて何度も何度も巨大なハト胸に張扇を打ち据え続けた。

打たれる都度、ろう長官は数歩後退するのだが、ごっついハト胸巨人の進撃は一向に停まる事が無くゴメリー中尉に迫って来る。
そして、ゴメリー中尉は張扇を打ち続ける。
その間も淡々と単々にタンタンタンタンと打ち鳴る陣太鼓の音が戦場に響き渡っている。
ろう長官の蝋面の無表情な厚顔と単調な陣太鼓の音のセットがゴメリー中尉の心に恐怖を一本一本と確実に植え付けていく。
このままでいくとトラウマは必至であった。
むしろ、すでにトラウマ確定と断定しても良かった。

数えられない程の何度目かの張扇の一撃の後、ゴメリー中尉は渾身の力を籠めて最後の一撃打ち込んだ。
この打ち込みはゴメリー中尉が後数回しか張扇を打てそうにないと自覚した結果であった。
その最後の力を全て掻き集めて、この一撃に賭けてその全てを注いだのだ。
もう後は無いのだからとゴメリー中尉は目に涙を一杯に貯めて打ち込んだ。
この一撃でもろう長官を倒せないならば潔く降参するしかないと思った。
降参する前に自らが力尽きて地面に倒れ伏し、巨大なハト胸に押しつぶされてしまうだろうとも考えた。
追い詰められた鼠の最後の強烈な一撃であった。
鼬の最後っ屁ともいう。

この一撃でろう長官の腰に縛り付けた陣太鼓が空を舞って飛んでいくのがゴメリー中尉に見えた。
それを見た瞬間だけは勝ったとゴメリー中尉は思った。
だが、あるそん・ろう長官のハト胸はこの一撃に対しても、いつもの如くそこに存在していたのである。
今までとは違って、今回は1ミリすらも後ずさりしていなかった。
聳えるハト胸は微動だにしていない。
これら事実を意識した時、ゴメリー中尉の気力が瓦解し始めた。

最後のこの一撃でに数々の合戦を共に潜り抜けてきた先祖伝来の張扇はついに半折れ状態になってしまい、柳の枝のように撓った。
こうなってしまった張扇はそのアタック効果が半減以下になってしまう。
張扇としての機能を失ったのである。
その張扇を片手にするゴメリー中尉はろう長官の巨大な影の中で「我の力も」これまでかと悟り、もうお終いだと思った。
負けていた。
栄光が目の前から飛び去って行き落胆はするが、精一杯に力を尽くして闘ったという少し満足気な気分が不思議に心内に残っている。
潔く負けを認めるのだとゴメリー中尉は悔しさを噛締めて思った。

そういった心境の中で、周囲のあまりの静けさが続いている事にゴメリー中尉は気がついた。ろう長官と共に陣太鼓の音は既に既に止まっている。
それは、張扇で遠くへ飛ばしたので理解できる。
だが、何かが違うとゴメリー中尉は思った。
空気すら微動だにしていない。
遠くで部下達をもてあそんではしゃぐ騒音が風にそよがれて聞こえて来るだけだった。
聳えるハト胸が近づいてくる「ずんずんずん」という効果音が聞こえていない事にゴメリー中尉は気がついた。
負けを認めてしまって項垂れた頸をゆっくりともたげる。

目前には、渾身の力を籠めた最後の一撃を受けたろう長官の巨大ハト胸が微動だにせずに聳えたままであった。
やはり、負けなのだ。
負けた獲物をどのように料理しようかと品定めしているのだとゴメリー中尉は思った。
一瞬だが、周囲の雰囲気の変化で心内から目を出しそうになった希望の芽が踏みつけられて地にめり込んだ。
ゆっくりと巨大ハト胸が押し被さって来る事を想像した。
見ないまま潰された方が良かったかもしれない、俯いたままでいれば良かったかもしれないとゴメリー中尉はそれを見上げながら思った。
最後のこの瞬間まで追い詰めてきた恐怖の対象を見たくなかったのだ。
見ないまま審判をくだされればよいと思っていたのだ。
押し潰されるのだなとゴメリー中尉は納得したが、しかし、それはまるで獲物の恐怖をさらに助長するかの如く停止していた。

しかし、よく見ると完全に停止していない事に気がついた。
微妙に動いていたのだが、その事は真正面から見上げた姿勢では判別し難い動きであった。

ゆっくり、ゆっくりと背後に傾いていたのだ。
そして、その動きは次第に加速度を伴って動き、ついには背中を下にして地響きと土埃を立てて巨大ハト胸は倒れてしまった。
ゴメリー中尉はこの展開を茫然と見つめていた。
何か不思議な物を傍観しているように、仰向けになって動かなくなってしまった丘のようなその巨大ハト胸を見つめていた。
ろう長官は陣太鼓を叩くバチを、倒れてもなおまだしっかりと握っているのが、ゴメリー中尉にとって面白く思っていた。
既に陣太鼓は遠くへ飛んでいるうえに、バチを持つ手も動いていないのだが、茫然としているゴメリー中尉の耳奥では淡々と単々にタンタンタンタンと鳴り響いている。

身動きしなくなったろう長官の塊を見ているうちに耳鳴りも次第に消えていく。
同時に心内に小さな明りが灯った。
「勝った」のだ。
その「勝った」を確信し始めた中尉の顔には勝利の笑みが大きく広がってゆく。
中尉の手から半折れの先祖伝来の張扇が地面に滑り落ちる。
痺れてしまったその手は張扇が手の内から滑り落ちた事すら感じ取る事が出来ていない。
とにもかくにもゴメリー中尉は「勝った」のだ。
それしかなかった。
勝利の雄たけびを上げた。

そして、王者コナンは足元の麓で遠吠えを上げて飛び跳ねているこの強者を見下ろしながら腕を組んで満足気に微笑んだ。
「早く登って来い。一戦交えようぞ。」と王者コナンのその笑みは物語っている。
まだ名も知らぬこの強者に思う存分我の我の相手をさせ、その生涯に輝きを添える闘いを行って、その勇猛さを盛大に称え、賞賛の証としてやろうと考えていたのだ。
これが強者に対する王者コナンの礼儀であり、それをこよなく重んじるのであった。

ひとしきり吠え跳ねまわった後、地に落ちて半分雪に埋もれた半折れの先祖伝来の張扇を拾い上げると、ゴメリー中尉は王者コナンの足元に向かって登る高地の勾配を再び登り始める。
今度の二歩目に邪魔は無かった。
ろう長官との一騎打ちで体力を消耗してふらつく体を気力で引き立たせながら、一歩一歩と歩を進めて行く。
目は高地の頂上の縁をしっかりと見つめたままだった。

引き摺るように歩む片足を雪に隠れた小石に捕らわれてしまい、ゴメリー中尉の体がよろけて地面に倒れそうになった。
素早く、ふらついた体を支えようと張扇を杖代わりにして地面に突き立て、体重を支える様に寄り掛かる。
しかし、半曲がりの張扇は中尉のその体を支える事が無かった。
中尉の体はそのままの勢いで傾いて地面に倒れてしまった。
バーナモン・ゴメリー中尉の先祖伝来の愛扇は完全に折れてしまっていた。

倒れこんだゴメリー中尉は積雪に顔を埋めてしまう。
その雪に埋まっていた石に顔を傷つけるゴメリー中尉であったが、裏腹に内心は嬉しかった。
痛みが刺激となり気力が持ち直した。
痛いと思いつつも笑いが自然と込み上げて複雑な表情をする中尉である。
しかし、起き上がれる体力はない。

ゴメリー中尉は今までの事、河を飛び越えるグライダーの飛翔感や、敵地への見事な着地。
乱戦を切り開く菱形隊形の部下達、そして任務の為に止む負えづに見捨てた部下達。
諸々の事を思い出すたびに、ゴメリー中尉はここで終わるわけにはいかなかった。
ワンワンセブン高地の斜面に手を掛け、厚くなってきた積雪を掻き分けて両手両足を動かしながら体を上へ上へと擦り上げる。
ゴメリー中尉は這いずりながら高地へと黙々と登って行くのであった。

-- 灰色猫の大劇場 その11 ----------------
灰色猫が玉座に座っている。
放火ウサギさんが柱の影から玉座を狙っている。
玉座を前にかちかち山の狸さんが居た。

かちかち山の狸さん体を小刻みに震わし、唇もピクピクと震えている。
目からは大粒の涙がポロポロと流れ落ちていた。
まさに、声を失ってしまっている状況であった。

それもそのはずで、赤い目で攻め寄る放火ウサギさんに火のついた薪を背負わされて自爆テロを強要されているのだ。
灰色猫は吹き飛ばされるのだが、その灰色猫もウサギさんの操り人形であった。
飛び散った灰色猫の人形を縫い直し、2回目の自爆テロの準備をする根深いウサギさん

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2020 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2020/01/23 22:19:10 | 物語A | 日記
2020年01月19日 イイね!

野菜 その2

何か月ぶりかの投稿。最近は忙しくて・・・(言いわけ)

「金とんカレー」!金!金!金だぁ~。石川だけに金箔入りの・・・金糸瓜?!
で、なんだこの豚の絵は???金糸瓜と豚で「きんとん」。
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というわけで、舌直しに「天栄村道の駅ヤーコンカレー」はいかが。
???俺は知らんぞ「ヤーコン」なんて。
注)ヤーコン:ヤーコンとは・・・なんて格好つけて解説出来るほど頭はよくない。ネットで調べてくれ。ニュージーランドから1985年にはるばる海を渡ってで日本で栽培された外来種だという事が分かった。他国をまねて自国の文化として発展開発してゆく文化に栄あれである。どこかの国のように、教えて貰ったアイデアを自国のアイデアと嘯いて特許申請したり、何かと自国が発祥の地である(例えば漢字)と吠える国とは根本的違う。真似た国に対しても敬意を払い、発見・発症はあそこだと真摯に語る国である(?)。
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というわけで、口直しはやはり「美東ごぼうカレー」である。
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まてまて、カレーにはやはりジャガイモでしょ。「浜中湖豚と三方原じゃがのカレー」これ一番!
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しかし、これは邪道だ。
パッケージのキャラといい、納豆にカレーの組み合わせはもう邪道以上に邪道でしょう。
「水戸納豆カレー」
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うう、キャラが可愛い。カワ(・∀・)イイ!!で、買っちゃった。
Posted at 2020/01/19 13:18:30 | ぼーや木: ご当地狩れー | 日記

プロフィール

「プリウスミサイルというが・・・ http://cvw.jp/b/1467453/47466114/
何シテル?   01/11 12:41
FreeDog(寒;)です。よろしくお願いします。 好きな言葉「笑う門に福あり。」 さぁ、みんなでブログ読んで笑いましょう! 嫌な真実「My JOKE...
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