チョイ乗りなので、明確に断言とかできないんですけれど。
DT SWISS ARC1100DICUT 50にご厚意でちょいとだけ試乗させてもらいました。
偶然、同じSRAMの12速(その方はeTAP FORCE AXS)を使っておられる方で、話題のホイールを使っている御仁がいて「フレームまで変わるとなんのこっちゃわからんようになるから、マドンにはめてみてください」と太っ腹なご提案。
幸いにも、スプロケも10-33Tと一致したので面倒な調整なしで右から左にポンと入れ替え。
ただし、微妙なハブ形状の違いからほんのり少しだけディスクローター位置がBONTRAGERのホイールと違うみたいで(わずか0.1㎜差とかそんなハナシです)時々、パッドとローターが擦れているみたいで「シャッ………シャッ…」というのはお互いにご愛敬。
その方には私のBONTRAGER Aeolus RSL62をお貸ししました。
その方はRSL62に興味があったようです。
2kmほどでしょうか。
チョイ乗りした印象を(平坦のみ)
①転がり出しは…案外、RSL62の方が軽いのが意外。
②回りだすと、ARC1100DICUTの方がより転がるような印象。
③巡航に入ると、確かに50㎜リムハイトの割に空力が良い気がする。
④カタログスペックでARC1100DICUTと、RSL62はわずかにRSL62の方が重いものの、重量差は前後輪合わせてわずか48g
これを体感するのは難しいくらい踏んだ時の脚応え込みで拮抗。
→体感してみて感じました。
ARC1100DICUTはハイエンドハブの180EXP
Aeolus RSL62はひとつ下の240EXP
ハブ重量のみで前後合わせても40gもの差にはならない…と思いますが…
※面倒くさがらずにググりましたw
・180EXPハブ=前93g 後189g 実測値
・240EXPハブ=前105g 後204g 実測値
実測値な為、もっとたくさんの個体数を実測して平均をとれば数g差異が生じる可能性はあります。
この実測値を掲載してくださっているIT技術者さんのブログでは10個単位は計測して平均とっておられるみたいです。
○ハブ単体の重量差は約27g
ホイールのカタログ数値(を信じるとして)
・ARC1100DICUT 50:前後合わせて1472g
・Aeolus RSL62 :前後合わせて1520g
48gの差のうち、ハブ重量差が約27gあるので残りの重量差は21g
スポークの重量差もわずかにあると思われます。
Aeolus RSL62は全数 AEROLITE(DT SWISS)
ARC1100 DICUTは AEROLITE ⅡとAEROCOMP Ⅱ(DT SWISS)
ARC1100 DICUTの方がスポーク重量もわずかに重いと思われます。
が、ホイール一本につき24本のスポーク重量の差は恐らくあっても4gとか5gくらいだと思われます。
ここから導き出される答えは、細かい数値はどうでもいい(どうでも良くないけどw)
単にリムハイト50㎜と62㎜の差があるのに、リム重量が「ほぼ変わらないと言っても過言ではないくらいの差しかない」事実に気付いたんですよ。
それに驚き。
さて、重量のハナシでえらく逸れましたがw
①で感じた要因は、リム内幅の差から生まれるタイヤ形状の差とエアボリュームの差、それによって生まれる「転がり抵抗の差」を体感しているのかな…
と思いました。
ARC1100 DICUTの方は、空力重視でリム内幅20㎜(!)というちょっと前の流行り?とも言える内幅数値。
Aeolus RSL62の方は、リム内幅23㎜(ロード用フック付きホイールとしては業界初)という、Bontragerが唯一業界に新提案するような寸法値を採用しています。
ARC1100 DICUTの方は、乗り出し(こぎ出し)の感覚は良く知ったるリム内幅21㎜のRSL37やCL50 discに乱暴に言えば似ている。
良く知ったるフィーリングで転がり出しました。
Aeolus RSL62の方は、私以外の方にも乗っていただいた事があるのですが、実際に体験されたみなさんが「えっ!?」と驚かれます。
それくらい「軽く感じる」のです。
タイヤプロフィールの違いから生じる路面との接触面形状の差も含めて、実際に発揮される「転がり抵抗」である「ヒステリシスロス」と「インピーダンスロス」をタイヤ側でも減じる事に成功しているのは、BONTRAGERかなと思いました。
②は、リムハイト50㎜と62㎜で12㎜も差があるのに巡航の素晴らしさは変わらないか、オーナーとしてはちょっと悔しいwですがARC1100 DICUTの方に少し分があるかな…というのが正直な感想です。
ここは、ハブベアリングの性能差も体感に含まれているような気がします。
・ARC1100 DICUT=SINC ceramicとDT SWISSが呼ぶセラミックベアリング
・Aeolus RSL62=DT SWISS純正のSUSベアリング
③②にも通じる感想になるんですけど、ARC1100 DICUTの方が少し伸びる気がする。
スポークを固定するニップルを整備性を犠牲にしてリム内に配置するインターナルニップルにした恩恵もあるのかな?と感じました。
確か、ココで一輪あたり2Wの空気抵抗削減を実現するとかしないとか。
あと、他社へ新型スポークを卸さずに自社のARC1100にのみ使用しているエアロライトⅡとエアロコンプⅡというスポークは従来のエアロスポークよりも空気抵抗低減を実現したとか。
一輪あたり24本配置のホイールで、ホイール一本あたり1.1Wの回転する際のスポークが空気を攪拌する抵抗値を低減しているとか。
それらも込みで、リム内幅を「ワイドリム全盛の時代に敢えて20㎜」にしてまで、リム形状込みでタイヤのプロフィールを「空力重視にした」のが功を奏しているのか。
チョイ乗りでは断言できませんが、体感した限りでは若干ARC1100 DICUTの方が速い気がする。
④重量差は全く気にならないです。
50㎜リムハイトの製品で、Aeolus RSL62とリム重量がほぼ変わらないだろうというのを試算で知ったので、DT SWISSのホイールの場合はオールマイティに使うなら50㎜までにした方が良いだろうなと感じました。
それを踏まえて考えると、Aeolus RSL62はそういう意味では凄いなwと実際に乗り比べて感じましたw
※総括
さすが話題になるだけあって、DT SWISSの新型ARC1100DICUT 50は噂に違わぬ速さ。
そして、転がりの滑らかさ。
全てが高次元でバランスされていて、素晴らしいホイールだなと思いました。
直接比較しているホイールがリムハイトが違う為に、平等な評価にはならないのが難しいところ。
これを前置きにした理由があります。
それをこれから書きます。
意外な事に、RSL62も贔屓目に見なくても悪く無かったんです。
リムハイトが12㎜、RSL62の方が名前が表す通りにリムハイト高いので物理的にそういう理由もあると思います。
また、RSL62の方がインターナルリム幅が3㎜ワイド。という理由もあると思います。
平坦で試乗させてもらったんですけれど、Uターンする時とか含めてコーナリングに入ると僅かな差ですがRSL62の方が好印象なのです。
リムハイトが高い分、ジャイロ効果も働いて直進性が増して悪い言い方をすれば「癖がある」のが昔のディープリムホイールの特徴なんですが、RSL62は新しい機材らしく「そういう悪い癖がありません」
むしろ、スタビリティ方向にそういう作用が働いていて変なアンダーステアとかが出ないのでかえって乗りやすい。
それと、ワイドリムなのも手伝ってタイヤのグリップ特性が優れている。
リムハイト高い分、スポーク長さも短くなるので若干の差でしかないにしても、スポークの撓み方向の剛性もRSL62の方が少し高い可能性がある。
(メリットばかりではないのですけれどね。)
それら印象が相まって、長い距離をひたすら巡航速度を高めて体力をセーブしながら時間を削る…という能力ならARC1100 DICUTの方に軍配があがるでしょう。
ヒルクライムもダウンヒルも含めて、コーナリングなど込みでオールラウンドに優れた特性を発揮するのは意外な事にAeolus RSL62の方が上かも知れない。
(素人なんでw実際のところはわかんねッスよ)
また、Aeolus RSL62はOCLV800にブラッシュアップしたMadone SLRに合わせ込んで設計・製作されたというのは本当なのかも知れません。
Madone SLRにRSL62を装着した状態でもDT SWISSのホイールを貸してくださった方に乗ってもらって話し合ったんですけど、Madone SLRにはRSL62が絶妙にマッチングしている感があるのはお互いに感想が同じでした。
それでも、端的に性能差を評価するならば…
やはり評判通りにARC1100 DICUT>Aeolus RSLなんだと思います。
その性能差は、ロードバイクメーカーが良く新型を発表する時に用いるフレーズとして「40km/hで一時間走行した時に40秒のアドバンテージを得られる」というくらいの差なんでしょうね。
確かにそれは無視できない数値。性能差。
DT SWISSの新型ホイールの作りこみは素晴らしいモノがありました。
リムもスポーク用の孔位置が左右でアンシンメトリーになっていて、スポーク角度が左右で理想的にならない昨今のロード用ホイールの左右差を左右異径組みだけでなく、ハブからスポークまでの角度でも是正している徹底ぶりです。
Bontragerのホイールは、左右でスポークを引く本数差と交差する角度差で左右差を埋める設計です。
その差もあるでしょう。
DT SWISSの新型ホイールは「記念に一本持っておきたい」とまで思いました。
乗った時の好みは…Bontrager Aeolus RSL62の方が好きかも知れない。
私は体重があるので、そこが評価の分かれ目になるのかも知れない。
乗り手の体重が70kg台かそれより軽い人は間違いなくARC1100 DICUTの方が評価は高いだろう。
乗り手の体重が85kg以上で90kg近い人になると(私の事w)その体重を支える為に上げざるを得ないタイヤの空気圧の事も無視できない問題となってきます。
その時に光ってくるのがリム内幅。
ここでエアボリュームを稼ぎつつ、タイヤ重量を嵩む事無く装着した際の実際に発揮されるタイヤの幅を拡げて接地面形状をより理想に近づけるという設計がここまでの体感差を埋める結果に繋がったのかも知れません。
(幸いな事に、その方と私は背格好も体重もクリソツなのですw)
DT SWISSの新型ホイールを借りた私はソレを機会あれば買っておきたい。
BONTRAGERのRSLホイールを借りた知人の方はソレを機会あれば買っておきたい。
そんな印象をお互いに持った珍しい一夜の出来事でした。
最近の自社でホイール製作をしていないメーカーの新型ロードバイクには、DT SWISSの新型ARC1100 DICUTを純正アッセンブルして完成車として販売しているモデルが割とあります。
コレ、狙い目です。
完成車についてくるホイールは、不幸な事に大抵は買い替え前提で完成車の価格だけでも(少し割安かつオトクな設定になっているとは言え)結構な額を支払わないといけないのに、そこへハイエンドホイールのコストがさらに上乗せで掛かってくるワケです。
ソレが!
買い替えなくて済む!!
という吉報です。
下手なホイールよりも…というか、世の中の大抵のホイールよりもDT SWISSの新型ARC1100 DICUTをそのまま使って走る方が速いと思われます。
昨今のコロナ禍に便乗して…というと聞こえが悪いですけどw
現実問題として価格が跳ね上がっていってしまっているロードバイク業界。
ハイエンドモデルの完成車価格は…うっひょwwwwwwwwと思わず声を出してしまう180万円~200万円の時代へ突入してしまいした。
それ単体で見ると高くなっているように見えますが、完成車アッセンブルで2021年までの相場で150~160万円で買えたハイエンドモデル。
そこからさらに、35~40万円支払って自分好みのホイールをセット…するのを考えたら、お値段据え置きでやんす。
…え?
あたま毒されてる?
そうですね…。
私の頭はもう既におかしいと思います…。
話しを戻して、そこまで考えた時にTREKのProject oneって素晴らしいシステムだなぁ~!と思います。
手持ちのホイールで良いのを持ってる場合なら→できる限りホイールをグレードダウンしてコストを抑えられる。
BONTRAGER製に限られるけど、最新のハイエンドホイールセットで買いたい。けれど、リムハイトなどは自分好みで選びたい。そんな時もProject oneなら選べる。=コストを抑えられる。
ステムもクランク長もハンドル幅もProject oneなら注文時に選べる。=無駄がない。
話しが随分逸れましたがw
DT SWISSの新型ホイールはやべぇです。
凄いの一言でした。
マウンテンバイクとグラベルロード増車して散財している現状じゃすぐには動けないですけど、嫁さんの精神的なほとぼりがさめた頃にワンセット、DT SWISSのホイール買っておこうかな~wなんて思いました。
それと、RSL62(およびRSL37)は改めて好きになりました。
貴重な体験をさせていただきました。
ありがとうございます。