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2019年08月25日 イイね!

物語A200:「波状攻撃」

あるそん・ろう長官の菱形撃破作戦の根幹はゴヤスレイ団長の攻撃手法とほぼ同じであった。
もともと北方蛮族の戦い方は基本的に同じで大きな差異は無い。
その根幹にあるのは非常に簡単な攻撃手法で、いわゆる「当たって砕けろ」なのである。
ろう長官がほんの少し違うのは単騎で戦いを好むゴヤスレイ団長のように、自らが先頭に立っての一点集中攻撃ではなかった。
あるそん・ろう長官は菱形隊形全周囲に手勢の全与力を展開したうえでの全面攻撃「全部平らげちゃおう攻撃」を実行した。
あるそん・ろう長官は下々の部下らが自分の差配で働くのを後方の陣で床几に座って差配を振り回しながら満足気に観戦した。
差配に逆らう動きを見せた部下には懲罰隊を差し向け、墨で体の隅々まで落書きして、市中引き回しの刑とする事を忘れなかった。

ろう長官が持ち草臥れた重い差配を最初に振ったこの時、菱形隊形自体はかなり弱体化しており、外殻の防御にも部位によってかなりの強弱が発生していた。
したがって、散開して攻撃するという策が最良の策としてあるそん長官によって選択され差配を振らせたのである。
懲罰隊を恐れている部下達は必死に差配の通りに動いた。
余談だが、この時のろう長官の勝利への自信から重い差配を思い切り振った為に、周り配置していた小姓が目を白くして大空高く弾き飛ばされた事は戦記に残っていないが事実である。

あるそん長官差配のもと「あるそん・ろう火付盗賊方」の与力達が各自で見当を付けた菱形隊形の攻めどころに急ぎ移動し、その配下の同心に指図して菱形隊形を攻め崩しにかかった。
攻撃ポイントを決め損ねた与力に、待ち草臥れた懲罰隊がろう長官の指示を待たずに背後に迫って行く。

それぞれの同心には目明かし達が付いており、その目明かしにはお気に入りの下っ引き達が本来の張扇より短い十手張扇を手にして付き従っている。
攻撃の合図で真っ先に突撃するのはこの目明かし達であり、その御付きの下っ引き達であった。
その背後から同心が長張扇を振りかざして乗りこんでいく。
同心を中心に目明かしと下っ匹の一団が菱形隊形に襲い掛かった。

与力は基本的に同心達の攻撃には加わらない。
背後で担当部位の戦況を観察しながら同心に旗を振っているだけで、これが許されるのも、「あるそん・ろう火付盗賊方」は厳格な「いばり」階級制が顕著にある階層組織であったからである。
「威張る」為の組織だが、蛮族にしては組織のしっかりした「あるそん・ろう火付盗賊方」であった。
しかし、この「いばり」階級制度は縦割り制度という事もあって、それ特有の弱点があった。

この「いばり」階級制度の弱点を利用したのが、錦上地区と多魔地区との平成の合戦を生き抜いてきた芝を背負った多魔地区の、そのさらに従属村である玉の芝狸達が暗躍した。
ちなみに、彼らの掲げる戦旗は「玉」の一文字で色は鮮やかな赤字に金の文字である。
もちろん、このシュツエーションはお約束である。
つまり、この狸達の事を通称「金」の玉の芝狸といったのである。
これ以上略さないのは語り手のモラルからである。
まかり間違っても、この狸達の背負った芝がボウボウとよく燃える上がる事から、「金玉の芝ぼうぼう狸」なんて事は高尚なモラルの元では書けないからで・・・って・・・・あっ!しまった。(汗)

「金」の玉の芝狸達は得意の変化術を駆使した。
と言っても、昔話にある様に木の葉を頭の上に装着して姿形を他の物に化ける変化術ではない。
(んっ?これは化け狐か!まぁ、似た者同士という事で・・・・なんだがプライドを傷つかれた狐の集団に襲われそうな背中の気配。
狐の集団。
裏庭の祠の狐の集団が集合しているのか。
「裏庭の祠の狐」。
どこかで聞いたような。
いや、読んだような。
でもネタに使えそう。
って話がそれて行く!)

何故なら、「金」の玉の芝狸達は「平成の合戦」の時期に行われた厳しい化け術の修練に落ちこぼれた狸達であったから、基本的に変化できないか変化の苦手な狸達であったのである。
しかし、化かす相手にいかにも化けているかのように幻惑させる術は心得ている「金」の玉の芝狸達なのである。
衣装を纏い、声音を変え、他の芝狸達との連係プレーで相手を化かすのである。
それは世にいう「劇場型詐欺」の基本形なのかもしれない。

戦闘の混乱の中で一匹の芝狸が、いかにも自分は仲間と逸れてしまった目明かしといった雰囲気で同心に摺り寄って行き、その指示を仰いだ。
日頃から与力に頭を押し付けられている同心の「部下に対して目一杯威張るのだ」欲求をくすぐる芝狸の作戦である。
これに乗せられない同心は、この厳しい「いばり」階級制度を強いている「あるそん・ろう火付盗賊方」の中には居ない。
さらに、同心は「いばり」階級制度の下層の方なので、裾野が広い「あるそん・ろう火付盗賊方」に有象無象いる全ての目明かしの顔を知るわけがなかった。
目明かしの出入りも多いので尚の事、知るはずがない。
こういった事情を含め、芝狸にうさ耳の髪飾りを手土産に摺り寄られた同心は、他の同心と逸れてしまった目明かしであると心底から鵜呑みにし、戦時下での機転で直ぐに配下に組み込んだ。
こうして、目明かしに化けた芝狸、灰色猫の劇団仲間が本編に割り込んだのである。話がかなり逸れてしまった。
なので、うさ耳の髪飾りを装着した同心のはしゃぎ振りを他所にして、話を元に戻す。

さて、あるそん長官の読みの通りに菱形隊形は、バルカとゴヤスレイ団長によって崩壊寸前までに成っており、それを立て直すにはかなりの時間がかかりそうであった。
「あるそん・ろう火付盗賊方」にとってこの状態の菱形隊形を完全に打ち滅ぼすには全くの好機で、それは誰が見ても容易いものとなっている。
それ故、菱形隊形の各部位に狙いを定めて四散していた与力達は勝利を確信していた。
その配下の同心・目明かし・下っ匹も同じで、与力の指図で一斉に菱形隊形の新米村民兵の壁に怒号を上げながら突進した。

「あるそん・ろう火付盗賊方」に攻め立てられ、崩壊が始まった菱形隊形の内部でゴメリー中尉は張扇を手に四散している部下を集めようとしていた。
だが、バルカと「ズナッペス団」の連続攻撃で味方の主だった兵の大半が打倒されており、手助けにはならなかった。
また新米村民兵を集めても、すぐに目明かし・下っ匹の波に洗われ、沖合に攫われてしまった。
それでも、「あるそん・ろう火付盗賊方」に翻弄される中から、ほんの少しの村民兵達と第30軍団のまだ立っている猛者達をなんとか集めてはみたが、元の菱形隊形ではなく歪な三角錐に整えるだけがやっとであった。

苦労の末に集合した三角錐隊形は「あるそん・ろう火付盗賊方」を押し分けて、再び前進を開始する。
ワンワンセブン高地からこの光景を眺め下ろしていた王者コナンは前のめりになって唸った。
心内で豪儀な奴等と称賛した。
同時にその進軍する姿にくすぐられた闘志が口から溢れ出そうになって王者コナンは唸った。
あの三角錐を相手に、少なくともそれを率いる長に会って一線を交えたいと望んでいる修練者コナンが居た。

あるそん長官も味方が押し退けられてゆくのを黙って見てはいなかった。
三角錐後方で適当に戦闘に参加していた怠け者の与力を前方に引き摺り出し、あるそん長官自らが指図してゴメリー中尉の三角錐隊形に全方位から攻め込んだ。

「金」の玉の芝狸達は、この後方に陣取って怠けている与力の配下であれば安全と見込んでいたのだが、この想定外の事態に戸惑ってしまった。
しかし、芝狸達には選択の余地がなかった。
故に、闘わざるを得ないのである。

-- 灰色猫の大劇場 その9(中) ----------------
柱の影で業を煮やした蜻蛉とその仲間(オニヤンマ)達が一斉に動いた。

蟻さんの上空に飛来すると、極太の6本の脚で蟻さんを抱きかかえて飛び上がり、そのまま宙でホバリングを始めた。
XY軸の平面からXZ軸の平面、つまり音声発信源が垂直に立ち上がった訳である。
その面をつくる蜻蛉が個々に抱えている蟻さんの声の威力で後ろに押されて下がる。が、すぐに前進し定位置に付く。
おかげで、蜻蛉達が作る面が前後し、その様はスピーカーコーンが振動している様と同じであった。

こうして、蟻さん達と蜻蛉達が共同で作り上げた巨大スピーカーが灰色猫の前に出現することになった。
蟻さん達の声と、蜻蛉達の作るスピーカーの振動との相乗効果で蟻さん達の声は非常に大きくなった。
だが、別々の声の振動の波形を合わせているので雑音とか認識できない。

しかし、困った事は別にもあった。
蜻蛉の仲間(オニヤンマ)達が抱える蟻を見て、思わず口元から一筋の涎を垂らしてしまう事である。
オニヤンマの本能に負けた蜻蛉の仲間(オニヤンマ)が、時折新たな相棒(多分?)を求めて低空飛行していた。
Posted at 2019/08/25 20:37:42 | 物語A | 日記

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「プリウスミサイルというが・・・ http://cvw.jp/b/1467453/47466114/
何シテル?   01/11 12:41
FreeDog(寒;)です。よろしくお願いします。 好きな言葉「笑う門に福あり。」 さぁ、みんなでブログ読んで笑いましょう! 嫌な真実「My JOKE...
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