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2021年07月27日 イイね!

事故に遭遇

2019年以来、また事故に遭遇。

今だ、動画にぼかしを掛けられないので静止画でアップ。
だが、遠距離撮影なので何だかわからない写真となった。
alt
右わきの赤っぽいのがバイク。
真中の黒いのが人。
自爆である。
道路端に寄りすぎて、砂かもしくは白線にタイヤを乗せたかで転んでしまったようだ。

カーブ曲がる時はセンターラインに寄りましょう。
ライン上は駄目。できたら車線の中央当たりか、車の轍当たり(昔の事だから忘れた)
特に道路端は何が落ちているかわかりません。
でも、センターに寄ってハングオンする時は頭に注意。
センターラインから頭が一個はみ出してます。
対向車に持ってかれます。
山道走ると結構いるんだよな。

安全運転を
周りを気持ちよく走らせることができれば自分も気持ちよく走れる。
(絶対無理や)
Posted at 2021/07/27 22:13:44 | 運ちゃん | 日記
2021年07月18日 イイね!

物語A214:「試練の黒田大尉」


第一拠点「ワンワンセブン高地」の裾野に広がるナイナイメー辺地では「第30軍団兵」と「新米村民兵」の混成部隊である「第一飛行隊」が、旧体制派北方蛮族の「あるそん・ろう火付盗賊方」と「ズナッペス団」および「攻殻デルタレンジャー」とで、入り乱れての乱戦を繰り広げている。
その乱戦を取り囲み、じわじわと敵も仲間も関係無しにゴキブリ相手のように嬲って退治し、乱戦集団をじわじわと締め付けていく新規参入北方蛮族の「第QSS戦車私団」と「SS(スペシャルソード)親衛隊」がいた。

「SS親衛隊」のハインネケル大佐は第QSS戦車私団のゲッポル中佐を煽て上げてうまく利用し、空から舞い降りて来た不審な侵入者(第一飛行隊の事であるが蛮族側から見るとただの不審者となる。)の成敗と共に、この機会を利用した旧体制派北方蛮族の弱体化を謀ってその大物潰しを行い、北方地域での覇権を握る足掛かりとする魂胆であった。

そして、その私利私欲の奸計を秘めた包囲網の背後にはこの戦いで勢いを勢力を増してゆく「SS親衛隊」の制服をちゃっかりと盗んで着こみ、いかにも仲間であるかのように振舞う「金」の玉の芝狸達が居た。
やんややんやとSS隊員の背中に向かって威勢よく煽り立てている。

戦いに臨ます、強者に成りすまし、口先三寸で煽る芝狸達の姿は傍目から見れば卑怯者の姿そのものであった。
だが、この卑怯に見える行動には、変化術も知らぬ最弱な「金」の玉の芝狸達が弱肉強食界で生き残る為に身につけた性なのである。
なので盛んに煽り立てはするものの戦闘には絶対に参戦しない芝狸達であった。
そんな彼らにもその生存を脅かす暗雲の影が差している事にこの時の芝狸達はまだ気がついていなかった。

この非情で卑劣な囲みを辛うじて抜け出る事の出来た「第一飛行隊」の村民兵達は両手を真っ赤な目に当てて涙を流しながら泣き声を上げてA村へと、河の上陸地点「モロ海岸」改め「ブル河岸」へと向かって遁走していった。
彼らが向かう「ブル河岸」には上陸に使った丸太船が大量に放置されている事を村民兵たちは知っていた。
酷い目に合され辱められた彼らの希望の光がその丸太船である。
丸太船に乗って、河を渡ってこの北方の地を脱出する事しか考えていなかった。

上陸地点の河岸とナイナイメー辺地を遮る大きな森が広がっている。
先に語ったように「ヒホンコー部隊」が野蛮な北方蛮族同士の異様な闘いに遭遇した森である。
その森に向かって遁走兵達は走った。
背後からは「金」の玉の芝狸達が芝生の影に隠れて嘲笑いながら狸糞を投げつけている。
当然の事だが、その追い撃ちがあたかも「SS親衛隊」の手によるもののように巧妙に「金」の玉の芝狸達は見せかけていた。
そして、「SS親衛隊」と背中合わせに位置している事と盗んだ親衛隊の制服がさらに「SS親衛隊」らしく見せているのだ。

「第一飛行隊」村民兵達は粘り気のある狸糞の臭いに半ば意識を失いかけ片目を白眼にして森の中へと顔面蒼白となって次々と飛び込んで行く。
その無様な姿で逃走する遁走兵達を芝狸達は指差して揶揄し、地面の上で笑い転げる。
そして、さらなる快感と笑いを求めて、小石を餡子にした狸糞をより多くを投げつけた。

狸糞の臭いに頭に瘤を作る餡子石のおかげで気も狂いそうな過酷な状況での逃走であったが、森の中に少しでも奥深く入り込んだ遁走兵達にはその狸糞は着弾しなかった。
途中の木の枝や葉っぱに遮られてしまい、奥までは届かないのである。
後方からの追い撃ちが断たれると、ひと時の安寧が遁走兵達の心に訪れる。
その安寧に身を委ね、森の木にもたれかかったまま動かなくなる遁走兵も現れた。

束ねた光が斜めに入り、静けさが冷えた空気となって身に染みる森の中の空間に居ると遁走兵達の胸の内に希望という灯火がひとつひとつと点り始めた。
この森の中を抜けてしまえば上陸地点まではもうすぐ間近だという希望の灯火だ。上
陸地点に辿り着きさえすればこのいたぶり地獄から抜け出せるのだ。
だが、その希望は長くは続かなかった。
破城して惨憺たる心をこの静かな森の中で紡ぐ暇もなかった。

遁走兵達が夢見心地で森の奥へとさらに進むと、森の中に居並ぶ太く大きな木々が根元から震動し始めた。木々から葉っぱが大地に振り落ちる。
枝にぶら下がった蓑虫達が振り回される。
ナマケモノが幹に掴まろうと腕を伸ばしている。
微震から次第に強震に変わり地面が激しく上下動し始める。
遁走兵達はその場に立っているのもやっとの事であった。
ナマケモノが目を見開く。
雀が一斉に飛び立ち、リス・子猿が仲良く枝から、穴から顔を出したモグラの頭目掛けて落下する。
逃げ遅れた陸亀はここには居ない。
北方蛮族の戦いの場から逃げてきた森の動物達であった。

森の奥、下生の暗い影から振動と共に突如と出現した異形の集団が地震と地鳴りに怯えて立ち竦む遁走兵達と鉢合せをした。
その集団の迫力と奇怪な顔面圧によって遁走兵達の脱出への希望が脆くも崩れ去る、というより希望の灯火は燭台から粉塵と化してしまい、煙霧となって周辺を漂い一帯を一挙に薄暗くしてしまった。

地鳴りに揺れる木々をまるでススキの穂を薙ぎ倒すかのような勢いで、異形の恐ろしい化粧をした顔の群れが森を掻き分けて大勢で押し寄せ、遁走兵達の前進を遮ってしまった。
言葉で言い表せないほどリアル異形集団の迫力に怖気ついて動けなくなってしまった遁走兵が次々と異形の顔面に弾き飛ばされて、まるでその場から忽然と消えてしまうかのように消えていった。
この異形集団の正体は「ヒホンコー部隊」に追われて森の中をナイナイメー辺地へと向って疾駆する 「第32装甲私団」と 「45独立特化組」の強面の面々である。

遁走していた「第一飛行隊」の面々は剣呑で恐ろし気な化粧をする異形の顔面圧に恐れをなし、背後から飛んでくる狸糞の事などすっかり忘れて、その場でUターンする。
第30軍団兵と新米村民兵は、その場の回れ右・左で180度ターンして、逃げてきた方向へ、つまりナイナイメー辺地へ、平たく言えば嬲り地獄へと逆走し始めたのである。
当然、180度ターンであるから後から来る遁走兵達とぶつかり合うところであるが、逆走する村民兵は「老害」の旗を立てた。
誰もが慄き、身を引く「逆走」という既得権を得た逆走兵士は鉢合わせになる兵士を薙ぎ倒して進む。
順送兵士は黙って脇に寄って道を開けるか、同じ逆走仲間になるか、逆走兵士を前にしてレトロランニングをするしかなかった。

前面の剣呑な異形の化物。
背後には異臭放つ糞手投げ弾とナイナイメー辺地という広大な嬲り地獄。
遁走する「第一飛行隊」は境地に落とされてしまった。
不撓不屈の精神は既にピンと張りつめて、間違って爪弾くものならば瞬時に切れてしまう状態であった。
そして、異形の集団に森を追い出されて再びナイナイメー辺地に立ち、狸糞の第一弾を再び受けた時、その精神の紐が弾けるような金属音と共に切れた。
この瞬間に「第一飛行隊」は正に「窮鼠猫を噛む」状態となった。
窮鼠達は飛んで来る異臭放つ狸糞手投げ弾を片っ端から片手で受け止めては投げ返すという暴挙に出た。
窮鼠の中には当たるのもお構いなしに、ドロドロになりながらも下草に隠れて投げている卑怯な「金」の玉の芝狸達に歯を剥いて向かっていった。

「金」の玉の芝狸達はこの危険な状況下で不覚にも注意を怠っていた。
芝狸は下草に隠れて、笑いを抑えようと俯いていたので、尋常でないその遁走兵の「窮鼠変化」を狸達は見逃してしまったのだ。
さらに、頭隠せど尻尾隠さずの状態であったので容易く窮鼠達に見つかってしまうという不手際な芝狸達であった。
芝狸達が異変に気がついた時には既に窮鼠が襲い掛かろうと宙を舞っている瞬間であった。
真上に窮鼠の影を見た時、「金」の玉の芝狸の運命は決まった。

フサフサの太い尻尾に噛みつかれ、丸い耳に噛みつかれ、張の良い白い丸いお腹を真っ赤になるまで打ち鳴らされた「金」の玉の芝狸達は悲鳴を上げてあちらこちらへと勝手気ままに逃げ出した。
だが、背後は獲物を嬲る包囲網を作る「SS親衛隊」の背中が立ち並び、芝狸達の逃げ場を濃密に塞いでいる。
逃げ場を失った芝狸達は必然的にその場をあちらへ、こちらへと一所懸命に逃げ回った。
それでも、窮鼠を頭に乗せた芝狸達の一部が「SS親衛隊」の柵を強引に潜り抜けた。
しかし、そこは阿鼻叫喚の嬲り地獄の最中である。
その有様に恐怖を感じて戻ろうと振り向くとそこには新たな獲物を見つけた目の座った「SS親衛隊」が居並んでいた。
柵を抜けて安堵した芝狸の記憶の最後は神々しい光の中を白い羽根の付いた狸汁鍋に入って首だけ出し、ふわふわと宙に浮いている幻覚であった。

逃げ場を失った「金」の玉の芝狸達は次々と窮鼠の餌食になってしまった。
しかし、「生き残り」を性とする「金」の玉の芝狸達である。
そのまま黙って餌食になるような芝狸ではなかった。
まだ襲われていなかったり、窮鼠をかろうじて振り払った芝狸達は瞬く間に周囲に散ってゆき、「第QSS戦車私団」や「SS親衛隊」の制服を着込んで、ナイナイメー辺地での粛清包囲戦を行っている「第QSS戦車私団」と「SS親衛隊」の合同包囲網に溶け込んでしまった。

窮鼠猫を噛むとなっている第30軍団兵と新米村民兵にとっては、既に理性を失っており、まともな判断力すらないので襲う相手の区別をしていない。
「金」の玉の芝狸であろうが「第QSS戦車私団」であろうが「SS親衛隊」であろうが全く関係無いのである。
窮鼠は合同包囲網の背後からがむしゃらに襲い掛かった。

この背後からの襲撃という思いがけない事態に「第QSS戦車私団」と「SS親衛隊」は戸惑い混乱する。
しかし、戦闘のプロ集団であるから、背後から襲い掛かって来た敵が、一度は退散させた弱小の村民兵であると判ると素早く反撃する為に対峙するのだが、その反撃行動は功を成さなかった。
遁走兵の背後から間髪入れずに「45独立特化組」が走り回る「金」の玉の窮鼠付き芝狸達を巻き込んで「第QSS戦車私団」と「SS親衛隊」に襲い掛かったきたのでる。

森の中で「第一飛行隊」村民兵の遁走兵を一瞬にしてUターンさせた「45独立特化組」は凶悪醜悪な変顔集団である。
組織だった戦闘のプロ集団である「第QSS戦車私団」も「SS親衛隊」は、その変顔を真正面にして相対したのである。
事前通知も心の準備もされていなかった為、その衝撃に怖気づいて一陽に後退りしてしまった。
その弱点を突いて、戦闘の実力集団である「45独立特化組」は包囲網のあらゆる所を突き崩し始めた。
同時にその攻撃に呼応するかのように包囲され粛清されていた兵士達も活気づいて反撃を始める

攻守が目まぐるしく急変する戦闘の中、この「45独立特化組」の攻撃にはこの機会を利用して新参者を締め付けておこうというジンケス・カン親分の思惑が大きく絡んでいた。

同じようにこの戦局の急変を利用したのがバルター・モデル中佐であった。

黒田大尉率いる「ヒホンコー部隊」に追われてカン親分と共に森を飛び出したモデル中佐は自軍の「第32装甲私団」を制止し、要となる兵を使って自軍を素早く立て直す。
ある程度の兵士が揃ったところで、自軍の指揮を執って攻撃に転じた。その攻撃の矛先は「追ってくる「ヒホンコー部隊」ではなく、前方に包囲戦を布陣している「SS親衛隊」であった。

モデル中佐は秘かにヒル・ハインネケル大佐の地位を狙っているのだ。
どんな卑怯な手を使ってでも機会があればハインネケル大佐を打倒し、その大佐の徽章を奪い取ってその地位を奪い、合わせて「SS親衛隊」も自らの指揮下に組み込もうと考えていた。

「SS親衛隊」は包囲網を形成する為に自然と細く長く布陣していた。
そして、背後、つまり包囲網の外側からの攻撃には全く対応していなかったので無力であった。
それが、内と外から同時に攻め立てられる事になったのである。
細長い布陣はあちらこちらで次々と切断されてゆくのであった。
さらに、追ってくる調子に乗った「ヒホンコー部隊+」は追われている自軍の「第32走行師団」も「SS親衛隊」も、またナイナイメー辺地に居るどの部隊も、全く関係無しに襲い掛かると考えられる勢いであった。
モデル中佐にとってこの戦局の変化はこの上もない幸運でこれを利用する以外には何も考えられなかった。
自身の野望を追求するべくモデル中佐は行動する。

「SS親衛隊」共に包囲網を作っていた「第QSS戦車私団」も窮鼠に不意打ちを喰らった上にさらに「45独立特化組」に背後から襲われて混乱し、包囲網を崩壊していくのであった。
この混乱で秩序を失いつつある部下を急ぎ立て直そうとしているゲッポル・ゲッポル中佐はバルター・モデル中佐率いる「第32装甲師団」の怪しい動きを垣間見る。
そして、ゲッポル中佐はその師団の動きから、モデル中佐の真の目論見を看破した。
モデル中佐がそのような手に討って出るのであれば、後れを取らないようにこの機会を利用して漁夫の利を得ようとゲッポル中佐は配下の「第QSS戦車私団」に「SS親衛隊」のヒル・ハインネケル大佐を襲うように命令を下す。

しかし、その「第QSS戦車私団」の兵達はジンケス・カン親分率いる「45独立特化組」の猛攻に遭っており、思う様に動く動く事が出来なかった。
ゲッポル中佐の命令を遂行する為には、一部の兵達が「45独立特化組」の攻撃を阻む盾となり、その陰に隠れる様にして残った兵達が隊形を立て直して、暗殺者ゲッポル中佐を庇いながら「SS親衛隊」に果敢に向かっていった。
兵達のゲッポル中佐への忠誠心は見上げたものであった。
攻撃から庇護されながらゲッポル中佐はハインネケル大佐に接近してゆくが、その歩みは意外に遅かった。
ゲッポル中佐はモデル中佐がハインネケル大佐に襲い掛かり、その後の戦いの様相を観察して行動を起こすつもりであったからだ。

対ハインネケル大佐戦において、モデル中佐が優勢であった場合、ゲッポル中佐はモデル中佐の助太刀として参戦するつもりでいる。
それはハインネケル大佐打倒後はモデル中佐と対等な立場に立つ為である。
モデル中佐に主導権を取られてしまえば、ゲッポル中佐から見たハインネケル大佐がモデル中佐にただ変わっただけになってしまうからだ。
同じ中佐という階級で下に見られるのは絶対に避けたかった。

逆にモデル中佐があまりにも劣勢で瞬時に勝負がつきそうな場合、ゲッポル中佐はハインネケル大佐に助太刀する事を考えていた。
ハインネケル大佐の受けを良くする事で、モデル中佐より上に付く為である。

モデル中佐が互角の場合、あるいはモデル中佐が劣勢ではあるがゲッポル中佐の助太刀で優勢となる場合、ゲッポル中佐はモデル中佐の助太刀として参戦するが、ハインネケル大佐打倒後は弱っているモデル中佐を亡き者にする算段であった。

完璧な計略であった。
そして、ゲッポル中佐の夢はこの時点では煌々と輝いていたのである。
しかし、結果的にはゲッポル中佐はその両雄の戦いに参戦する事すらできなかったのである。
周囲に気取られずに静かに移動していたゲッポル中佐と両雄の相まみえるリングとの間には、陽炎の様に揺らめくカン親分のシルエットが立ち塞がっていたのである。

半眼の虚ろに見えるカン親分の双眸はしっかりとゲッポル中佐を見据えてマークしており、すべての標的システムはロックオンの状態で準備万端であった。
発射寸前の対戦車レーザー誘導弾の燃料が高熱で気化して周囲の空気を揺らがせて居るような気迫をカン親分は体中から吐き出している。
ゆらぐ危険な燃料ガスの臭いにカン親分の闘志を嗅ぎ取ったゲッポル中佐はカン親分との戦いから逃れる方法は一部の隙も無く無いと悟った。
闘いを避ける事は不可能であった。
張扇を正眼に構えるゲッポル中佐の両肩の筋肉がググっと異様に盛り上がり、戦いの前の静寂の中でピシッピシッと音を発した。

ゲッポル中佐の戦闘力の高まりを見切ったカン親分が両脚を広げて仁王立ちとなり、口を窄めて徐に、周囲の全ての気を吸い貯めするように息を吸い込む音が周囲に響く。
全ての生命の気が吸い込まれてゆくような音であった。
カン親分の体が一回り大きくなり、周囲の気化した液体燃料のガス陽炎が極彩色に変化し炎を噴出させるとカン親分の体躯を包んだ。
青い化粧の地肌も次第に真っ赤に染まって行き、奇妙奇天烈な青い文様は赤色の地肌に浮き上がり、醜怪な姿へと変えて体から抜け出し、龍となって天に昇るような勢いとなる。
同時に周囲の気が急激に失われ、気圧が変化して周囲温度が下がり、ゲッポル中佐がその寒さに身を振る合わせた。
それはほんの僅かな気の緩みであったが、カン親分は見逃さなかった。
カン親分が土煙を上げながら地を蹴って突進していった。

ゲッポル中佐はそのカン親分の直線的な攻撃に合わせるかのように、張扇の切っ先をゆっくりと引き背後斜め後ろ下に構える。
振りを大きくとる事で張扇の打撃力を数倍に引き上げ、突進してくるカン親分を下から上へと掬い上げる様に強打し、その突進方向を変えつつ、自らの体を打撃の反動を使って攻撃ラインから身を退かせ、猪突猛進攻撃から身を守ろうと考えたのである。
一打の打撃がどこまでダメージを与えるか、少し心配ではあったが、張扇を構えるゲッポル中佐の目には自信の光が宿っている。

しかし、一連の戦いの流れを一分の隙も無く完璧にイメージして待ち受けていただけに、カン親分の意表を突く攻撃にゲッポル中佐は目を見張った。
あの巨漢であるカン親分が目の前で三っつに分裂したのである。
分裂した様に見えた。
尋常でない速さでの反復横跳びによって生じた、左右に映る残像だったが、ゲッポル中佐はどれが本物であるか見分けがつかない。
だが、カン親分の秘技はそれだけではなかった。
上にも下にも残像が現れたのである。
高速スクワッドだ。
カン親分の猪突猛進攻撃は上下左右4分身の術を合わせ持つという尋常でない攻撃だったのである。

カン親分のハンパない4身猪突猛進攻撃に予想した全ての戦闘イメージが完全に覆されてしまったゲッポル中佐は二の手を打つにもどうして良いかわからなくなってしまった。
D村でのコナン元帥の元で行われた厳しい訓練の中にはこのような攻撃方法もまた防衛術もなかった。
想定外の攻撃にゲッポル中佐の動きが停まり、思考すらも停止してしまう。
怒気で真っ赤に染め上がった肌に毒々しい青の化粧を施した顔の中に穿った二つ穴、合計8つの穴の底で眼がギラリと光るのをゲッポル中佐は見入ってしまった。
催眠術。
行動を自由に操るまでの催眠効果は得られないにしても、その眼の光には獲物を釘付けにする催眠効果があるようだ。
動きの止まったゲッポル中佐をあざ笑うかの様に、カン親分の禍々しい形相にねじれた唇の端から笑みがこぼれる。

ゲッポル中佐はいくつもの分身を伴って突っ込んで来るカン親分のその内の誰に張扇の一撃を打ち込めば良いのかと考えてしまった。
動きを止めてしまう要因の一つである。
また、その場合どのようなダメージを相手に与えられるか、ダメージを与えた後はどう結果が出るかなど何も考えられないで佇んでいた。
この一瞬の戸惑いが、まだカン親分から逃避可能であった機会をゲッポル中佐から奪った。

しかし、ゲッポル中佐はこの場から逃げる事など考えてもいなかった。
この試練に闘って未来を切り開くつもりだったし、いつもそうしてきたのだ。
効果の有無は取敢えず置いておいて、繰り返した戦闘イメージに忠実に正確に中央のカン親分に張扇を振った。
だが、その狙いは想定した通りに定まらない。
結果的にめくら打ちとなった張扇の一打がカン親分のどこかに当たったかははっきりしなかったが、特注した鉄製の張扇の骨が剥き出しになって飛び散るのをゲッポル中佐は見ていた。
そして、張扇の柄から先は完全にバラバラに粉砕されてしまった。
一体、どこを打ち付ければこのようになるのかゲッポル中佐は純粋な気持ちで不思議に思ったし、バラバラな張扇を持っている事が少し可笑しかったが、その気分は長くは続かなかった。
張扇を粉砕した衝撃以上の衝撃がゲッポル中佐を襲ったのである。

ゲッポル中佐、ここに倒れる。

同時に、ナイナイメー辺地で行われていたハインネケル大佐とゲッポル中佐による包囲戦はハインネケル大佐だけではその包囲網を維持できずに包囲網の自壊という形で終わった。
それを象徴するかの様に白目を剥いたゲッポル中佐が宙を舞い、そのゲッポル中佐を打ち負かしたジンケス・カン親分が大空に向かって力強く「ガォーン、オンオ~ン」と雄叫び、周囲の空気を震わせて勝利宣言をしたのである。

二転三転するこの戦場においては、その勝利の雄たけびもすぐに断末魔に変わってしまう。

ゲッポル中佐を倒し、勝利に雄叫びを上げて酔いしれているカン親分を取り囲んで猛襲したのは様々な種類に彩られたピコピコハンマーだった。
その内のごく一部は純正色の正統ハンマーなのであるが、大半は卑劣な改造を施したピコピコハンマーである。
改造ピコピコハンマーのヘッド内部にはしこたまの馬糞が詰め込まれている。
馬糞以外にもワサビ紛やこしょう、くさやにまだ温かい反吐など、ありとあらゆる不快な物質が詰め込まれている。
そして、ハンマーヘッドの側面には巧妙な仕掛け蓋の蝶番が施されており、内圧の軽い変化では開かないが、急激な圧力変化に対しては全開となる仕掛けである。
ハンマーで相手を叩いた時、仕掛け蓋が全開となり、打撃と同時に内部の馬糞などの不快物質を撒き散らすのだ。
「ヒホンコー部隊+」の新米村民兵の間でピコピコハンマーのこの違法改造は高度な改造へと変わっていくと同時に、正統ハンマーの占有率を奪っていた。
新米村民兵にとって正統ピコピコハンマーの高度な技を取得する強化合宿訓練よりは気楽に誰にでも使えるうえに効果覿面の卑劣な改造ピコピコハンマーの方が面白いのである。
殴りつけた時にヘッド部が破裂する様も新米村民兵の気持ちを高揚させた。
この攻撃にカン親分が膝を地に付くのも時間の問題である。

森の中を黒田大尉より先行して進攻するお調子者の新米村民兵で構成される「ヒホンコー部隊+」が、「第32装甲私団」と「45独立特化組」を追って森から飛び出した。
前方に広がるナイナイメー辺地ではカン親分「45独立特化組」が新参者に制裁するべくゲッポル中佐「第QSS戦車私団」を、モデル中佐「第32装甲私団」が立身出世を謀ってハインネケル大佐「SS親衛隊」に襲い掛かっていた。
その直ぐ後を追従するように「ヒホンコー部隊+」が襲い掛かったのである。
それはまるで、「第32装甲私団」と「45独立特化組」と共闘してナイナイメー辺地で繰り広げられている包囲網に襲い掛かっているかのようであった。
これら戦闘の間に挟まる結果となってしまった窮鼠達はさらに凶暴な窮鼠となって暴れ回った。
「金」の玉の芝狸達は逆に心底震え上がり、先祖返りしたり、赤ん坊のように泣きじゃくって逃避行動を起こした。
そして、恐れる芝狸達の中には突然変異種が居た。
逃げ場のない精神的プレッシャーに耐えられず、頭脳内のスイッチが入り突然変異の進化を遂げたあげくに、変化の術に目覚めてしまい、凶悪な前歯を長く伸ばしてガチガチと鳴らす兎に変身した。
茶釜がモーターバイクにトランスフォームし、バイクに跨った変身兎が戦場を走り回る。
周囲には各部隊の戦闘服の切れ端が舞台の花吹雪のように沸き起こる風に舞った。

大きく変化する戦況を確認する為に黒田大尉は「ヒホンコー部隊」の進撃をナイナイメー辺地に突出する前に一旦止めなければならなかった。
戦場が森から平地へと大きく変化するし、向かうその平地での戦闘がどのような状況なのか、新たな敵が居るならばどのように配備されているのかなど全く不明だったのだ。
従って、全部隊を停止させて、状況確認を十分にするのが部隊長としては当然の事であると黒田大尉は考えている。
だが、「ヒホンコー部隊+」の戦闘気分は既に宙高く舞い上がっており、黒田大尉の停止命令を聞く余地はない。
さらに、新米兵であるが故に周りの味方の動きに流されてしまっていた。
そして、黒田大尉が森から顔を出した時、先行してた「ヒホンコー部隊+」はナイナイメー辺地へ既に飛び出しているだけでなく、改造ピコピコハンマーを構えてカン親分を包囲している所であった。
そこへの指揮の介入は「時すでに遅し」なのである。

有頂天「ヒホンコー部隊+」に一歩出遅れて黒田大尉がようやく森から顔を出し、ナイナイメー辺地の大乱戦を始めて目の辺りにして、その壮烈さに息が止まり目を見開いてしまった。
既にナイナイメー辺地へ先行している「ヒホンコー部隊+」は自分らよりも大きな大乱戦に襲い掛かっていた。
その様子から、どう見てもこの乱戦に呑み込まれ、取り込まれてしまうのは必須に思える。
この事態を止める術も無く見つめるだけの黒田大尉であった。
止める事も出来ないままに「ヒホンコー部隊」の大半を失ってしまうという必然的な成り行きに、ただただ唇を噛み締めて、「不覚」と黒田大尉は呟いた。

広範囲に広がる大乱戦である。
黒田大尉の選抜した精鋭の大部隊と言えども、この乱戦の中へ闇雲に突っ込めば、大乱戦を蹴散らす前に「ヒホンコー部隊」が逆に軽くあっさりと呑み込まれてしまう。
その事態になれば今までの快調な進軍はここで終わり、先へは一歩も進めないのである。
つまり、黒田大尉の野望も潰えてしまう。
「不覚」なのである。

「マルケットベルト作戦」の骨子であった第1拠点「ワンワンセブン高地」の確保を、そしてこの拠点での物資補給や兵の補充を黒田大尉は諦めるしかなかった。
この大乱戦を迂回し第2飛行隊隊長のランカスター中尉が確保し、守備する第2拠点「アラモフヶ丘」へ直行する以外に策はないと黒田大尉は考えた。

既に部隊の大半である「ヒホンコー部隊+」は乱戦に巻き込まれており、彼らをそこから引き離す事はほぼ不可能であり、それは時間の無駄でもあり、大きな損失を被る事も考えられた。
事を思うように進める事が出来ないこの状況に黒田大尉は悔やみながらも、「ヒホンコー部隊+」を切り捨てる事を決断したのであった。
この決断で半数以上の兵士が「ヒホンコー部隊」から失われてしまう事になるが、大義を、むしろ自らの野望を前にしては致し方が無い決断であった。

さらに、ナイナイメー辺地を目前にする「ヒホンコー部隊-」の待機位置と大乱戦の戦闘領域との位置的関係が、黒田大尉に更なる損失(あるいは生贄)を要求されて苦しい立場に立たせていた。
つまり、迂回して進むにしては左右に広がっているのでかなり難儀な事なのであった。
乱戦を掠めずに進む事が出来ない程に目前に乱戦領域は広がっていたのである。
黒田大尉に迂回方法をあれこれと熟考する時間は無かった。

「ヒホンコー部隊」に追われた北方蛮族共がナイナイメー辺地で乱戦する兵士にその行く手を塞がれてしまい、行き場を失っていたのだる。
従って、最後尾の北方蛮族がその場で急反転して反撃に転じ始めたのである。
その反撃は勢いに任せて追撃していた「ヒホンコー部隊+」から、次第に森から姿を現した黒田大尉らにも向けらる事は必然的であった。

黒田大尉は瞬時に腹を括った。

黒田大尉はこの大乱戦の中を、群がって来る敵を打倒しながら手薄な外縁部を迂回する事に決めた。
今は余計な事をあれこれと考えている暇はないのである。
「ヒホンコー部隊+」が乱戦する部隊に攻撃を仕掛けている今が絶好のチャンスでもあった。
有利な状態の部隊が粛清されてからでは遅い。
攻撃されている乱戦部隊もその大多数がこちらの存在にまだ気がついてないので反撃も心配しなくて済む。
この機会に「ヒホンコー部隊+」をうまく乱戦との間の盾として利用し外縁部を駆け抜けるのだ。
一部の小競り合いがあると思うが、深入りせず目を瞑って進むしかない。
それによって犠牲も出るかもしれない。
しかし、素早く乱戦から離脱し、第2拠点へ向かう以外に策はないのである。
黒田大尉はこの策しかないと決心し、腹を括った。

黒田大尉の背後、森の中で静かに待機する、まだ秩序を保っている「ヒホンコー部隊-」の力量を信じて、この大乱戦を「押し通る」事とし、「ヒホンコー部隊-」に突撃の命を与えると同時に黒田大尉自身が自慢の刺股を振り回しながら奇声を上げて真っ先に森を飛び出す。
立ち塞がる前面の全ての障害物を刺股で、挟んでは投げ挟んでは投げしながら前進した。
その黒田大尉を先頭に「ヒホンコー部隊-」が喚声を上げながら森から飛び出し、敵も元味方も関係なく障害物となる全てをタックルで投げ飛ばし、踏みつけ、強化ピコピコハンマーで打倒し、鼻糞を擦り付けて、突き進んでい行く。

第1飛行隊の隊長であり第30軍団の団長でもあったバーナモン・ゴメリー中尉でさえも突破できなかったこの大乱戦であるという事を黒田大尉は知らない。
だが、ゴメリー中尉の時のように中央突破でワンワンセブン高地を目指すのではなく、手薄な外縁部を横切って摺りぬけようとしていたので、かなり分があった。
さらに、ゴメリー中尉の時は全ての北方蛮族が次々と襲い掛かって来たが、この黒田大尉の時はその蛮族間で北方の覇権を巡っての争っていたので襲い掛かって来るのは闘いにあぶれてしまった蛮族くらいであった。
さらに「ヒホンコー部隊-」が妨げとなっていた。
付け足しだが、階級に戦闘能力の優劣が伴うならば、中尉と大尉という階級差がある。
これらの事が黒田大尉にとって優位に働くので、この時点の黒田大尉は自信が思うより幸運だったのである。

黒田大尉の進む外縁部には互いに激しく打ち合うヒル・ハインネケル大佐とバルター・モデル中佐が居た。
ハインネケル大佐は当然のように包囲戦を行う「SS親衛隊」の背後で指揮を執っていた。
乱戦の外縁部の安全な場所である。
性格からしても一般兵の中に交じって指揮を執るような親分肌のタイプではなかった。
なので、プライドの高いハインネケル大佐は乱戦の外縁部に陣取って指揮をしていたのである。
モデル中佐はそのハインネケル大佐を密かに葬るつもりで背後から接近したので、黒田大尉の進行する乱戦の外縁部での一騎打ちとなったのである。

モデル中佐の殺気を背中に電気が走るように感じ取ったハインネケル大佐は振り向きざま張扇を横へ薙いだ。
だが、その張扇は空を切っただけに終わった。
一閃を躱したモデル中佐は頭上の高々と振り上げた張扇をハインネケル大佐の頭へ振り下ろした。
ハインネケル大佐は僅かに体を動かしてかわすも、肩に一撃を受け、衝撃波が半身を一気に走る。

モデル中佐のこの最初の一撃がハインネケル大佐に大きなダメージを与えた。
必死にその痛みを堪えながらモデル中佐に一撃を浴びせようと果敢に攻撃するハインネケル大佐であった。
決定打を浴びせようと、相手の攻撃を躱し乍らモデル中佐も張扇を振るう。
張扇の激しい打ち合いが始まった。
撃ち込まれる度にダメージレベルを上げつつも、ハインネケル大佐に少しづつモデル中佐へより高いダメージを与える。
どちらが先にライフポイントをゼロにするかの我慢大会でもあった。

モデル中佐と激しく打ち合うハインネケル大佐は徐々にヒットポイントを上げてゆき、我慢大会に終止符を打つべくモデル中佐を追い詰めていった。
肩で息をするモデル中佐を見下ろして仁王立ちするハインネケル大佐の後ろに黒田大尉は立った。
戦局は目まぐるしく変化するのである。
新たな殺意を背後に感じ取ったハインネケル大佐であったが、振り向く暇も与えずに黒田大尉の刺股に体を捕らえられてしまう。

「しまった!」と呻いた時にはハインネケル大佐の足裏は固い地面から離れていた。
足場を失った体はアッと思う間もなく空中に高く舞い上がってしまう。
足元の地上では我を忘れて暴れ回っている凶悪凶暴な雑兵達が蟻のように群がっている様子が見えた。
宙にあるハインネケル大佐はその蟻が群れている地に激しく打ち付けられる事を覚悟した。
空中で刺股から自由になった体が、頭から地面に向かって落ちていく。
自由落下運動はハインネケル大佐の体を蟻の群れ、つまり凶悪凶暴な雑兵の群れの中に叩き落とした。
獲物を奪い取ろうと互いに争いながら蠢く多数の蟻が獲物に纏わりつき、弱々しく抵抗する獲物の影は次第に蟻の群れの中にゆっくりと溶け込んでしまった。

ハインネケル大佐の体が宙を舞い、それを見送っていたバルター・モデル中佐の満身創痍の体はライフポイントが僅か3であった。
黒田大尉はハインネケル大佐を放り投げた刺股の柄の先、石突き部分でライフポイント3のモデル中佐の顔面を激しく小突く。
その突きでライフポイントは1に落ちた。
モデル中佐が小突かれてひるんでいる隙に刺股を大きく180DEG反転させてモデル中佐の体に狙いをつけた。
突きを入れる事で黒田大尉は刺股の先端でライフポイントは1のモデル中佐を捕えた。

モデル中佐の花火が上がった。
小突かれた鼻からねずみ花火の様に鼻血を噴出しながらクルクルと回転し宙高く舞い上がったのである。

「負けて尚も禿とは。痴れ者め。」黒田大尉は投げを打った体制で静かにの賜った。

ハインネケル大佐に続いてモデル中佐を次々と葬った黒田大尉の前にはカン親分の姿があった
ゲッポル中佐との肉弾戦に弱っているところを「ヒホンコー部隊+」の改造ピコピコハンマーの猛攻撃を受けて、汚染物質に身を覆われつつ右に左にと弱々しく逃げ回るカン親分だった。
カン親分のライフポイントは急激に消耗している。

黒田大尉はそのカン親分の背後に抜き足差し足でこっそりと接近して、刺股を頭上に思い切り振り上げて構えた。
そして、頃合いを見計らって刺股の先端部を後頭部めがけて振り下ろし、ライフポイント5というクリティカルヒットポイントをカン親分から奪いとった。
そのうえで黒田大尉は自らの一撃で大きく弱体化して足元がふらつくカン親分を得意の刺股でしっかりと捕らえる。
この時、カン親分からの抵抗は感じられなかった。
楽勝だなと黒田大尉はニヤリと笑い、改造ピコピコハンマーでドロドロとなってしまっているカン親分を「ふんぬっ!」と威勢の良い掛け声と共に掬い上げて3番目の空中遊泳へと誘うのである。

その掛け声に呼応して周囲に集まった新米村民兵達が上空に舞い上がるカン親分を見あげながらも万歳をし大口を開けて「わぉーっ!」と、大歓声を上げる。
それにつられて周辺の北方蛮族らも上を見上げながら大口を開けて「た~まぁ~や~~」と続けた。

もちろん、その北方蛮族には「SS親衛隊」も入っており、その親衛隊に紛れ込む「金」の玉の芝狸達も真似をして頭上を見上げて「わぁーっ!」「日本一~!」と次々と大口を開けて歓喜の声をあげる。

頭上では糞尿の他に、非合法で非公開物質にまみれたカン親分が、体中の不快指数抜群の物質をそこら中に撒き散らしながら大型ねずみ花火のようにグルグルと回っている。

黒田大尉は刺股で付近に居た手頃な大きさの「金」の玉の芝狸を掬い上げると、頭上でぐるぐる回しながら降り注ぐ雫を上手く避けて、その場から駆け去ってゆく。
黒田大尉に立ち止まる余裕などはないのだ。

カン親分は空中で糞まみれなだけに「くっそ~」と遠吠え挙げ、地上の悲鳴を聞きながら敗北を認めた。
その遠吠えと悲鳴を背に黒田大尉は乱戦突破という勝利を確信したのだが、実はこの行為が戦の魔人を呼ぶ最悪の事態になったという事に黒田大尉は気が付いていない。

黒田大尉の幸運は此処で尽きた。

-- 灰色猫の大劇場 その21----------------
灰色猫が玉座に座っている。
狐が柱の影から玉座を狙っている。
玉座を前に丸々と太ったウナギが大皿の中でとぐろを巻いている。

脂がたっぷりとのった白い腹が福よかしくておいしそうである。

涎を垂らしながら、柱の狐が飛びかかった。

灰色猫が負けじと応戦して両腕を伸ばして跳躍する。

天空から激しくカモメが襲いかかってきたが、カラスが邪魔をする。

灰色猫がウナギを押さえつけ、2本の牙を立てようとする。

狐がその灰色猫の短足に齧りつき、カモメが狐の尻尾を咥えてウナギから引き離そうとする。

カラスは灰色猫の頭に飛び乗り、凶暴な嘴で頭を突く。

ウナギは世間でいうところの・・・・電気ウナギであった。

南無。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2021 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2021/07/18 18:10:48 | 物語A | 日記
2021年07月14日 イイね!

次の物語Aも長い。

柿貯めてしまった・・・・
書き溜めてしまった。

次の物語Aは長い。
Posted at 2021/07/14 21:21:44 | ぼーや木 | 日記

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「プリウスミサイルというが・・・ http://cvw.jp/b/1467453/47466114/
何シテル?   01/11 12:41
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