80年代の日本仕様E30型325iは最高出力125馬力で、
当時の水準で見ても
排気量の割には、あれ?というような低スペックでした。
レブリミットも5000回転ほどと低め。
欧州仕様の323iはスゴイらしいから、
排気量がより大きい325iはもっとすごいのでは??
というように、
BMWのスモール6最強スペックを期待していたのに、
何故のスペックダウン?
排ガス対策のせい?
と、かなりがっかりしたのですが・・・・
日本仕様の325iの正体は欧州仕様では325e
ETAエンジンを搭載したグレードで、
欧州仕様の325iとは別ものでした。
ETAエンジンって何なの?
日本向けに低コスト版を輸出しているの?
等々、疑いの目で見てしまっていましたが、
後になって知ったのは
ETAエンジンに込められた
BMWのエンジンに対する
考え方の奥深さでした。
ETAエンジンとは
高効率・低燃費エンジンとは?という問いに対し、
当時のBMWが導き出した回答でした。
70年代後半の時点で、
「比較的大きな排気量のエンジンを、
スロットルをより大きく開けた状態で
低回転域で運転すると、
燃料効率が向上する。」という、
現在の直噴低圧過給(=仮想的な排気量増量)や
ノンスロットリング技術(=バルブトロニック)
に通じる考えのもと、
低回転域から広いパワーバンドを得るために
低回転域重視の吸気マニフォールドの長さや形状、
吸排気バルブの形状、バルブタイミングの選択
エンジン内フリクション軽減のために
カムシャフトベアリングを標準型M20エンジンの7個から4個に削減
ローテンションピストンリングの採用
バルブスプリングのばね定数低減
・・・等々の工夫が行われていました。
ETAエンジンに採用された高効率化技術の成果で
低回転域から充分な出力を得られるので、
ATとのマッチングに優れ、
低速走行時のドライバビリティーが良く、
高速巡航時のエンジン回転を低く抑えられるので高速燃費も良い。
小排気量、高回転型エンジンに比べて運転が容易
・・・等々、多くの実用上の利点を得られていたようです。
日本で日常使用するなら通常のエンジンよりも
体感性能は優れていたはずのETAエンジンでしたが、
当時の高効率化技術の限界で、高回転高出力を
同時に求めることはできず、
カタログスペックがパッとしないというだけで
あまりいい評判ではなかったように思います。
その後
VANOS、バルブトロニック、気筒内直接噴射、過給技術の改善・・・等々
様々な新技術が登場して、
ETAエンジンで求めた低回転域で高効率なエンジン特性と、
BMW伝統の高回転高出力を両立した、
現在のエンジンに続いていくことになります。
1988年ごろ、仕事先の先輩が325iに乗っていて、
意外といい走りだなあ・・・と思っていましたが、
本国仕様の323iや325iだったらもっといいのになあ・・・
とも思っていました。
カタログスペックに惑わされていた80年代の自分がハズカシイ(^^ゞ
http://e30eta.com/articles/
http://en.wikipedia.org/wiki/BMW_M20
Posted at 2013/12/11 19:17:49 | |
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