2020年の大きな動きとして、軽量系エアロロードが誕生しました。
従来だとヒルクライムで確実に分がある=軽量系オールラウンドモデル
平坦や下りと緩斜面では確実に速い=エアロロード
という力関係でした。
UCI規定で競技に出れる機材は6.8kgより下回ってはならない。
というルールがある以上は、今のテクノロジーで軽くできても軽くする意味が無い。
(こういう例外はあります
S-Works AETHOS
TREK emonda SLR10(現在は販売終了してます))
じゃあ、次はどこへ向かうのか。
さらなるエアロ化なのか。
これもUCIの規定で決められているフレーム断面形状の比率が大幅な空力性能向上を足踏みさせる。
新しいエアロロードを現行の最強エアロロードよりも進化させてリリースする事は可能だが「性能の上げ幅が限りなく小さい」新型しか出せないので、新型を華々しくデビューさせても販売面で実際に売れるかどうか微妙。
という大人の事情もあったんでしょう。
そこで次に目が付けられたのがUCI規定を守るとこれ以上軽いモデルを作る意義が小さいので、重量増を極力抑えたまま空力性能の向上を目指した。
という流れです。
購入を前提にTREK madone SLRとemonda SLRに試乗させてもらいました。
そこを通じて感じた各モデルの特徴を書きます。
試乗車スペック
TREK madone SLR6(2019)
構成コンポ:shimano 機械式アルテグラコンポ一式
ホイール:Bontrager Aeolus comp5 disc(10万円の汎用セミディープホイール)
タイヤ:Bontrager R3
TREK emonda SLR9
構成コンポ:SRAM RED eTAP AXS(電動無線)
ホイール:Bontrager Aeolus RSL37(ハイエンド)
タイヤ:Bontrager R4(ハイエンド)
ホイールとタイヤの性能差がありますが、そこを勘案した上でもこうかな?
という感じで評価しています。
評価はあくまで参考ですw
乗り手の好みや脚質などによって印象は変わる事があります。
※速さ
・加速性:madone <emonda
・巡航性:madone >emonda
・安定性:madone <emonda
(ここは判断難しいですが…ホイールの差でしょうか。)
・登坂性:madone <emonda
・コーナリング:madone <emonda
※高揚感を感じるのは:madone SLR
※総合力の高さを感じるのは:emonda SLR
※乗り心地の良さ:madone ≧emonda
個人的に魅力を感じるのは:madone SLR
emonda SLRの試乗車は最高スペックのSLR9だった事が大きな印象差に繋がっていると思います。
それを差し引かなくても、フレームとして魅力を感じたのはmadone SLRでした。
まったくそんなの関係なしに、速さに拘って買うならemonda SLRの方が恐らく全般的に速いんじゃないだろうか?とは思います。
素人でもはっきりと言える事は、平坦での巡航速度をあげていく時にアベレージを稼ぎながら楽できるのはmadoneの方だと思います。
横風含めて抵抗の少なさ(ステアリングモーメント)が小さいのはemondaですね。
全ての平均値で速さを引き出しやすいのはemondaです。
登りがはっきりと速いのはemondaです。
踏んだ瞬間に反応する反応性のよさだとか、なんて言ったら良いんでしょう。
踏んで気持ち良かったのはmadone SLRでした。
試乗したモデルがOCLV700時代のマイナーチェンジ前のモデルなので、この踏んで気持ち良かった感触がマイナーチェンジ後のOCLV800を採用するMadoneにも受け継がれていたら最高なんですけれどね。
その辺は総合的にマイナー後の方が性能は上でしょうけれど、乗った時の気持ち良さまで引き継がれている…だろうとは期待していますが、ちょっと不安です。
激坂(勾配20%前後から、それ以上のきつい勾配)を多分に含むライドコースを良く走られる方ならば間違いなくemonda SLRを選ばれた方が楽だし速いし、楽しいと思います。
私のように、100km走行時に獲得標高1000mUP前後の、いわゆる趣味でロードバイクに乗る多くの方が楽しまれるコースの組立て方で走るのであれば、madone SLRを買った方が100km走行中、最も多いシチュエーションとなる平坦および緩斜面(平均勾配6~8%でキツイところでも15~20%前後が含まれる程度のコース)と、下りでむっちゃくちゃ楽できるし速いと思います。
なにより不思議なのが実際に乗ってみて楽しかったのは、Madone SLRだったんです。
試乗車が履いていたホイールはAeolus comp5 discで、価格の割には良いホイールなんですけれど、価格を無視して評価するならこれよりも良いホイールはたくさんあるし、新型エモンダに装着されていたRSL37でも履いておればもっと良いフィーリングだっただろうと思います。
ホイールが本来なら足枷になるだろう試乗車スペックだったのにも関わらず、そんな重たいホイールを履いていてなお「今まで乗っていたロードは一体何だったんだろう?」と一瞬疑問を感じるほど、力が逃げずに路面に伝わって気持ち良くスルスルと加速していき、力を入れずに踏んでいても巡航30km/hを超えてました。
新型エモンダは、同じように軽く踏んで実際に出ているその速度域が40km/hでしたがw
これは正にホイールとタイヤの性能差でしょうw
なので、実際に出ている速度よりも「気持ち良さ」
気持ち良さで評価するならマドンの方が私は気持ち良かったんです。
軽くなったとは言え、まだ84kgもある体重も関係しているでしょうし私の踏み方なども関係していると思います。
それにしても、今回思ったのが。
2020年はTREKの当たり年ですね。
新型エモンダも、現行のマドンもどちらも素晴らしい。
究極はどちらを買っても後悔しないでしょう。
そして、世間ではSpecializedの新型Tarmac SL7とRoval Rapide CLXやRoval Rapide Alpinistなどの評価が非常に高いのですが、TREKのロードモデルももっと評価されても良いんじゃないだろうかw
と、個人的に思いました。
なんとなくですけれどSpecializedは宣伝が上手い。
TREKは宣伝がヘタですわw