前回は空気圧の実験でしたので、
今回はフロントキャンバーの実験です。
今回は、非常に大きな示唆が得られました。
実験前に、私の経験から。(LSD有車の場合)
Fキャンバーは、大きければ大きいほど運転は難しくなるがタイムにつながります。(もちろんコースによるし、運転は難しくなるので、雑な操作をする人はこの限りではありません。)
スターレット乗っていたときは、最終的にフロント目いっぱいで5.5度くらいつけてましたが、これはうまく操作できるようになるとめちゃくちゃ楽しい仕様でした。しかし、大キャンバーのメリットを体感できるようになったのはスポーツ走行を始めてからかなり経ってからで、サーキット走行回数にして200回くらいはこなしていたし、LSDを完全に使いこなせるようになって初めてキャンバーの恩恵が理解できたと記憶しています。
で、ここからは仮説ですが・・・これまたオープンデフの場合は異なると思うんですよね。オープンデフでは、大きなキャンバーをつけることのメリットに対し、デメリットが相対的に大きいと推測できますよね。例としては、直進時や初期操舵時のグリップ低下、加速移行時のイン側タイヤのトラクションなどです。
というわけで、今回の実験の目的は仮説の検証およびどれくらいタイムが変わるのか、です。
◆ 実験方法
RFactorにて、SNMPを走ります。車両は純正相当のClio3RS。
タイヤのグリップレベルはセカンドグレード相当です。
フロントキャンバーをコンマ5刻みで動かしてみて、タイムを計測します。今回はキャンバーの実験なので、キャンバー以外の数値はいじりません。
空気圧は、前回の実験で得られた示唆に従い、リア側を2.7スタートで設定。
計測項目は、タイム、タイヤ温度(内側、中、外側)、空気圧。
周回はアウトラップ+2周づつ。
◆ 結果
以下のようになりました。
F Camber :Time1→Time2
-0.5 : 1.05.0 → 1.04.8
-1.0 : 1.04.5 → 1.04.3
-1.5 : 1.04.2 → 1.04.4
-2.0 : 1.04.1 → 1.04.2
-2.5 : 1.04.5 → 1.04.0
-3.0 : 1.04.0 → 1.03.5
-3.5 : 1.03.7 → 1.03.9
まず目立つのは、タイムの上昇傾向ですね。実車の方では今は-1もついていないので、ここは優先的に改善だな、と思いました。
タイムを見る際の注意点として、-1.5〜‐2.5あたりは、車両挙動上に現れた失敗が結構多いです。つまり明らかなミスをしています。-2.5の実験をしている時に、少し運転を変えないとダメだなーと考え、ブレーキングとステアリングを多少マイルドに変えています。つまり、キャンバーが小さいほど、操作に対する感度が低いクルマ、大きいほど高いクルマということが言えると同時に、-1.5〜‐2.5はドライビングの方に難があるタイムである可能性があります。
また、タイヤ温度を見ると、-1.5まではイン側とアウト側がほぼ均等に温まっていますが、-2.0からはイン側が温まりやすくなり、-3.5ではインとセンターがほぼ同じ温度になっています。タイヤ温度自体は、-3.0と-3.5が最も高いですが、-3.5では本来温まりやすい右側ではなく、左側の方が高温になっています。つまり、直線時の接地面にかなり無理をさせているということとオープンデフにおいてはコーナリング時の旨味の限界がここらへんにあるということを示唆していると考えられます。
なお空気圧の変化には目立った差はみられませんでした。
ということで、ここから分かるのは、
① -2.0〜-3.0の間にベストなキャンバー角がある可能性が高い
② 基本的には‐3.0くらいまでの間であれば、
大きければ大きいほどタイムに効きそうである。
③ 思いのほか、キャンバーがタイムに与える影響は大きい。
④ キャンバーが小さいと、挙動上のミスが(シム上では)分かりづらく、
そこそこな走りになってしまう
といったところでしょうか。
ということで、実車の次の変更は、LSDの前にキャンバーだ!と考えるには十分すぎる結果でした。なお、上にも書いているように、-2.0あたりからは運転が伴っての話になりますので、万人に当てはまるかはわかりません。
-0.5
-1.0
-1.5
-2.0
-2.5
-3.0
-3.5
Posted at 2021/08/11 10:27:56 | |
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