2022年01月26日
勇気
電車でタバコ(アイコスならいいのか?)吸ってて注意されたのに腹を立て、すごんで暴れて無抵抗に床に伏している高校生を踏んで蹴って大けがを負わせた男の何が正当防衛なのか.
乗客の誰かは車掌を呼び、別の誰かは男の暴行を隠し撮った.
でも、誰も男を止めて彼を助けられなかった.
イーストウッドの映画で長距離列車をジャックしようとした犯人を海兵隊員が取り押さえる実話映画があった.
アメリカでは現役も退役も軍人が普通にそこにいる.
腕に覚えもあるし何より「やってやろう」という気概がある.
彼らは武装した犯人を取り押さえてテロを未然に防いだ、という映画.
映画といえばユナイテッド93便の実話も映画化された.
恐ろしく痛ましく無念だが人間の誇り、アメリカとその国民性に、思い出しても胸が痛む.
朝のワイドショーで元水泳選手の方が「その高校生を抱きしめてあげたい」と言ったのは、思わず口をついた本心だろう.身体以上に癒す事ができぬ心の傷を想って、本心から抱きしめてあげたいと感じたのだと思う.
優しい人なのだ.
人とは、やさしいのだ.
ホームから転落したバカな酔っ払いを助けようと線路に飛び込んで、無くなってしまった韓国人留学生を思い出した.
彼の事は知らないが、思わず身体が反応したのではないか?
健康でたくましく無限の可能性を信じて輝かしい人生を歩むはずだったろう.
助けられるかわからないが、助けようと.
以前、地元で韓国人留学生の若者と世間話をする事があった.
仕事で知りあったのだが、私が少し興味があって世間話の巾を広げてみた.
たぶん、彼は同級の日本の大学生を、ばかにしていたと思う.
軽蔑とかではなく、見下している、上手な日本語からはそんな雰囲気を感じた.
ごもっともだ、と思った.
「徴兵には行ったの?」
「はい、行きました」
彼の世界観の基準では、平和な日本の、危機感のないのどかな若者はどれほど子供じみて見えた事だろう.
彼は何を聞いても自分の考え方に基づく意見をハッキリ返してきた.
日本で暮らし、日本語を話し、やがて韓国に帰って働くのか.
きっとはっきりした目的があるのだろう.
韓国のアイドルグループが徴兵を猶予してもらっていて、その期限がきれるのだそうだ.
だからどうだというのだ.
行かずに済むなら行きたくないのが本心だろうが、できるならそうすればいい.
私がその電車に乗っていたら、暴れる男を止める事ができただろうか?
自分にそれができると信じて行動しただろうか?
あるいは反射的に高校生を守ろうとしただろうか?
本来であれば子供のような若い男を頭ごなしに叱責すべきだろうが、
それを実際にできるだろうか?
とても、できそうにない.
恥ずかしい事だが、できない.
他の乗客のように見て見ぬふりをし、距離をとって離れ、誰かがこの騒ぎを制止するのをみて安心し、駅についたらひとまず電車を降りて自分を納得させてその場を去るのだろう.
私に男と闘う勇気はない.
ならば高校生をかばって、蹴られる位の事はできないか.
見て見ぬふりをしたことは忘れる事がないが、
蹴られる痛みはやがて消えるのではないか.
いつまでも後味の悪い事件だ.
高校生が早く回復されますように.
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Posted at
2022/01/26 23:07:54
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