いつも勉強で読ませていただいているIT技術者さんの記事で大変興味深い記事を読みました。
SWISS SIDEが検証!1165gのLightweightと1600gのエアロホイールのどちらが速いのか?
IT技術者さんのブログです。
LightweightのMeilensteinと言えば、ローディが憧れるハイブランド中のハイブランドであり、そこが誇るフラッグシップモデル。
重量/剛性比でこれに比肩するホイールは世の中に存在しないと言い切れるほどの、そういう方面では傑作といえる素晴らしいホイールです。
こんなに軽いのに(前後合わせて1165g!)そこら辺に売ってる30~40万円のハイエンドホイール達の剛性と比較しても決して劣っているワケではなく…
むしろこんなに軽いMeilensteinの方が剛性が高いという現実もあるほど、素晴らしい製品なのです。
カーボン製ハブ胴と「竹」で作られた特殊なVというかUの字スポークを一体型で編みながら成形し(製品になってから調整や修正はできない割り切った設計。なので賛否両論ありますw)その割り切った思想と設計で実現した有り得ない軽さと剛性の高さを誇ります。
…ただ、「竹」で作られたスポークがやっぱりちょっと太いのと。
リムハイトは軽量ホイールの割にありますが(セミディープ)空力性能を追求したカタチというよりも、重量と剛性を重視した形状・設計になっている為に、トータルバランスとして「見た目の空力性能は有りそうに見える(特にWeb上での紹介記事などで横から撮影などすると)が、実際の空力性能ってどうなんだろう…」と疑問を持ってしまう形状をしています。
私の意見はともかくw
この希代の名作ホイールとSWISS SIDE製のHADRON Ultimate 625を比較しようという企画です。
空力性能だけでなく、重量がもたらす実走性能やヒルクライム性能なども同時に各項目ごとに比較していき、最後にはトータル性能で比較するという企画です。
各ホイールの詳細はこちら
SWISS SIDE Hadron Ultimate 625
Lightweight Meilenstein
詳細な内容はIT技術者さんの記事を読まれた方が間違いがないと思います。
結論から書くと、意外な事にヒルクライムにおいても今までの一般常識で語られてきた内容と真逆の結果になりました。
要するに「ヒルクライム用ホイールの方が登りは速い」と言われていたのですけれど、検証結果により「エアロホイール(ディープリム)の方が速い」という結果に。
平坦路はもちろん、どのステージでもエアロホイールの方が速いというシミュレーション結果に!
これは、20年前や10年前じゃ有り得ない結果だと思います。
弛まない進化を遂げて、それを製品に昇華させた事で過去では不可能だった空力性能を発揮させた上で、過去のエアロホイールでは実現不可能だった「リムハイトがある割に軽い(ハイト/重量比)」を実現しているからこその結果だと思います。
昔より軽くなったとは言え、それでも絶対的にはヒルクライム決戦用と言われているホイールと比較すると、まだまだディープリムは重いのが現実ですがそれでもリムハイト60㎜前後のモデルでホイール重量が1600gとかってのは、十分に軽い部類と言えると思います。
それと私自身でもこの記事を読んで納得できる体験というか経験があります。
まだ今よりもロードに乗る事自体に不慣れな時。
身体も今よりもまだ弱い時と言った方がわかりやすいかも知れません。
その時に、所有しているバイクの中では当時最も軽かったエモンダSL5(2018)
これにFulcrum Racing ZEROを装着していました。
その時にマークしていた清滝峠の記録を、エモンダSL5よりヒルクライムにおいては不利とも言えるセミコンパクトチェーンリングを装着した(52-36T)スペシャのアレスプディスク(重量もこちらの方が重い)に、ROVAL Rapide CL50 discを装着して清滝峠を走ったところ…
なんと3分も清滝峠のセグメントタイムを更新したのです!
普通なら…定評もあるし実際に優れた性能を誇るRacing ZEROの方がヒルクライムは速いはずです。
ですが、現実は違った。
リムハイト50㎜あるセミディープホイールであるROVALの方が速かった。
しかも、ギア比がエモンダよりハイギアードな個体で。
でも、もうひとつ経験があります。
それはMadone SLRで体験したBONTRAGER Aeolus RSL37とAeolus RSL62です。
ぶっちゃけ、RSL62でも登りはそんなに遅くないです。
むしろリムハイトある割に速いなぁ!
と感心するくらいですが、Madone SLRに両方装着して走りましたが、明らかに登りが楽で速いのはRSL37の方でした。
…これは一体何がおこっているのか。
検証記事は非常に興味深く面白かったですが、まだ何か秘密が隠れているような気もするのが正直なところです。
ちなみに、Racing ZEROとROVALでおきた不思議ですが私はなんとなく想像している事があります。
Racing ZEROはリムハイトが前後で違いますが、それでも24㎜と26㎜だったかな。
ローハイトリムです。
リム重量は実測値がいろいろありますが、17cのリムで440g前後です。
ROVAL CL50は、リムハイト50㎜あるんですが…さすがカーボン製リム。
リム重量は実測値でだいたい445g前後です。
リム重量「だけ」を見るとイーブンですが、ホイールは回転体。
Racing ZEROは回転する外周に近いところにリム重量が集中しています。
ROVAL CL50は、リムハイト50㎜あるのでリム単体で計測すると、Racing ZEROとリム重量自体は「大差ない」重量差ですが、重量分布で考えるとどうでしょう。
リム外周ばかり重量が集まっているのではなく、リムハイトが高い分だけ中心に向かっても重量が分布しています。
なので相対的にリム重量が同じならば、リムハイトが高いホイールほど現実にはホイール単体で評価する場合のリム外周部が軽いと言えるのです。
なので空力でも有利。
重量面でも実は有利だった。
という事実から、清滝峠でのprivate Record更新に繋がったんだと思います。
そしてRSL37とRSL62で体験した真逆の体験は…
まず、RSL37が非常に軽い。
リム重量で360g?とかです。むっちゃ軽い。
リムハイトも文字通り37㎜あります。
RSL62はリムハイトが高い割に軽い製品ですが、それでもリム重量は480gあります。
リムハイト62㎜あるので重量分布の面でもRSL37より有利ですが、それでも覆せない重量差が現実にあります。
それと、もうひとつ大事な要因が。
それはスポーク長さです。
RSL37はリムハイト小さい分だけスポーク一本あたりの長さが長い。
RSL62は37比でスポーク一本当たりの長さが短い。
ホイール全体の剛性は明らかに体感でもわかるくらいにRSL62の方が高いです。
(かと言ってRSL37が緩いというワケではないですよ!文字での表現難しい)
RSL37の方がRSL62よりはスポークがわずかに撓む量が大きい。
これがヒルクライムにおいて「良いバネ感」に繋がっているんですね。
そして脚への攻撃性が低い。
なので、RSL62もリムハイト高い割にヒルクライムが速いとは言え「どちらが登っていて楽か」となるとRSL37に軍配があがる(私の中での評価)理由はソレだと思います。
なかなか興味深い記事でした。
今後もいろいろ自分でもできる範囲で試しながら、楽しんでいこうと思います。