ROVALから「アルミリム」のディスクロード用軽量ホイールがリリースされました
ROVAL ALPINIST SLX DISC
前後でなんと99000円!
物価あがりまくる中で、これは魅力的…
と、久しぶりにROVALのホイールに興味をそそられました。
調べてみると、前後で重量1485g
…?
アルミリムのディスクブレーキ用ホイールとして軽いんか?
お値段考えたら安い方か。
リムは、リムハイト24㎜、リム外幅23.5㎜でリム内幅20㎜
今のトレンドをしっかりと踏襲。
悪くないプロフィールだと思います。
…どっかで見たことがある数値っぽい?
DT SWISSのリムかな?
と思って調べたところ、微妙にプロフィールが違う。
どこか別のメーカーからのOEM提供品でしょうか。
ただ、上記貼ったURLのDT SWISSのリムで私が参照したのはRR411dbというディスクブレーキ用のアルミリムです。
これは左右偏心した位置にスポーク穴が開いてるモデルで、最近の左右差を生んでしまうスポーク角度をもたらす構造となってしまっているディスクロード(リムブレーキモデルも後輪は左右差を生んでしまいます→スプロケット多段化により、物理的にそうなります)の左右差を補える偏心リムとなっています。
同じ本数でスポークを構成するなら、物理的に有利な組み方ができるリムなんです。
重量は公表値で410g(実際の製品には誤差があります)
貼ったURLのページでは、コロナ禍や円安の影響を受ける前の価格なので安いんですが今は一本15000円くらいします。(そして正規代理店の在庫は売り切れ)
そもそもなぜこれを思い出したのかというと…

キングジデコ用に組んでもらった手組ホイールを思い出したんです。
これはグラベルロード用にASTM規格でいうところの「2」に該当する仕様で組んでもらってます。
多少荒れた路面を難なくこなす耐久性と強度を持っています。
使っているリムはロード用のRR411ではなく、グラベル用のRR421です。
リム重量は一本435g(公表値)
使用しているスポークはSAPIMのCX-RAYです(最高峰の性能を持つ品物)
一本550円もしますw
ハブは耐久性重視でMTBにも使われることのあるハブを使用しています。
(Boost規格前の142㎜リアエンド用ハブです)
前後24本で構成してもらい、ざっくり重量を公表値で計算すると前後合わせて1531gくらいでした。キリ悪いんで1535gとします。
チューブレスタイヤ(Pirelli cinturato Velo 24c)のお値段込みで102000円でした。
値上がり前のお値段でタイヤ売ってもらったんで、非常に幸運な事にタイヤは一本7800円です。
タイヤ代引くと、86400円です。
安くないですか!?
グラベル用に組んでもらって、重量もAlpinist SLXと50gしか変わってないんですよ。
Alpinist SLXの重量配分を読み解きます。
まず、使用しているハブはDT SWISSのDT350S(Sはストレートスポーク用を指します)
公表値で、フロントハブが106g
リアハブが267gです。
使用しているスポークは、SAPIM D-Lineと言われる丸スポーク。
ただし、これは割と軽量なスポークです。
2㎜-1.65㎜-2㎜のバデッドスポークで、重量は260㎜の製品で公表値4.75g
これより太いスポークで組まれるのが常です。
(締めこんで張る時に捻じれにくい)
D-Lineより軽量なバデッドスポークもありますが、ニップル締めこむ時に捻じれやすくかなり難易度が高くなるらしいです。
D-Lineはそれらの良いとこ取りみたいなスポークで、なかなか良い性能を発揮しそうです。
CX-RAYはD-Lineを加工(加圧)して成形するらしく、D-Lineからエリプティックエアロ形状なスポークとなります。
加圧して加工する事で金属の機械的性質がよりスポーク向きな性質に変わるらしく、優れた引っ張り強度を発揮すると同時に通常あり得ないくらい優れた靭性を発揮するようになりまして、実際に組んでもらったホイールを使っています。
剛性があるのに、不思議なバネ感と堅い(駆動ロスが少ない)ホイールになっているのにちょっとマイルドな乗り心地になるという不思議体験。
高速なダウンヒルのコーナリングでの接地感の高さも良い感じです。
D-Lineは一本120円前後。
CX-RAYは一本550円前後。
D-Lineと同じく260㎜の長さだと、CX-RAYは一本4.12gくらいになります。
さて、重量計算してみましょう!
Alpinist SLXは前輪が21本スポークで、後輪が24本スポーク。
ざっくり計算としますんで、スポーク長さも260㎜として計算します。
D-Line:4.75gとして、(21+24)×4.75=213.75g
DT350S(ハブ):前106g+後ろ267g=373g
アルミニップルは24本構成の時、ざっくりとニップル24個の重量が24gとなるらしいです。誤差込みで前後輪合わせて48gと仮定します。
全体重量公表値:1485gから引き算します。
1485-213.75-373-48=898.25÷2=443.125g
リムてーむ重量とかを引くともう少し軽くなるかも…ですけれど、私以前にROVALを所有していたので知っているんですけど、ROVALのリムテープは非常に優れてまして下手な社外品に張り替えない方が良いくらい軽いんですよ。
なので、製造誤差はプラス側に行く事が多いんでその分は引かずに計算しました。
リム重量、軽そうに見えてまぁまぁありましたねー。
ここ最近の優れた設計のカーボンリムだと、リムハイト52㎜でリム重量が410gだったりするんで、ここは素直に使っている素材と生産方法の違いと、お値段の差としてはっきりとあらわれていますねw
そして価格は99000円。
メーカーとして生涯保証も付けないといけないので、その分の保険代として価格に反映されているんだろうと思います。
あと、流通コストですね。
乗る人を選ばずに使えるという点では(耐荷重125kgありますし)なかなか魅力的ではないでしょうか。
ゴリゴリ使えるっていう点で、遠慮なく使えてそこそこの性能でそつがない設定だと思います。
ただ、私のように幸運な出会いがあって優れたホイールを組んでくださる人に手組で組んでもらえる機会があるならば、手組ホイールの方が結果的にイイなあって思いました。
グラベルも走れて、体重のある私に合わせて強度も剛性も高めた状態で組んでいただいたホイールがAlpinist SLXより若干重いと言っても86400円ですよ!
少し得した気分になりました。
そしてリム重量は、私が想定している計算通りだったらグラベル走れる強度と剛性を持つのに一本435g(公表値)なので誤差が不利なほうに随分と出てしまって重い個体に当たったとしても、同等な重量で済んでるか公表値通りに近い個体に当たっていたら…外周部の重量でちょっと得してるっていう驚きの予測が成立。
しかも、RR421もRR411もチューブレス運用ができるので、Alpinist SLXと同じくチューブドでも、チューブレスレディでも使えます。
そして、興味がさらにわいたのでロード用で組んだ場合の手組ホイール重量を計算します。
DT SWISS RR411db:410g(公表値)×2=820g
SAPIM CX-RAY:(24+24)×4.15g=199.2g
TNi エボライトディスクハブ:前60g+後222g=282g
偏心リム用DTスクオルクスプロヘッドニップルも、通常のアルミニップルと非常に近しい重量らしいですが、ちょいと不利目に一輪あたり24個使用で、28gと仮定します。28×2=56g
全て合計すると…820+199.2+282+56=1357.2g!!!!
Alpinist SLXより127.8gも軽いッスよ!?
んで、気になる金額ですけれど…
注文する時期や注文する店舗ごとに多少の値段の上下はあると思うので、参考値としてみてください。
DT SWISS RR411dbのリム=15000円×2=30000円
(スクオルクスプロヘッドニップルはリム買うと付いてくるそうです)
CX-RAY:550円×48=26400円
エボライトディスクハブ:前7700円、後14300円
30000+26400+7700+14300=78400円
これにプラス工賃ですね。
お店ごとにホイール組む工賃が違うんで、後はお店次第ですね。
私がお世話になっているお店だと、そのお店でロードバイクを購入しているので購入特典を受けられて通常の半額=前後合わせて工賃12000円
…なんと!
90400円でAlpinist SLXよりも優れたスポークで構成した上で、左右差も減らしてさらに軽いホイールが組めちゃいます!
ロードバイク購入特典を受けられなくても、102400円
Alpinist SLXより少し高くなりましたが、Alpinist SLXより軽くて強い可能性のあるホイールが差額3400円で手に入るっていう…
私は優れた手組ホイールを組める店長と出会えてよかった…
って思いました。
そして、手組ホイールのコスパ良いなぁって再認識しました。
Alpinist SLXのリムハイト24㎜よりも、RR411はリムハイトが3㎜低いですけど実際に走る場合の空力性能差はほぼほぼ無いか、CX-RAYを選んだ場合はRR411で組んだホイールの方が空力特性優れている可能性まであります。
あと、実際にキングジデコ用に組んでもらった手組ホイールで走った事がもちろんありますが、非常に楽しいフィーリングで加速の良さとかコーナリングの良さは想像よりもなかなか優れてましたねー。
今回の記事は、完組ホイールで非常に魅力的なプライスで新製品が登場しました。
手組ホイールはホイールビルダー次第なところが多々あるので、普通にホイールビルダーの方との出会いがない場合はAlpinist SLXを買うのをお勧め。
なかなか長く使えるホイールじゃないでしょうか。
優れたホイールビルダーを知っておられる方は、既に手組ホイールの素晴らしさを体験されていると思うので、手組ホイールを頼まれた方が良いだろうという記事です。
偏心リムの効果って、割と馬鹿にできないフィーリングでしたよ!