ロードバイクのホイールについて…
と言ってもいろいろ情報がありすぎて難しいですよね。
素人ながらに、貧脚だからこそ感じ取れるモノもあるかな!w
なんて思いまして、本当に参考程度になれば良いかなと思いまして簡単にまとめます。
※左右差について考える
昨今のロードバイクはギアの多段化著しく、無視できない要素としてホイールの左右でバランスが危ういという物理的な問題があります。
リムブレーキタイプにしろ、ディスクブレーキタイプにしろ
後輪は多段化されたスプロケットに押し込まれる形で、進行方向右側のスポークがホイールの中心に近づいてしまっています。
電車の中で立つ時に電車の揺れによって体勢を崩さないように踏ん張りますよね。
その踏ん張る時の脚の間隔って、肩幅くらい拡げられたら随分と楽に姿勢を維持できるじゃないですか。
ホイールのスポークも似たようなもので、ホイール中心側(ハブフランジ側)ができるだけ外側に張っている方が物理的に有利なのです。
アンバランスに外側に張り過ぎてもスポークの機械的特性なども絡んで不利になる寸法もあるでしょうけれど現在の規格で設計されているスポークならできるだけ外側に張ってやる方が有利なんです。
前輪も同じで、リムブレーキタイプは左右同じ寸法で張れます。
ディスクブレーキタイプはディスクブレーキのローターを固定する側がディスクローターに押し込まれる形で(進行方向左側)スポーク角度が右側より不利になっています。
※リムブレーキタイプが素直な動きで好感をもちやすい!
という話題はココからきています。
ディスクブレーキ出だしの頃は、この左右差をうまく埋めれなくて確かに乗っていて「おや?」と疑問を持つ程度には左右差がある製品も存在しました。
今はかなり良くなっていますが、中には「えっ!この価格なのに!?」という製品も存在するそうです。
◎左右差をなくすように各メーカーは開発している
これが非常にわかりやすく見分ける方法がありますが、一般論なので実際には乗ってみないとわからない側面があるのはご理解ください。
①ラージフランジという手法
スポーク角度が現在の規格上、どうしようもないのは各種寸法を守らないと売りたくても売れない。そう、理想的なホイールを純粋に追求したとしても、現在入手できるフレームにセットできないと誰も買わない(当然ですけどw)
そこで、メーカーは考えた。
スポークを固定するハブ側のフランジ径を拡大すれば、スポークの始点位置が変わって有利な角度に近づける事ができるじゃないか!!
ノンドライブ側のフランジを通常サイズか少し大きくする程度に留め、ドライブ側のフランジを拡大する。(それは先に挙げたノンドライブ側のフランジ径とのバランスでどこまで大きくするかはメーカーのさじ加減。あまりにいたずらに大きくしたとて、今度はフランジに求められる強度と剛性から重くなってしまうので…難しいところです)
→左右でフランジ径の違いを持つホイールは、そのあたり留意して設計されている
②スポーク本数を左右で異数配置する
弱い方を多数配置して、強い方を減らしたら左右差とれないかい?
という発想の元、設計されたホイールがコレです。
一世風靡しまして、一時期これがとても流行りました。
今も流行っていると言っても過言ではありません。
が、これが起因する問題もないことはないのが悩ましいです。
→スポーク少ない側が問題になるケースも…あります。
③スポークを左右で径違いで配置する
異径組みという組み方です。
②と組み合わせて設計されるケースもあります。
②で少し書きましたが、本来強いはずの本数減らした側が強度・剛性的に問題になる事もあるので、本来強いはずだったノンドライブ側へワンサイズ大きな強度も剛性も高められるスポークを配置し、多数配置して補強を狙う多数配置側をワンサイズ落としてバランスを取る。
こういうやり方もあります。
本来は、左右同数配置でノンドライブ側をワンサイズ落とし、ドライブ側をワンサイズアップするのが異径組みの多い事例です。
ディスクブレーキ用前輪だと、ローターを設置する左側をワンサイズ上げる事もあります。
②のケースだと、ディスクブレーキ側が多数配置…というワケですね。
④オフセットリムを採用し、スポークの終着点であるリムの固定点を左右に振ってスポークの左右差をなくす(か、随分マシな方向へ是正する)
オフセットリムは物理的には有利になります。(スポーク力学的には)
しかし、リム自体が重くなる…
現在のロードバイク界隈では無視できない空力の改善に注力し、血も滲むほど(本当にそこまでしているかは謎w)努力しているのにリム形状的に制約が生まれるオフセットリムは空力上どうなんだ?
という事で採用するメーカーが減っているのは事実です。
ただし、未だにちゃんとオフセットリムは残っています。
やっぱり乗るとすっきりとした乗り味だから、愛好家もいらっしゃるんですね。
①~④全ての要素を取り入れたホイールも存在します。
ここで注意しないといけないのが、これら「進んだ考え方」に見える①~③の手法ですけど、どれかひとつかふたつ採用している!
だからこっちのホイールがエライ!
いや、こっちのホイールは①~③全部採用している!すげぇ!!
と、単純にそう見分けられないのが難しいところw
①~④の知識も大事なんですけど、私自身が体験してみて大事だなと思った事は…
※いたずらにスポーク本数を削ってないホイールは貴重
様々な路面を走るのがロードバイクです。
机上の理論通りに事は運んでくれません。
また、乗り手の体重や体型もさまざまであれば、姿勢もさまざま。
左右バランス良く乗ってくれる人ばかりとは限りません。
そこで、左右差があるのは①~④のどれかひとつでも良いから採用して、それ以外はスポーク配置本数をできるだけ残して「力(応力)の分散」をちゃんと狙って発揮させている製品が存在する事です。
私が実際に使ってソレで感心したのがBontrager RSL37やRSL62です
最新のDT SWISSのエアロホイールであるARC1100 DICUTに至っては、オフセットリム、左右異径組み、インナーニップルなど多数の「既知の技術だがそれらを丁寧に盛り込んだ」ホイールが存在します。
乗るとやはり優れたホイールのようです(私はまだ最新型は未体験)
ただ、走りだしの「ゴロン」が少し重い模様。
それが気になる程度なのか、そうでないのかは実際に乗ってみないと何も言えないのが難しいところw
ざっくりと乱暴にですが、ホイールを構成する仕組み上で「簡易に見分ける・見るべきところ」をまとめたのが今までの文章です。
これ以降は、「どういう乗り方をするか」で注目すべき点を私なりに簡単にまとめます。
※スポーク長さ
スポーク長さは重要です。
一般的に、スポークが最も空気をかき乱すのでスポーク長は短いほど空力方面では有利です。
これは間違いなく本当です。
ただし、じゃあスポークが短いほど単純に優れたホイールとなるのか!?
というとそうではないのが事実でして、そこがまた面白い点でもあります。
・スポークが長い(リムハイトが低い)メリット
スポークが長い事で、きっちりと剛性を出すようにテンション高めて本数を配置しても、スポーク自身が細いステンレス製の為、やはり「撓ります」
というか撓りを活かす走り方ができるように、こういうホイールを求めるお客さんを想定して、メーカーも設計しています。
何に対して効くかというと「ヒルクライム」と「乗り心地」です。
スポークが長くなる事で撓る量もわずかながら増える事で、乗り心地は剛性高いホイールよりは有利です。
また、それじゃあ力が逃げるからパワーある選手だったら不利だよね?
という側面も確かにあるんですけど、その「撓り」が生み出すリズム感というか、良い意味で無駄に力を伝達しすぎない(本当にわずかです!)のが功を奏して登っていると非常に楽なんです。
楽に速いというと伝わりやすいでしょうか。
また、同じくらい負荷かけて登った後で身体に残る疲労は、スポーク短くて剛性が高いホイールで登った時よりも、同じくらい剛性値は誇っていてもスポーク短くて計測器では検知しにくい程度しか差はないにしてもスポークが撓るホイールの方が明らかに楽です。
製品ごとの特性差や、乗り手の個人差なども絡んで複雑な結果になるので、あくまで広い意味での一般論としてとらえてください。
・スポークが短い(リムハイトが高い)メリット
空力性能がまず間違いなく確保されています。
高速で巡航を続けるなら随分結果は変わってきます。
また、最近の空力設計技術で開発されたホイールは見た目に横風に煽られそうな形状をしていても「むしろローハイトな空力設計もされてないホイールより横風に煽られない傾向」があります。
スゴイ製品になるとヨットの帆の原理(セーリング)で、横風ドン!の一発目はさすがに少しハンドルに手応えが来ても、それ以降横風が吹いているとスッと抵抗がなくなって、車体が少し前に出るような錯覚…いえ、これは錯覚じゃあないんです!w
実際に経験してみるまでは「うっそやん!何言ってんの!?アホちゃうかwwwww」と思われると思います。
私自身もそうでした。
これ、本当なんですよね…
リムハイトの高い低いで生まれるだいたいの特徴も簡単にまとめました。
☆自身の目指す乗り方でホイールを選ぶ
・登りを重視したい
定番ですがヒルクライム用ホイールを選ばれると良いと思います。
ヒルクライムに的を絞り過ぎたホイールを選んじゃうと、登り以外がちょっとしんどいですけど。
・100km前後の気軽に乗るライドでバランス良く乗りたい
アップダウン含む100km前後のライドで、仲間と一緒にランチなどを楽しむ方向性で楽しまれるなら基本的には何を選んでも良いですが強いていうならリムハイト45~50㎜くらいのディープリムホイールを選ばれると、100km中多くを占めるだろう平坦路や緩斜面、下りを含め快適に体力を温存しながら走れます。
・ガッツリ平坦で踏みたい、ダウンヒルを楽しみたい
公道では速度の出し過ぎは自重してくださいw
こういう方には間違いなくディープリムが良いと思います。
最近のリムハイト60~65㎜は、特に2018年以降にリリースされた製品は驚くほど軽く走れますし昔のディープリムのような癖もずいぶんなくなっていて乗りやすい上に速いです。
ただし、全般的に剛性は高い製品が多いので慣れない人がいきなりこれ履いて走ると脚にダメージ来るかもですw
・登りを重視したいけどガチじゃないんだよな…
こういう方は最近のもうひとつの流行りのセミディープを買うのをおススメします。
リムハイト32~40㎜までの製品ですね。
優れたセミディープホイールは、ちょっと前の50㎜に近いくらい(というと言い過ぎか?w)空力も良いですし、リム重量も中には360~380g!と超軽量で高級なお値段でみんなの憧れだったライトウェイト製ホイールもかくや!?という程軽い製品も含まれます。
全てを含めて全方位におススメできる・しやすいホイール
※やはりリムハイト50㎜
リムハイト50㎜のカーボンホイールは、現在のテクノロジーが生んだオールマイティなモデルです。
リム重量がひと昔前の軽量リムと同じくらいと言っても過言ではないほど軽い。
だいたいリム重量410g~460gくらいが相場ですが410gは相当軽い部類です。
しかも単純にリム重量が軽い!と言っても、リムハイトが50㎜ある関係上重量はホイールの中心に向かって分散しているので、ひと昔前のリムハイト低い軽量リムと言われていたリムと重量自体が一緒かちょっと重くても、リムハイト高い製品の方が転がり軽く感じるのは不思議な事ではありません。(程度はありますけどw)
なので、よほどの理由がない限り
買えるならリムハイト50㎜のカーボンホイールを体験してみてください。
目からウロコです。
個人的に私が最近見直しているのが画像のBontrager Aeolus comp5というホイールです。
これはカスタムホイールなので、ノーマル状態よりはさらに良く走るようには化けているんですけどそれでもこのホイールの美点というか…
基本的な構成が割と理にかなっていたんだなと最近気付きました。
基本的にアルミホイールなんです。
アルミリムにカーボンフレアを被せて50㎜ハイトに加工してあるホイールなのです。
なので、重量があるのが欠点なのですがそれを補う特性として
・実際にはカーボンフレアを貫通してアルミリムに固定されている=スポーク長さは通常のホイールのように長い
・カーボンフレアにより、最新設計のエアロホイールほど空力は望めなくても物理的にリムハイト分だけ空力的にはアドバンテージはある
→そのアドバンテージとリム重量が相まって、慣性力を活かした走り方するとお値段とスペックの割に結構な速度で巡航していても楽。
→その慣性力を活かして一定以上のケイデンスで回せるようになってくると、下手なホイールより登りやすいとさえ思っちゃうくらい割と登りもこなす。
安易な発想から(このホイール新品で買っても安い(当時10万円くらい)ので、こいつのリムを利用してスポークとハブを良い品物で組み替えたら面白いホイールになるかも?という発想で組んでもらったホイールなんですけど、元々の純正も少し回転重いくらいなのが欠点らしいと言えば欠点のホイールで、素直に走りやすいホイールなんです。
安いけど良い品物を提供しようという発想から生まれたハイブリッドなホイールだとは思うのですが、他の有名ホイールに埋もれて知られているようであまり知られていないホイールですけど、個人的にはなかなか名作ホイールじゃないかな?なんて思っています。
頑丈ですしねw