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2020年07月26日 イイね!

物語A207:「黒田大尉の野望と共にヒホンコー部隊出陣」

以前にも記録したが(物語A179:「丸太渡河部隊の上陸」)、マクレン大佐は丸太上陸部隊を二八に分割した内の一つの部隊名を天下三名槍と呼ばれた槍の名「ひのもとごう」から「日本号」、「ひほんごう」と連想し、「ヒホンコー」部隊と名付けた。
この「ヒホンコー」部隊の指揮を執るのが大佐の補佐役である黒田大和猫ノ信大尉である。

黒田大尉は何年もの間、一生懸命に身を粉にしてマクレン大佐の指揮の元で働いてきた。
しかし、結局は大尉どまりである。
大佐の命令でしか活動する事が許されず、戦の行方を大きく左右する戦功を立てたとしてもその名誉の全てはマクレン大佐に奪い去られていた。
苦渋に満ちた悲惨な下積み生活をずっと過ごしてきたし、今後も同じ運命を辿るのだろうと大尉は半ば昇任を諦めていた。

そして、運命の悪戯なのかこのブル河岸で一部隊を、それも大部隊の指揮を任される事になったのである。
さらに、この大部隊を率いて大佐より先行する事は自らの自由意思で指揮できるという事と同じであった。
大佐のリモートコントロールを意味する伝令役の陰ノ円井賀が率いる「陰の軍団」がしっかりと付いていても、戦場では、伝令といった時間がかかる通信にはあまりは意味がない。
戦場では常に状況が激変するのだ。
従って、伝令の主機能は戦闘の結果を左右するものではなく結果の報告でしかないのである。
つまり、突然に戦の行方を左右する戦いが起こっても、黒田大尉のその時に発した命令を覆す事は出来ないのである。
戦闘のその結果を本隊のマクレン大佐に報告するだけである。

その事を逆手に考えると、戦功があったとしても報告をしなければマクレン大佐であってもその戦功を奪う事はできない。
しかるに、この状況は黒田大尉にとっては戦功を成す事の一生涯のビックチャンスであった。
この事はこれから先は2度と起きないと思われた。
ビックチャンスと共にラストチャンスでもある。
しかし、黒田大尉は戦功を成す事だけ満足出来るのかと自問自答する。
このチャンスは戦功だけではないと開眼する。
うまく利用すればビックチャンス程度の物でなくビックバン級のチャンスなのである。
マクレン大佐の裏をかいて、大佐の座から引きずり落し自らがそこに座す。
いや、もっと上も、果ては頂点ですら狙えるスーパービックバンチャンスが目の前にあるのだ。

黒田大尉はこの幸運をを得られた事で喜びに芯底から体が震え始め、その抑えきれない興奮で小刻みに体が震え続ける。
貧乏揺すりともいう。
なんとか冷静になって、次にとる一手を考えようとしたが、栄光の妄想花が頭の中で満開となってしまい、その甘い芳香に脳が麻痺して冷静に物事を考えられなくなっていた。
落ち着きを取り戻さねばこの掛け替えのない幸運が指から零れ落ちてしまうと黒田大尉は思った。

そこで、普段の冷静さを取り戻す為に黒田大尉は「丸太渡河部隊」を「ロン」部隊と「ヒホンコー」部隊へ分割し再編する事に従事し精神の全てをそれに集中した。
この分割再編を行わない事には、いくら将来に希望を抱いたとしても何の成果も出ないまま希望は砂上楼閣のように消え去るだけなのである。
この分割再編こそ栄光への第一歩となる重要なステップなのである。
気を抜いて好い加減にする事はできなかった。

重要視している分割再編の中で黒田大尉はマクレン大佐に気取られない様に実戦経験が豊富で且つ有能な村民兵を「ヒホンコー」部隊になるべく多く徴用するように配置転換していった。
そして、マクレン大佐の足を引っ張るように「ロン」部隊には残り滓を多く残すようにする。
腹黒くなった黒田大尉は下級将校達を次々と叱咤激励しながら、着々と自分専用の強力な「ヒホンコー」部隊の編成を進める。

下級将校達はこの混乱した河岸で勝手気ままな部隊編成を試み、優秀な兵士を間にして互いの権利を争っていた。
将校の居ぬ間の兵の引っこ抜きは当たり前で、兵士自信も勝手気ままに仲間内で集まったりしていた。
しかし、黒田大尉の鬼気迫った頭ごなしの命令で、下級将校は初めて目が覚めたように部下の掌握と統率を行い、黒田大尉の希望に即する部隊編成をテキパキと進め始めた。
そして、瞬く間に「ヒホンコー部隊」の編成がほぼほぼ完了し終わる頃、部下の下級将校達に後の細かい作業は任せて、黒田大尉はこのビックチャンスを完全に自分の物、つまり自分自身だけの名誉にする為のプランを改めて考え、細部まで整理し始める。

「マルケットベルト作戦」成功の暁にはマクレン大佐はなんだかんだと言って横取りするに違いない。
それを阻止する行動をしなければならない。

真っ先に考えられた難関は、作戦完了時の報告である。
マクレン大佐だけに報告させておいては都合の良い様に報告されてしまうのは自明の理だ。
これに介入し阻止しなければならない。
黒田大尉は何かと理由を付けてその報告に立ち合って出席しなければならないが、手練れのマクレン大佐である。
いつものように蚊帳の外へ追い出され、黒田大尉の目の届かない所で報告を済ませてしまう事が推測できた。
事実のは異なる報告書だけで終わる事だってありうる。

従って、作戦終了時にその陰険なマクレン大佐が居なければ良いと考えた。
しかし、この戦闘で敵の手にかかるとか不慮の事故で倒れるといった事を願うのでは確実性がない。
既に、敵の不意打ちから安全な後方に回っているのだ。
だからと言って、マクレン大佐をこの作戦遂行中に直接的な手段で処方する事にも黒田大尉は自信が無い。
未だに目にした事はないが、そのマクレン大佐は武術の奥義を会得していると言われているのだ。
その事は、かなり「手強い」事を意味する。事務方に近い黒田大尉はマクレン大佐を闇から闇へ葬り去る腕っぷしに自信が無かった。

胸の内で100回も大佐処分を行う程に思案した挙句、出した結果は「ヒホンコー」部隊を連れてマクレン大佐にとことん先行し続ける事であった。
一歩たりとも追いつかせてはいけないのだ。
近づけてもいけない。

大きく引き離したままでないと良い結果は出ないのだと黒田大尉は結論付けた。

マクレン大佐のロン部隊に対してとにもかくにも徹底的に先行するのである。
そして、第1拠点のワンワンセブン高地で、第2拠点のアラモフヶ丘で素早く物資や武器、兵士の補給をする。
この時、最新で強力な武器の徴収や優秀な兵の徴兵を行い「ヒホンコー部隊」をさらに強化し、後からくる「ロン部隊」には3流の物資や塀しか残さないようにするのだ。
そして、より強力になった「ヒホンコー部隊」と共に黒田大尉は単独でD村を奇襲し、自らの手で宿敵のアフェト・ラ将軍様を捕縛するのである。

この将軍様捕縛の瞬間は後の有力な証拠とする為にカメラ撮影が必要だと考えた。歴史的瞬間である。
将軍様の冷や汗の一粒、恐怖に逆立つ産毛のの1本をとる為にも4Kカメラでは不足だと考え、最新式の64Kカメラでの撮影を実施しようと黒田大佐は考える。
そして、そのままマクレン大佐よりも先行し続け、大佐が鈍足の「ロン部隊」を引き連れてD村に侵攻する頃にはABF村連合軍の長であり「マルケットベルト作戦」を立案した最高責任者であるA村第33代大統領リー・ハーマンの面前に引き立てて行き、我が功績を報告するのである。
これで、マクレン大佐にこの功績を奪われずにすみ、黒田大和猫ノ信大尉の名が64K映像と共に後世に残るのだ。
この瞬間、完璧だと思った。

だが、ここまで考えても一抹の不安があった。
それはマクレン大佐とハーマン大統領の間柄である。
油と水の関係であれば黒田大尉にとっては真に好都合であるが、逆に親密な関係であれば最後の最後で「どんでん返し」を喰わされることになる。
ハーマン大統領自身が黒田大尉の功績をひた隠しに隠してしまう可能性があるからだ。
そのうえで、黒田大尉の功績を揉み消して、遅れて帰還してくるマクレン大佐に「マルケットベルト作戦」成功という最高の名誉を授けてしまう事であった。
最新式の64K映像も、大統領の権力を使えば偽造など朝飯前と思われる。

「マルケットベルト作戦」成功の礎として活躍した事を村内にハーマン大統領に報告する前に認めさせる手段を考える必要があると、黒田大尉は考える。
それも必然性が無いと抜け駆けなどの不名誉をハーマン大統領側が押し付ける可能性があるのだ。
慎重に計画を立てないと全てがご破算になると黒田大尉は気を引き締める。
そして、この事態を避ける為に考え付いたのは村への凱旋であった。

先頭に立って黒田大尉自らがアフェト・ラ将軍を縛り上げる綱を握って、大手を振りながらA村正門から凱旋する事であると黒田大尉は結論した。
A村の全村民を前にしての凱旋であれば、さすがのハーマン大統領であろうとも黒田大尉の功績を隠し通すことはできない。
村民が良く見える様に山車に乗って凱旋するのも良い。
デラックスな山車に乗る姿が脳裏をよぎる。
そして、アフェト・ラ将軍を縛り上げる64K映像を空中噴霧した水蒸気を使って、巨大映像を空間投写することを黒田大尉は考えた。

布石としてハーマン大統領の政敵に内通しておいても良いかもしれない。
後々、役に立つかもしれない。
政敵と密談。
その政治力を背景に将来は次期大統領に立候補しても良い。
英雄であれば村民はもろ手を挙げて賛成するに違いないのだ。
黒田大尉の顔が破顔する。
苦渋に満ちた道を歩んできただけにその反動である黒田大尉の夢は非常に大きく膨れ上がっていった。

この黒田大尉に「ヒホンコー部隊」編成の完了を報告しに来た下級将校達はこの黒田大尉から何歩も後ろに身を引いて、恐れたと記録に残っている。

黒田大和猫ノ信大尉指揮のもと「ヒホンコー」部隊は颯爽と河岸から出発した。
黒田大尉の将来を賭けた気合が憑依しているのか「ヒホンコー」部隊の面々は異常なほどに士気が高く血気盛んであった。
黒田大尉は新米村民兵のそんな士気を感じて満面に笑みを浮かべ自信満々に先頭を進む。

実は、その新米村民兵達は「ヒホンコー」部隊をマクレン大佐が指揮していない事から戦闘の主力部隊ではなく、むしろ予備の部隊に違いないと考えていた。
従って、主力から外れた予備部隊であるのだから主戦場に赴く事は無いと信じ込んでいるのである。
現に、それを証明するかのように新米村民兵の背負う背嚢には食料や酒・鍋に薪などのキャンプファイヤー用の道具が一杯に詰まっていた。
危険な目に合うことなど毛筋ほどにも考えていない、この次のキャンプふぁおやーに全精力を傾けようと意気揚揚な新米村民兵達である。
その意気込みを黒田大尉は勘違いして感じていたのである。

しかし、戦場においては先行するこういった斥候部隊が地雷原を進む時の地雷探知用チェーン、炭鉱内のカナリヤ、競走馬の前のニンジン(?)、そういった類の物である事を知らない新米村民兵であった。
栄光を求めて先頭を行く黒田大尉、新たな観光地を目指して意気揚々と笑顔で歩む新米村民達。
その後をマクレン大佐がリモートコントロールする為に送り込んだ陰ノ円井賀の「陰の軍団」所属の黒い5つの物体AからEが身を隠しながら追っていく。
数々の思いを乗せた「ヒホンコー」部隊の進軍はまだ夜が開けていない暗い時刻の事であった。

-- 灰色猫の大劇場 その14 ----------------
ねずみが居た
考えたら今までにねずみは登場していない。
なので、「灰色猫の大劇場」の観客から拍手喝采で迎えられる。
スポットライトの中、燕尾服に身を包み、ステッキを軽く腕に下げ、シルクハットを片手で掲げ、優雅にお辞儀をして挨拶するのは、ディナーの皿の上であった。

スポットライトの当たらない影で灰色猫と黒猫が食事用エプロンを首につけて目を光らせながら仲良く座っている。
だが登場したネズミは一匹だけであった。
2匹の持つフォークが異様な光を放ち、ネズミの背中の毛は総立ちになる。

チーン!ゴングが鳴った。
三つ巴の激戦が舞台上で、いやリングで始まった。

--続く
この物語はフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ありません。
この物語の著作権はFreedog(ブロガーネーム)にあります。
Copywright 2020 Freedog(blugger-Name)

Posted at 2020/07/26 12:47:58 | トラックバック(0) | 物語A | 日記

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