Pinarelloのフラッグシップモデル「DOGMA」
TREKのフラッグシップモデル「MADONE」
どちらもエアロ性能を掲げており、DOGMAはどちらかというと「エアロ性能も備えたオールラウンダー」というイメージ。
ヒルクライム比率が多いコースだとか、そんなの関係なしにPinarelloでレースするチームは(例えば旧イネオス)DOGMAを使う。
なので、そういうイメージが強い。
TREKは、実質MADONEがメーカーのフラッグシップモデルだが、ヒルクライム比率が多いコースになるとライダーの好みや乗り方にもよりますが、多くの選手は同メーカーの「EMONDA」を選んでレースに臨む。
実質、そういう運用をされているのを我々は番組などを通じて視ている為、MADONEはゴリゴリのエアロロード。
というイメージが強い。
イチ素人がそんな両車を乗り比べてどう感じたのかを書いてみたいと思います。

Pinarello DOGMA F12 DISK(2020)
妻がひと目惚れして買う事になったDOGMA
我が家にとって初めてのPinarelloです。
買った当初はROVAL Rapide CL50 discを装着していました。
現在は、Bonrager Aeolus RSL37を装着しています。
RSL37を履いているので、以前よりもオールラウンダー寄りな印象に変わっているだろうと思います。(元々MADONEに装着していて、RSL37を装備したMADONEのイメージと重ねています。その前提で読んでいただくと、よりリアルに両車の違いがわかりやすいと思います)
DOGMAに乗った印象
まず、DOGMA 65.1だとかF8の頃の様な「剛性エグくて乗り手を選ぶ」だとかそんな印象が業界全体に強く根付く原因にもなった当時の業界自体の「重量剛性比」を追いかけまくっていた時代の「とにかくカタいw」という印象からすれば、随分とフレンドリーになっているんだろうと思います。
実際に乗った印象もカタさが印象つくのではなくて、想像以上に乗りやすいというのが第一印象です。
・それでも「エライもんに乗ってるなw」という印象を抱く
それでも、全般的にゴツイです。
同じロードバイクなのに、そういう印象を抱くのはフレーム特性のなせる業だと思います。だって、ホイールもタイヤもチューブも先にMADONEで経験済みなんですもの。
こんな軽くて応答性の良いホイール(とタイヤ)をセットしているのに、このような印象を抱くというのはフレーム剛性がやっぱり飛び抜けているからでしょうか。
でも、嫌な堅さではないんですよ。
なので冒頭で述べた「フレンドリーになってるんだろうな」とも感じるのです。
・コーナリングは正確無比。
ガッシリ感を伴いながら、しっかりと限界高くコーナリングします。
ただ、内側に切れ込むような軽量系ロードバイクのソレを想像しますが実は結構大回りしようとします。
RSL37みたいなリムハイトが抑えられたセミディープでリム重量が380gと軽く、構成するスポーク長も長いモデルで、このような印象を抱くのは意外でした。
というかむしろ、ROVAL Rapide CL50 disc履いていた時の方がもうちょっと普通っぽい印象を持ちました。=ホイールの横剛性の差?
そういう意味ではRSL37の方が踏ん張る。という印象は間違いではなかったのかも知れませんが、思ったより大回りすると言っても「鈍重」なのとは違うので、その点は誤解なきようお願いいたします。
ようは慣れの問題だと思います。
大回りする=安定している、そんな挙動に慣れると小さく曲がるのもできます。
ただ、その点はMADONEの自由度というか軽快感と比較すると、ちょっと窮屈かも知れません。
・エライもんに乗ってるイメージそのまま
エライもんに乗ってるなぁ…w
という印象そのままに、速度があまり出てないような印象を持ちます。
特ににわかで乗った私のような人間はw
でも、サイコンに表示される速度を見て驚きます。
ちゃんと速度出てる。
それだけ、安定しているという証拠でしょうか。
そして、DOGMAで「飛ばしているぅ!」と実感を持てる速度域でサイコンの表示を見ると、そういう意味で驚きますw
・手にはそれなりにクル
カーボンハンドル(一体式のDOGMA専用ハンドルTALON ULTRA)使っているのに、思ったより路面の微少な凸凹含めて手に伝わります。
このあたり、相当ソリッド。
普通、ステムとハンドルが分かれたカーボン製品の方が一体式よりも、そういう振動を伝えてくるのですけれど、TALON ULRAは…
というか見た目にもゴツイこのフロントフォークが伝えてくるんでしょうかw
※総括
四輪の方のイタリア車のすっごいのと同様…と乱暴に言っていいのかどうかw
ですが、ワケわからんけど凄いです。
そんで乗りやすい。
乗りやすく無かったらレースで勝てませんものね、その辺はこれくらいのモデルになれば当たり前でしょうけれど、それでも乗りやすい。
そんで大回りするんですけど、コーナリングひとつとってもプレジャーがあります。
日本でPinarelloが人気あるのも頷けます。
こういうの、日本人とっても弱いですw
総じて速いです。
速くて以前までのモデルよりフレンドリーになっているだろうけれど、これでロングとか走るとエライ目に合いそう…なと想像できるくらいに剛性高いです。
やっぱ、PinarelloはPinarelloなんだろうなと、私は主に知ってるのはこのF12 DISKだけですけれど(他はチョイ乗りだけ)そう想像できてしまえるほど、DOGMAはDOGMAでした。

TREK MADONE SLR9 eTAP(2021 Gen6)
第6世代目にあたる、OCLV800へマイナーチェンジしたMadone SLRです。
私が乗るモデルです。
・エアロロードなのにオールラウンダー的な乗り味を持つ。
Project ONEで発注時、まだリリース前で選べなかったのもあって購入時のホイールはBontrager Aeolus RSL37でした。(妻が乗るDOGMAに装着しているホイールです)
その関係もあって、ゴリゴリのエアロロードなのにスパスパと加速も決まるしコーナリングも小気味よく曲がります。
え、これエモンダ要らんのとちゃうのかな?重量以外はエアロ性能含めてMadoneに軍配がある。こんなに小気味よく走れるなら、マジでエモンダの存在意義ってなんだろう?と思わず考えちゃうほど、Madoneは見た目に反して走りが軽やかでした。
・Bontrager Aeolus RSL62装着後
リムハイト62㎜のディープリムを装着(写真のホイールがソレです)
した後も、RSL37と比べるとリム重量差とホイールの剛性の差もあって、確実に軽快感ではRSL37装着時の方が上ですけれど、RSL62に履き替えても大まかな印象は変わらず。
むしろ、ジャイロ効果など含めてリムハイト高いホイールが持っているだろう癖もなく、終始素直に応答性よく走ります。
このあたりが正に意外。
所有するまでは、DOGMAになんとなくそんな印象を持っていて、DOGMAで感じた内容をゴリゴリのエアロロードであるMadoneにそんな印象を持っていました。
なので実際に乗ってみて、所有してみてその印象が真逆だった事に一番驚きました。
・剛性は高いんですけど…
100km以上走るルートで走ったあと、それなりに身体にキます。
ミドルグレードのモデルで走った後よりは、キます。
なのでフレーム剛性やホイール剛性含めて、剛性高いモデルなりの身体へクル反力はそれなりにあるんだと体感しています。
が、正に絵に描いたように「嫌な堅さを持たない」を体現した乗り味で、そういう意味ではとてもフレンドリー。
レースに重きを置いたレーシングモデルだとは思えないほど、フレンドリー。
でも、レーシングモデルらしくクランクに力を込めて踏んだ瞬間にビュウゥッ!と伸びる(効果音に伸びが単純にひと伸びでは無い雰囲気を表してみましたw)のはさすがの一言です。
ヒルクライムが得意なモデルと比べると、そこは一歩劣るんでしょうけれどMadoneは登りも遅くはないと思います。
むしろ、速いんじゃないかと思います。
登りが苦手な私が、RSL62みたいなリムハイト高いディープリム履いて、Madoneで走っているのに登り区間でのPR(Private Record)更新がいまだに続いています。
平坦や下りでのPR更新はさらに凄い勢いで続いています。
非常に乗りやすい。と端的に表現できる乗り味です。
・エアロ性能はさすがの一言
向かい風だけじゃないのが現実世界で、あらゆる方向から風を受けても苦になりません。
エアロ性能だけ評価するなら、間違いなくDOGMA F12<<Madone SLRです。
DOGMAにRSL62を履かせても、この印象は変わらないと思います。
試してみないと言い切れないですけどね。
でも乗った感じでそれは強く感じます。
※総括
Madone SLRは、やはりTREKが作るロードバイクなんです。
Madone SLRは、試乗させてもらったEmonda SLRと比べても独特の高揚感があり、そこはPinarelloとはまた少し違うんですけど、アメリカメーカーが作ったロードバイクの他車とまた違って、少しラテン系の感じも受ける(これが正に意外でしたよ、私も)のが乗っていて楽しいと感じる要因になっています。
でも、やっぱりTREKが作るロードバイクなんですよ。
絶対的には肝心なところでは、バイクは黒子に徹します。
自らを主張せずにライダーの意志を忠実に反映します。
それはライダーが加えた操作「以上も以下もない」動きに反映されます。
なので速度域が高まる長めのダウンヒルなので、集中してコーナリングする時にライダーが感じるのは「路面とわたし」とポエムを描きたくなるような世界。
とても研ぎ澄まされた世界。
そして、私みたいなビビりでヘタレでそもそも二輪に慣れてない人間でも感じる「安全だと感じる速度域」ですら、まわりのライド仲間の人が「飛ばし過ぎると危ないよ~。気を付けてね~」と思わず忠告しちゃうほど高い速度域へかなりの安全マージンを持った状態で連れて行ってくれます。
自分の脚で漕ぎ、身体を使って乗るのが自転車なので、乗ってるモデルがハイエンドでも乗り手がダサかったら結局負ける。
という事実は揺るがないですけど、そんなヘタレでも高度な速度域へ機材の性能で連れて行ってくれる世界ってのは、あるんだなぁ…
という経験をさせてくれたのがMadone SLRです。
◎どちらが好きなの?
DOGMA F12 DISKは妻の為に購入したので、かなり身長差もあるのでサイズが小さいです。
なので自分のサイズにあった個体に乗ればまた印象は変わると思うんですけど、DOGMAの凄さ、みんなが憧れる理由ってのはそんなサイズが合わない個体に乗っても十分かそれ以上に乗り味に伝わってきます。
Madone SLRは、正に私が憧れたハイエンドモデルの世界です。
というか試乗でその一端は感じていたものの、実際に所有して様々なシチュエーションで経験した事で、それが想像を超える世界だったというのが正直な印象です。
今回書いた文章だけをサラッと読むと明らかにMadone SLRに軍配があるように印象を受けると思います。
実際、今一度180万円くらい予算があって、DOGMAかMadoneか選べる状況にあった場合どちらを選ぶ?というシチュエーションがあった場合、迷わずMadone SLRを私は選びます。
ですが、「どちらが好き?」と問われると正直難しいです。
どちらも好き
という気持ちが正直なところです。
ただ、実際に乗って自分の乗り方や望むモノに合致しているのはMadone SLRの方なので「どちらか選べ」つまり、一台目のハイエンドモデルとして自分で所有するならどっち?という選択肢ならMadone SLR一択なのですけれど、Madone SLRを持っている状況でもう一台何かフラッグシップを(他メーカー含めて制限なしで)選べ!という幸運に恵まれた状況になると…
たぶん、真っ先に頭の中に浮かぶのは「DOGMAが欲しい」でしょうね。
甲乙つけがたいほどにMadone SLRとDOGMAは好きです。
それくらい、凄い乗り物です。
たぶん、CanonndaleのSuperSix EVO(例のヘッドチューブ周りの対策は必須ですけど)とか他にも魅力的なモデルはあります。
同じTREKのEMONDA SLRもそうです。
ぶっちゃけ、Checkpointも気になるところですけどw
そうやって話題を拡げると際限ない話しになるのですけれど、際限ない話しになるほど魅力的なモデルで溢れている現在において、Madone SLRとDOGMAは私にとって特別なモデルになってしまっていますね。
自転車を保管している部屋にいくと、両車を眺められる環境ってのがたまらんですw
DOGMAは好きなんですけど、興味のあるDOGMAは、先々代モデルになってしまいましたがF10のリムブレーキモデル。
それと、妻も乗るF12 DISKですね。
現行モデルのDOGMA Fは、遠くから見た時のシルエットがSpecializedのVENGEっぽくなっちゃって…近くで見るとDOGMAそのものなんですけど、シートステーの分岐する高さが低くなっちゃって他のエアロロードと被って見えるのに気付いちゃってから、ちょっと熱が冷めてしまいましたw
性能だけで比較するなら、間違いなく新型が一番速いんでしょうけれど、所有した時の満足感というかロマン含めて考えると…ってやつです。
どうやったって趣味ですからねw
好きなのに乗ったら良いと思います。
ただ、以前の記事でも書きましたけどハイエンドモデルにはハイエンドモデルにしかない魅力や乗り味があるんですが、気楽に乗れるミドルグレードもとっても捨て難い。
なんにせよ、どう言っても沼です。
ハマると沼なのは事実ですねw