
「夢のロードバイクが欲しい」には自転車が今の形になってゆく歴史が紹介されていてとても面白いのです。それはもうイノベーションの歴史。
1817年、馬の代わりに車輪を2つ前後に並べて乗り物の形としたドライジーネがドイツで誕生。日本ではこの4年後に伊能忠敬が日本地図を完成させた頃。前輪にステアリングをつけることでバランスをとって前に進もうとする力学が働くことは偶然の産物だったようです。当時の俗名はダンディホース。
1868年、前輪ペダルとクランクが備わったヴェロシペードがフランスで誕生。人類が手ではなく脚の力を動力に使うことを初めて思いつきます。クランク一回転360度のうち60度だけ使うのが筋肉の構造上最も効率的であることも偶然の一致だそうです。ただ、その乗り心地の悪さからボーンシェイカーと呼ばれたそうな。
この後、スピード競争のために、駆動輪である前輪径を大きくしてゆき、オーディナリーと呼ばれる形がスタンダードになります。と同時に、乗り心地を良くするためにもスポークを使ったテンションホイールが1869年に誕生。タンジェント組は1874年にはもう生まれているんですね。すごい。
更にスピードを上げるために、1879年、金属チェーンによる後輪駆動、スプロケ、フリーが誕生。金属チェーンによる駆動というアイデアはあらゆる機械に応用されてゆきますが最初が自転車だったとは!さらに初期の頃から自転車の各所に使われていたベアリングの精度を上げるボール研磨機が生まれ、その集大成として1885年、現在の自転車の元型となったセーフティがイギリスで誕生しています。
更に決定的だったのが、1888年の空気タイヤがダンロップから誕生。これにより、今も続く自転車レースのうちで最古のパリ~ブレスト~パリ(71時間で1200キロ)が1891年に開催されています。
この後はレースの中であらゆる技術が磨かれたり、庶民の足として利便性を高めたりしていますが、イノベーションの歴史は最初の80年で、以降はカイゼンの歴史に移行しているとも言えます。
さて、写真はバイクフライデーの最新モデルSilkですが、得意のフォールディングフレームにカーボンベルトドライブ、無段内装変速、ディスクブレーキを組み合わせたもの。速さを競うのではなく、電動に頼るのでもなく、人の手足が関わる駆動・変速・制動の“滑らかなタッチ”だけを追求しているように見えます。だからSilk?年明けからの製造だそうですが、面白いチャレンジですね。早く乗ってみたいものです。
Posted at 2012/11/12 00:52:08 | |
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自転車 | 日記