UCIが最大ロールアウト距離の件でSRAMに対しプレスリリースを発表:海外サイクリストの反応は?
という記事を読んでもわかる通り、大抵のサイクリストは今回のUCIの決定に疑問を感じる方が多い様子です。
このまま、UCIは強硬に決定を貫き通すんでしょうか。
海外の方達のコメントも皮肉が多いですねw
個人的にも、今回の件に正当性が感じられず
不自然さしか感じません。
こんな間違った規制がまかり通ると、今でも門戸が狭くなっていってる自転車界隈に暗い影を落とすとしか思えません。
一強になると、ろくなことにならないのは様々な社会状況をみても明らかではないでしょうか。
今は良くても、将来的に良い事には絶対にならないと思います。
今でもはっきりと「値上げ」とは言ってないですが、価格改定は続いています。
SRAMやCampagnoloくらい高価になっても、絶対的に選び続けますか?
勝利を得る為に過酷な競争(開発競争を含む)が繰り広げられ、コスト的にも高騰が続き苦しい状況なのは否めませんが、製品の高騰がこのまま進むのであれば本当に業界としては尻すぼみになっていく未来しかないように思えます。
とは言っても、趣味としてこういう乗り物がとても好きないち個人が心配したとて
わずか2年…いや、もはや1年でしょうか。
そんな短期間でひと昔と言えるほど機材の進歩が止まらない現在。
勝つ為に開発コストがかかり過ぎる現状をどうにかするのが先決ではないかなと思います。
例えば、F1ではタイヤ幅がチーム資金の差によって顕著な差を生んでいたとても昔の話し。
タイヤ幅規制を設ける事で、各チームの競争力に著しい差を生まないようにした措置は良い例ではないでしょうか。
自転車競技において、そういうのを設けるのは難しいと思います。
しかし、そういう着目点はないでしょうか。
ピーター・サガンというスーパースター選手が居ました。
彼がS-Works(Specialized)に乗り、数々の華々しい結果を残していたのは記憶に新しいです。
そう、2017年とか2018年の話題ですよね。
彼がMTBで培った優れたコントロール技術により、驚異のダウンヒル映像なども話題になりました。
当時の乗り方で話題をかっさらった「スーパータックポジション」
ピーター・サガン選手の、その過激なエアロポジションを駆使しつつ華麗に、そして過激に攻めたダウンヒルが勝利を掴んだりもしたのも相まって、鮮烈な印象を抱いています。
その過激な乗車姿勢から安全性が懸念され、2021年4月にスーパータックポジションがUCIにより正式に禁止されたのは記憶に新しいです。
ピーター・サガン選手が公式ルールで規制される前にスーパータックポジションで疾走して100km/hに迫るダウンヒル!という記憶がとても強いです。
実際のアタックの様子をその過激なポジションでとてつもない速度で駆け下りていくシーンを見ました。
100km/h超えとる(X:Twitterのポストを引用)
X(Twitter)から引用するこの動画をご覧ください。
現在のエアロロードは、スーパータックポジションのような過激な乗車姿勢を用いずとも、100km/h近い速度でダウンヒルを実現しています。
そう、端からの見た目ではとてもエアロロードに見えない現行モデルであるGen8 Madone SLRは、スーパータックポジションを用いないと100km/hを実現しなかったわずか数年前のエアロエアロしたモデルを現行マドンは最新の空力設計の考え方により実現しているという事実です。
風洞実験などの結果に一喜一憂するのもどうなんだろう?
と思わず疑問を感じてしまう現実におきている事実に驚愕します。
ちなみに、この動画の時にこの選手は優勝しているようです。
2021年に現役だった当時最先端の機材が、わずか3年後の2024年6月にデビューしたモデルがスーパータックポジションは勿論の事、スーパータックポジションが禁止された直後に出回ったフレア形状が目立つハンドルを持つだけで自然とエアロポジションになる形状のハンドルも禁止され、新たな規制を満たすハンドルなどを採用しているにも関わらず(規制された派手なフレア形状を使えない状態)
スーパータックポジションまで使用して実現していた速度が、機材側の弛まぬ努力で実現している現状は凄まじいまでの執念すら感じてしまいます。
Gen8 Madoneの実物を見るとわかりますが、往年のエアロロードを知る人ほどその形状を見て驚かれますよw
これで本当にエアロロードなの!?って。
私自身もそうでした。
実際に一緒に走って40km/hから上の加速、60km/hに至っても衰える事を感じない加速の伸びを北摂の道で一緒に走って体感した時に「これはマドンそのものの加速の仕方だ!」と驚いて、購入に至っています。
安全上の問題があるから、ギア比を制限して速度を規制する。
そう、何かおかしいと言わず
不自然さしか感じませんか?
世界一を競う超一流アスリートが参加している世界で戦う選手権ですよ。
そこで、「安全性を第一に」という考え方には勿論賛同します。
ただ、レース機材の進歩は著しく。
2018年頃に乗ったロードバイクと比較しても、現在のモデルが速く走れるのはもちろんの事で、それ以上に同じ速度域で走った時のキャパシティの高さの差は我々素人でも乗ればわかるほど進化しています。
テクノロジーの進化で、タイヤが太くなってもそれがハンデとならずむしろプラスに作用するほど進化しているから、安全性向上にも貢献しているでしょう。
それは間違いなく。
20年近く駆動系の新技術や新しい考え方が誕生しなかったところに、やっと生まれた新しい考え方に対して足枷を課す。
それは賢明な判断なのでしょうか。
ギア比の規制が、速度規制に最も繋がる要因なのでしょうか?
ダウンヒル映像を見て、そう判断できるでしょうか。
かと言って、空力上の規制もあまりに過剰に設けられると。
もはやそこにはロマンも何も残らないような気がします。
我々ホビー勢を取り込んでこその、こういう世界だと思います。
どうか、UCIさんにはそのあたり
素晴らしい裁量を見せてもらいたいと切に願います。
今後も「これは凄い!乗ってみたい!」と思える魅力的な機材が生まれるように、歪な規制はなんとか避けてもらって、別の手段を考えて欲しいというのがいちファンとして切に願う。
そういう想いです。
※補足
風洞対決: スーパーバイク 11 台の直接比較 (パート 2)
ICANというメーカーが面白い記事をまとめてくださっていました。
この風洞実験で面白いのは、ライダーが居る状態とそうでない状態での差を比較しているという事です。
自転車のみの風洞実験では、Gen8 Madoneはそれほど良い数値を叩き出していません。
しかし、ライダーが乗った状態で発揮される空気抵抗低減値はトップの性能を叩きだすS-Works Tarmac SL8の次に高い数値をマークしています。
そして、その差はわずか0.16Wの差です。
これはもはや他の要素で逆転する可能性もあるのではないでしょうか。
(エアロロードはフレームサイズによっても差異があるので、メーカーが最適化したフレームサイズ同士での実験なら…などの「他の要素でも逆転する可能性」という表現です。ハンドル高さも影響すると思いますし)
そして、自転車のみの実験結果から最も落差が小さいのも両モデルの特徴です。
よく、某海外雑誌で常にトップの風洞実験結果を残す「エアロロードとして名を馳せている」某モデルは、自転車単体での実験結果はさすが!という数値を叩き出していますが…ライダーが乗った状態での実験結果は振るわないようです。
また、某インフルエンサーの方が意外と空力良いんだよね!
と絶賛されていたLAB71も、ライダーが乗った状態での風洞実験結果はMadoneよりこういう実験に向いているだろうリムハイトの高いエアロホイールを装着した個体で実験している(と見える)状態で、ライダー乗車状態での空力性能はLAB71が1.77Wも届いていない事実かも知れない実験結果に私は最も驚きました。
そう、私はそう思ったんですよね。実は。
LAB71ってマジでそんなに空力良いんかよ!?
と思って、ちょっとだけ乗せてもらった事があったんです。
その時に私の頭の中は「?????」だったんですよね。
とても良い自転車です。
空力性能に一喜一憂するのは、もはや愚かな考えだという意見に私も賛同します。
ただ、感じ方は人それぞれだとは言え。
あまりにもMadoneがそんなに空力良くないっていう意見も思い込みや決めつけ、レッテルじゃないですか?w
と苦言を呈したい。
そう、私の試乗もちょろっとだけで数か月に渡って体験とかじゃないので確かなモノではないです。
ただ、MadoneにGen6やGen8と二世代に渡って乗っているからこそ。
その違いがわかりやすいというか。
だからと言って、LAB71が空力悪ぃ!!って言ってるのではないので誤解なきようお願いします。
私が良いたいのは「そんなにMadoneの空力が悪いか!?」と言いたいだけですw
正直な感想として、全然悪くないやん。
むしろ、Madoneの方が若干スカッ!と空気抜ける感あるやん。
なんでこういう評価の差が生まれるんだ?
と疑問を感じたのですよね。
それを記事にするのは躊躇ってましたw
それにしても、こういう記事を見つけてちょっとすっきりした。
ちなみに、大事な事なのでもう一度書きますw
ここまでの空力性能を持つ自転車同士で、多少の数値の上下で選ぶ自転車を間違ってはいけません。
ICANさんの記事本文でも最後のまとめで書かれていますが、正にその通り。
ここまで空力が良くなると、有名インフルエンサーさんでさえ風洞実験と異なる感想をブログ記事で書かれるほどです(だからと言って、そのインフルエンサーさんがアカンとかダメ!と言ってるわけじゃないんですよ。マジで。逆にここまで高性能になると感じ方の差。走行時の風の向きや強さの差でも、体感が変わるので厳密な比較には到底なり得ないし、難しい仕事に挑戦されているという事実です)
そして、公平性をとても期待できる風洞実験でさえ「参考値」にしかならないと個人的に思います。
ここまで性能が拮抗した素晴らしいモデル同士の場合、実際に乗って感じるフレーム特性が乗る人の脚質や特徴に合致しているか否かの方が大事になってくると強く思います。
私は偶然、Gen8 Madone の、それもミドルグレードの「SL」がとても合ってます。
意外と速く走れます。
トッププロの人なら間違いなく「SLR」の方が速いでしょうけれども。
ちょっと話題が逸れましたが、X(Twitter)での強烈な速度なのに以前と違ってスルスルと静かに速度を稼ぐ様子も含めまして、最新の機材は。
最新の機材の進歩は。
凄まじいモノがあるよなと、実際にその一端を自分自身でも経験してそう思います。
こういう素晴らしき感動を制限するかもしれない技術規制はどうか、まだ課さないで欲しいと願います。