2021年07月05日
職業柄、職人さんやその下で働く作業員さんとも会話する事が多いです。
その方たちと会話すると、ものっすごく勉強になる事が多いです。
車の話題に関してですが、とてもダイレクトに評価されます。
職人さんの弁によると。
「パジェロやデリカ(フレーム構造時代の四輪リジットアクスル時代のもの)の方がガッシリしていた。駐車場のスロープとかで乱暴にアクセルを開けたとしても、パジェロやデリカはタイヤが明後日の方向にいかんの。
でも、クラウンとか高級車になるとゾリゾリブルブル後輪が震えやがって、グリップできるところでグリップせんのよ!」
これ、非常に的を射ていると思います。
最近のクルマが失ったもの。
それはボディ剛性ではありません。
ボディ剛性は昔の車でも存外に高いモデルも存在しますが基本的には新しいモデルの方がボディ剛性を捉えて評価するならば高い・高くなっている事例が多いです。
なのに、なんでこういう事がおきるのか。
ホイール保持剛性に差が生まれてしまっているからです。
複雑なリンク類を増やして狙った通り動いたら…非常に優れたサスペンションなんでしょうけれど、狙った通りに動いていないからこの様な事がおきるのです。
その正体は…ブッシュです。
ブッシュの容量が足りてないんです。
最近のクルマに求められる性能は多岐にわたります。
・走行安定性は高くないといけない。
・静粛性も高めないといけない。
・快適性も高めないといけない。
・燃費性能も良くないといけない。
・積載性も無視できない。(トランク小さいと叩かれる)
これらの要件を満たす為に、高尚な意識の元で複雑なリンク構成のサスペンションを開発されますが、理想的なリンク配置になれば良いですけれど…
やれ積載性だの他車種への流用やボディ形状違いの展開も見据えたシャシー設計がアダとなって、マルチリンクだのWウィッシュボーンだのと字面は立派ですが、実際のリアサスとか見たら悲惨ですよね。
ショックとバネまで別マウントになっているモデルもありますよ!
ショックとバネが別マウントになる事で発生するデメリットもあります。
↑追記w
ウチのマカンもリアサスはショックとバネが別マウントになっています。
自虐的ネタでもありましたね、コレw
別マウントになっていても、そのデメリットが感じられないセッティングはさすがだと思います。
追記おわり。
話しを戻して、そんな窮屈にレイアウトされた各リンク類。
そこに理想的な容量を持つブッシュを設置したくても、接続する部位の外径を大きく取れないレイアウトになっちゃっているモデルもあります。
そこに、見ていてかわいそうになるくらいの貧弱なブッシュを配置。
グニグニ動いて各リンク類の動きを設計で狙った通りに動かすだけの体力がそのブッシュにあると思われますか?
あるワケないですよね。
それで、さきほどの職人さんみたいなお話しにも繋がるんです。
パジェロやデリカはリジットアクスル。
トー変化もしなければ、キャンバー変化もしない代わりにホイール保持剛性はクソみたいなマルチリンクだのWウィッシュボーンだのと比較して鬼のような差があります。
また、トーションビーム。
これも車軸式サスペンションなのでホイール保持剛性高いと思いますやんか?
これもボディマウント側で容量のあるブッシュでボディと繋いでやらないと変な動きは出ます。
また、最近私が気になっているのが入力分離式アッパーマウント。
これ、本来なら不要なノイズ(振動含む。ノイズは振動ですからね)を排除する為に入力一体式よりもより高級な納まりです。
ですが、この入力分離式も納め方によってはブッシュ容量が足りず、またそのブッシュが二重に存在する為にショックアブソーバーを固定する為に必要な固定力が「落ちてしまって不確実な動きを誘発してしまう」という本末転倒な事例があります。
ピロアッパーマウントに交換した方が、「あれ?なんか脚がよく動くようになって乗り心地はかえって快適になってないか?」なんて思った事、ありませんか。
ピロボールがヘタってきて(摩耗してきて)ガタガタ・ゴトゴトいうようになるとはいってもです。
ヘタクソな入力分離式アッパーマウントを採用している車種に短時間ですが乗った事がありますが、恐怖以外のナニモノでもなかったです。
フロントのグリップ状況がわからん。
ステア操作した時にタイヤがどれくらい切れているのかもわからん。
車がどっちむいて行こうとしているのか、実際に進むまでわからん。…など。
小難しい話しをわかっていなくても、こういうのを体感でズバリと言い当てる方もいらっしゃいます。
だからいろんな人と会話するのはとても楽しいです。
Posted at 2021/07/05 10:13:56 | |
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