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2019年03月23日 イイね!

物語A197:「バーナモン・ゴメリー中尉動く」

バーナモン・ゴメリー中尉は急ごしらえの野戦司令部に居た。
司令部のテントには寒風が吹き込み、テントの裾が捲れ上がり、支柱が折れる程にしなった。
その野戦司令部の横には一見ボロであるが、実は強固で豪華な村民兵用宿舎が建てられている。
第一飛行隊の新米村民兵はその中でボーイスカウトのキャンプ地のようにはしゃいでいた。
棒に刺した焼マシュマロを食べながら地酒を酌み交わし、エレキギターを奏で、歌を歌い、ブレイクダンスに興じるなどと、目一杯に楽しんでいた。

防寒コートを着込んだゴメリー中尉は肩を寒さに時折震わせながら外の静けさを妙に気にしていた。
村民兵用宿舎はハニカム構造の壁を何層かにした構造で、保温と共に防音もしっかりとした宿舎なので内部の物音は一切外には漏れない。
従って、ゴメリー中尉には村民兵用宿舎内の爆竹の連続爆裂音は聞こえてこないので、ナイナイメー辺地の異様な静けさだけがゴメリー中尉を覆っていた。

ゴメリー中尉はこの静けさの中で何か大きな事が起きるという予感がしていたものの、何が起きるのか全く推測できなかったので不安であった。
何かが起きるとは信じられないという気持ちでもあった。
この不安を煽る予感はゴメリー中尉だけではなかった。
長年共に戦ってきた第30軍団の歴戦の強者もそれを感じていた。
村民兵用宿舎で一時は新米村民兵と酒を酌み交わすのだが、その不安を拭えずに酔うのも中途半端で新米村民兵のように心底から笑えないでいた。

そして、不穏な空気がゴメリー中尉や第30軍団の兵士の背中を撫で上げる中、ゆっくりとナイナイメー辺地の夜が明けていったのである。

それは天地を揺るがす程の咆哮から始まった。

ゴメリー中尉はその尋常でない大音声を聞き取ると、すぐに敵の攻撃だと理解した。
この時点ではそれが王者コナンによるものであるという事をまだゴメリー中尉は知らない。
だが、ゴメリー中尉の心の非常ベルは今までになくけたたましく鳴り響いている。
目や耳・鼻からその警告音が飛び出てきそうな程である。
ゴメリー中尉は何故、ここで敵の攻撃が何故始まったのかなどを深く詮索する事はしない。
ただ攻撃に対し迅速に対処する事しかゴメリー中尉は考えていなかった。

ゴメリー中尉は野戦司令部からすぐに飛び出した。
戦場の匂いが周囲から漂ってくる。

新米村民兵が夜明け前に野戦司令部の裏手に、焼き過ぎて黒焦げになって燻っている焼きマシュマロに焼餅、焼き魚をこっそりと捨てていた。

戦場の匂いを嗅ぎながらゴメリー中尉は本能で戦場の状況把握をし始める。
五感の全てがフル稼働している。

第30軍団の猛者達も呼応したかのように村民兵用宿舎から飛び出してくる。
古参の中には夜のうちから既に外で野営している猛者も居た。

村民兵用宿舎内での第30軍団の伝達も早かった。
宿舎は内部の音が漏れないと同様に外部の音が聞こえてこない。
しかし、不安を拭えない第30軍団の一部の兵士が夜間に外の音が聞こえる様に入り口付近へ移動していたのだ。
大音声を聞きつけた兵士達は、外へ飛び出す兵士と宿舎内の仲間を起こしに行く兵士に素早く分かれた。

宿舎内に向かう第30軍団の兵士は寝転がっている新米村民兵を楽しく踏みつけたり、蹴りつけたりして頼りになる仲間の第30軍団の兵士を起こしに宿舎内を走り回った。
もちろん、余計に迂回して走り回ったので、踏みつけられた新米村民兵達がそこかしこに累々と転がった。
こうして、満足気な第30軍団は迅速に野戦司令部のゴメリー中尉の元に集合した。

この第30軍団の騒動に起こされた新米村民兵は目を擦りながら二日酔いの頭で何が起きたのかと不思議がっていた。
中には、第30軍団の機敏な動きに危険を察知した新米村民兵は起き上がりはしたが、何をして良いのか分からずに呆然と立ち尽していたり、おろおろと歩き回ったりしていた。

当然、未だに熟睡している新米村民兵も居た。
従って、第30軍団の猛者達がゴメリー中尉の元へ集合する中、新米村民兵のそのほとんどはまだ村民兵用宿舎の中であった。

大音声に続いて起きた怒号や悲鳴はゴメリー中尉の周囲から押し寄せてきた。
主にワンワンセブン高地の方角から聞こえてくる騒ぎが一際大きかった。
その事から敵の攻撃はワンワンセブン高地からとゴメリー中尉は判断した。
そして、周囲の騒ぎから周りはすでに敵だらけになっており、敵味方入り混ざった乱戦状態になっていると知った。

ナイナイメー辺地に降下した際に広範囲に散った第1飛行隊を、敵も大きく散開して個別に攻撃している事が推測できた。
同時にその戦い方は喚き声や唸り声から察すると、正規に訓練を受けた軍の攻撃ではなく蛮族の荒々しい戦い方だと、ゴメリー中尉の闘争本能は感じた。

ゴメリー中尉は襲ってきたのがD村村民兵ではなく北方蛮族達である事に確信を持ち、安心した。

まず第一に、D村に帰属していない北方蛮族の襲撃であるという事は、これから奇襲をかけようとしているD村に味方の存在が知られていないという事であった。
これは奇襲作戦である「マルケットベルト作戦」がまだ有効である事を示していた。

従って、ワンワンセブン高地確保は後続部隊の作戦遂行の上では絶対に必要な要件であり、我が任務の重要さが再認識できた。
そのうえ、ただ無秩序に暴れるだけの北方蛮族を相手にするのである。
それであれば、この近代化された軍隊の組織的な戦法であれば充分に勝てるという自信がゴメリー中尉にはあった。

北方蛮族らが周囲の第一飛行隊の新米村民兵を美味しく平らげつつ、野戦司令部に襲い掛かって来るまでにはまだ時間の余裕があるとゴメリー中尉は考えながらも、新米村民兵の様子から本格的な反撃態勢に入る程に時間が取れるだろうかという疑問も持っていた。

ゴメリー中尉は周囲の状況把握しながらも、敵が散開状態であるならば一点集中でこの戦場を突き切り、ワンワンセブン高地へ向かって、その場を拠点として北方蛮族をひとつひとつ潰してゆくという作戦を思い描いた。
そして作戦実行を決意する。

ゴメリー中尉はすでに集合している第30軍団の半数に命じた。
曲がりなりにも戦闘できる新米村民兵もかき集めさせたのである。
まだ寝ぼけていたり、二日酔いで暫く動けそうにない新米村員兵はこの場に置いて行くことにした。
介抱などしている余裕など無いし、戦場でそのように自らの非で無防備になるという事は、それによって身に降りかかる全ての事象に対して自己責任を持たねばならないのである。
極端に言うと味方と敵とのバレットラインに入るという事は自殺を自ずから選んだ事なのである。

残った第30軍団の兵士を使ってゴメリー中尉は指揮官である己を中心に、先端を鏃のように鋭くした菱形隊形を作り上げた。
その最中にも乱闘の剣戟音がみるみると近づいてくる。
中尉は隊形を組んでいる間周囲から襲ってくる敵に備えるために外殻の防衛を先に形成した。

そして、現にその隊形作りの最中に最初の敵が新米村民兵を追い立てて姿を現す。
ゴメリー中尉の読みの通りに敵も分散していたので、現れた北方蛮族はごく少数であった。

むやみに棒切れや張扇・ススキの穂を振り回す姿は近代戦術とは程遠い、子供の喧嘩で威勢を示すだけとしか考えられなかった。
尚、ススキの穂には目の中に入りやすいようにマイクロ単位まで摺り潰した胡椒がたっぷりとまぶされているので、末恐ろしい子供と言える。

菱形隊形の外殻を作る完璧で強固な防御陣を見て北方蛮族は足を止めてたじろいた。
だが、外殻を守る新米村民兵の怯えて張扇を構える姿に気がつくなり、にんまりと笑うと恫喝する大声を上げながら隊形に突入してきた。
北方蛮族らは恫喝に身をすくめた新米村民兵の抵抗をいとも簡単に薙ぎ払い、菱形隊形の中へと推してくる。
しかし、防御陣内には第30軍団の兵士も混ざっていたので、簡単には突破できない。最初の薙ぎでヤシの実の表皮を払っただけになった。
だが北方蛮族らも引き下がる事はなく突入していく。
それは戦国武者が「XXX見参、いざ推し通る!」といった調子であった。

必死に抗う新米村民兵の抵抗が突然無くなり、北方蛮族は勢いのあまり隊形の内部深くに倒れる込む様に取り込まれた。
第30軍団の指示で新米村民兵が身を引いたのである。
何が起きたのか理解できずに目を丸くした北方蛮族に周囲から張扇、拳、新聞棒などが次々と打ちおろされる。
それらの間から除菌していない使いかけのトイレブラシが突き入れられた。
罠に嵌まった北方蛮族はあっという間にその場に打ち倒され、その挙句に身ぐるみまで剥がされて後方へと追しやられ、隊形後部から放逐される頃には立つことのままならない惨憺たる姿の状態であった。

この時、北方蛮族に追い立てられていた新米村民兵達は菱形隊形の内に取り込まれて隊形を強化する一員に回される。
そして、敵を取り込んで出来た穴は張扇襖で塞がれ、後攻めを押し阻む体勢になっていた。

ゴメリー中尉にとって幸先のよい出陣であった。

-- 灰色猫の大劇場 その8 ----------------
灰色猫が玉座に座っている。
黒猫が柱の影から玉座を狙っている。
玉座を前にツバメが居た。

玉座の上の灰色猫は蜻蛉を結わえた糸の片方の端を持っていた。
ご褒美でその蜻蛉にありつけようと涎を垂らしながら目を輝かせて灰色猫に一心不乱にツバメは媚びている。

黒猫はツバメが灰色猫に軽んじられているという自らの立場に甘んじて、哀れな程に媚びているその姿を見ていると無性に腹が立った。
体内のアドレナリンが活発に大量生成され、黒猫の四足に力が入る。
柱に掴まる四足の指の先から、アドレナリンの増殖で沸騰する寸前のお湯のように怒りが溜まり、鋭く輝く爪が突き出る。

黒猫にとって運悪く、柱は風船で出来た劇場の小道具であった。
鋭い爪先と風船。当然の帰結である。

大音響の破裂音を発して風船の柱は破裂する。

媚びへつらっていたツバメが悲鳴を上げて飛び去る。
目の前で柱が破裂してしまった黒猫は目を白黒させて床に落ちた。
そして、灰色猫は・・・・目を夢の波間に浮かばせて恍惚の世界に入ったままだった。

ツバメの媚びへつらう声が気に入らなかったので、ヘッドホンをつけていたのだ。
そのヘッドホンからは静かな子守歌が聞こえ、灰色猫はぽかぽか陽気の花畑を夢の中で散歩していた。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2019 Freedog(blugger-Name)
Posted at 2019/03/23 11:49:13 | 物語A | 日記
2019年03月03日 イイね!

見積書前に請求書を送らない店での車検

7年目、10万キロと500キロばかりでの車検です。
前回のディーラーを辞め、別のところに持って行き、車検の見積もりをお願いしました。

な、な、な、なんと、見積書を頂きました。(当たり前だ)
前回は請求書が先でした。ホンダのどこぞのディーラーです。

昨日は一日がバラ色でした。

で、気になるお値段は総額で
110,348円


Posted at 2019/03/03 09:10:58 | 日記

プロフィール

「プリウスミサイルというが・・・ http://cvw.jp/b/1467453/47466114/
何シテル?   01/11 12:41
FreeDog(寒;)です。よろしくお願いします。 好きな言葉「笑う門に福あり。」 さぁ、みんなでブログ読んで笑いましょう! 嫌な真実「My JOKE...
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