2016年12月12日
991の謎…
という程でもないんですけど、私個人的に「なぜホイールベースが100㎜伸びて運動性能が飛躍的(という程でもないかもですけど。997も素晴らしいので)に伸びたのか」という事に疑問を持ってました。
疑問を持ってましたが、具体的に調べたりする暇が取れなくて、疑問を持ちつつもボクスターやケイマンを買い繋いで(以前の記事にも書きましたが、とりあえずはMRポルシェを思い切り堪能して納得いくまで走りたいのです。近々の夢はGT4買い足しです。無謀な夢かもですがw)走り込めば、いつかは911…となるのかなぁ?なんて自分の事ながらおぼろげにですがそう考えております。
997のGT3RS4.0という素晴らしい限定車があります。
991のGT3は、GT3というだけで役物モデルですが「GT3」というだけで、その後ろに「RS」だの「4.0」だのといった飛び道具は付いてません。
その「素」の…という表現が適切かどうかはとりあえずさておき、「素のGT3」の時点で先代997の「GT3RS4.0」のニュルブルクリンクでのラップタイムを2秒も縮めてます。
タイム至上主義になっちゃうと、車そのもののアジだとか大事な要素を見失ってしまってイカン方向に行くのは重々承知の上で、しかしポルシェなのでまだ乗った事も無いモデルですけど、997GT3RS4.0にしかない世界はあるにせよ、991のGT3もまた素晴らしいモデルであろうと予想しつつ、GT3RS4.0よりもまだ991としてはナローに近いトレッド幅の車両にて、先代を超える。
素晴らしい運動性能の向上っぷりだなぁと感心していたのですが、RRにおいてホイールベースを単純に伸ばしてそんなに優れた結果に繋がるんだろうか?
FRじゃあるまいし…なんて素朴な疑問を持っていたワケです。
ホイールベースが伸びると曲がりにくくなる。
トレッド幅をいたずらに拡げても、これも同様に曲がりにくくなります。
ただ、じゃあなんで最近のモデルは両方共大きくなってるのにより高Gで曲がれるようになったのか。
これにはタイヤと密接な関係があります。
タイヤグリップが今から20年前だとか10年前と比較しても飛躍的に性能が上がってます。
絶対的なグリップのみならず、特性的にも優れた性能を備えるように変わってきてます。
タイヤグリップが上がった事により、以前と同じアクションをおこした際に発生する「Gの移動」の絶対的な量のみならず、それらにかかる「時間」も短縮されてるが故に、コーリンチャプマンさんが一生懸命に車のディメンジョンと軽さに拘ってコンパクトなのに速いモデルを物理的に詰めて作ってた時代と少し事情が変わってきて、より大きなホイールベースとトレッド幅をタイヤ側が求めるようになってきたのです。
ホイールベースとトレッド幅が拡がれば、車側にはさらに難しい「剛性」の問題が発生します。
同じチカラを受ける際、その力の発生点から受け止める支点まで距離が短い方が強度的にも剛性的にも有利なのは間違いありません。
しかし、タイヤ性能の発達により短いホイールベース、狭いトレッド幅のままでこれらを受け止める「器」として、成立しがたい事情が発生しているのです。
なので991のホイールベース100㎜延長というは、頭で「正解」とはわかってもRRという構成上、なんでエンジン搭載位置が中心より離れていくのにそんなに単純に有利になるのか?
ひょっとしてホイールベースは伸びているが、エンジン搭載位置はそれほど変わってないんだろうか?
なんて疑問を持っていたんです。
長くなりましたが、そうやって疑問持ちつつ調べていると…(仕事しろよw
991は981と違ってPDKもMTも同じPDKベースの7速でした。
981は軽さが優先されるから…という理由でMTは6速のままでした。
これもなんでだろう?と思ってたんですが、理由がわかりました。
991から採用された7速PDKは重量が少し増えてはいるものの、エンジンがデフ側に非常に近く設置できる新たなミッションだったのです。
実に搭載位置を70㎜も!車輪側へ近づける事ができるPDKだったのです。
前輪側で30㎜ホイールベースを伸ばした他は、全てエンジン搭載位置を997モデルよりもより有利な車体中心側へ70㎜も近づける事ができる新型ミッションだったんです。
ミッドシップのボクスター・ケイマンにおいて、これを採用するとリアマウントに近づいてせっかくの有利な重量配分が911に近づいちゃいます。
なので、981では以前と同じ搭載位置になるようにミッションを変更しなかったのではないか。
そう思いました。(今後、裏を取っていく必要はあります)
なるほど、それでかぁ!と納得しました。
991は997以前の911と違って、プリミティブなRRらしいハンドリングやブレーキング姿勢から、ちょっとFRに近い?前輪寄りの動きや姿勢を取るようになり、古くからの911ファンからすると前輪負担の増えた、トラクションもちょっと911としては少し物足りないハンドリングに懐疑的になった。
なんて記事を読んだり見たりした機会があったんですが、この感想も今となっては納得です。
911RSRですっぱりとRRを切ったポルシェ開発陣。
今後、911がどういう方向に向いて開発が進むのかはまだわかりませんけど997→991で施された大いなるモディファイの流れが、今後の911を示しているかのようですね。
そして、RRならではの挙動と乗り味に大いに魅せられたファンの方は…
今お乗りの911を大事になさってください。
今後は911「らしさ」を残しつつも、物理的には運動特性に有利な状態へと改良されていくのが明白になりつつあるので、997までの911はまた市場で見直される時期が訪れるでしょう。
そして、ライバルたる他のハイパフォーマンスなモデルたちが、911をここまで追い込むほどどのモデルも少しずつですけど素晴らしくなりつつある…という事実に気づいた時、イマドキのクルマは面白くないという「乗り味方面」の事実があるにせよ、それは過渡的な事であって近いウチにまた「あの頃のクルマは良かったよなぁ、アツい進化を遂げた車が多くあって…」なんて語られる2016~2020年代前半時代のクルマが多数生まれるかも…知れませんね。
997と991、両方手に入れて乗り比べたくなってきました。
Posted at 2016/12/12 08:23:29 | |
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