
TOYOTA FT-1の原稿finishに手間取り、プレスデイ2日目トップのLEXUSのプレカンに間に合わず。歯車がひとつ狂うとまあこんなもんです。RC Fのワールドプレミアは事前に告知されていたので逃したくはなかったが、矢口CEとのインタビューのアポは編集部経由で取れている。

先のTMSでワールドプレミアなったレクサスRCの市販はこの秋、RC Fについてはその後で年内発売の予定であるとか。このレクサスの新機軸ともいえるクーペの前進FT-CCの登場は2年前のパリサロン。あれはたしかISに先駆けて、次期コンパクトFRデザインの方向性を打ち出す役割と聞き、今回のRCとRC Fはその市販モデルだとばかり思っていた。

実際にはFT-CCはデザインコンセプトでRCとは別物。たとえばRC/RC Fは、ホイールベースはISよりも短く、プラットフォームでいえばGSに近い。デザイン的にも独自のクーペルックを採用し、ISの共通項はほとんどないという。

RCもそのFモデルたるRC Fも、ISのクーペ版であり、すっかりローンチのタイミングだとばかり思っていたので、改めてCEから直接話が聞けて良かった。RCはBMWの3に対する4のような位置づけで、RC Fは今回のNAIASでワールドプレミアとなったM4に対応するような存在。ただし、RC Fの開発陣はいわゆるベンチマークの設定はしておらず、自らの理想を素直にモデル化した結果としてこの姿があるという。

遅れて駆けつけたいつものプレカンスペース旧リバーサイドボールルームのステージ上に♯ASPHALTUP のキャッチコピーを見つけた。意味をCEに尋ねると「さあ? 現地が考えたものだと思います」現地スタッフに確認したところ"アスファルトを剥がすほどの加速力"といった意味であるとか。
仕事を請け負う誌面の関係で取材ではどうしても日本車が中心となるが、今回のNAIASで印象的だったのはGM、FORDのアメリカ勢の自信回復ぶり。北米カー&トラックオブザイヤーに端的にその兆候が表れていた。カーオブザイヤーは19年ぶりというシボレー・コルベット。日本ではスズキが商標を押さえる関係で使えないスティングレー(アカエイ)の姿をデザインモチーフとする往年のスタイルに回帰したアメリカンアイドルカーを堂々と選んだ。

スポーツカーを躊躇いなく選べる精神風土に、やはり世界でもっとも早くからモータリゼーションを築き上げた国ならではの余裕と豊かさをみる。そして、トラックオブザイヤーもまたシボレーのシルバーラードに与えられている。米国においてトラックはけっしてネガティブな存在ではない。toughという言葉に象徴される開拓史以来の伝統的な価値観に基づく生活感に根ざした。なかなか実感できない感覚だが、人々(とくに男共)のライトトラックに寄せる思いは深い。
今回(ということは昨年)はシボレーの年となったが、次回(今年)はフォードの年となることが濃厚だ。プレスデイの皮切りはメインフロアから少し離れたジョールイスアリーナを根城に代えたフォードが行い、そこで虎の子の
F-150のワールドプレミアを行なった。その内容が際立っている。超高強度スチール製フレームの上に載るキャビンとベッド(荷台)をオールアルミ化し、2.7ℓV6エコブースト(ガソリンターボ)をラインアップに加えたエンジンバリエーションに10速ATを組み合わせる。
F-150は昨年74万台を売り上げ、全米自動車販売ランキングで37年連続で№1の座を守り抜くベストセラー。リーマンショックの際、デトロイト勢の中で唯一フォードだけが破綻を免れたが、その背景にF-150を始めとするピックアップトラックとSUVの存在があったといわれている。ちなみに全米自動車販売のベスト10には、トラックオブザイヤーのシボレー・シルバーラードとダッジ(クライスラー)・ラムが名を連ねている。
40万台規模でパッセンジャーカートップのトヨタ・カムリも歯が立たないF-150の画期的なモデルチェンジが市場にどう受け入れられるか。米国人が日本の軽自動車が理解不能なのと同じようなところにアメリカのピックアップトラックとSUVがいる。
おそらく来年の北米カー&トラックオブザイヤーはフォードが独占するのではないか。パッセンジャーカーはNAIASの直前の12月5日に本拠地のディアボーン、ニューヨーク、ロサンゼルスに、欧州バルセロナ、オセアニア・シドニー、アジア・上海と世界4大陸6都市でワールドプレミアを行なった
マスタングが有力。そしてトラックはF-150ということになるのだろう。
NAIASの明るさの背景には、一昨年以来話題となっているシェールガス/オイル革命があるようだ。現地の日系メーカーの広報マンに調査部門経由でこの何とも言えないデトロイトショーの活気と明るい雰囲気の理由を尋ねたら、直接のガソリン価格への影響があるとは思えないが、向こう10年はエネルギー供給に不安はないという余裕が社会の空気として定着しつつある。デトロイト周辺のガソリン価格はレギュラーで1ガロン(約3.8ℓ)/3.1~3.3ドルまで下がっている。
一時1000万台近くまで落ちた全米自動車販売も1600万台近くまで回復している。先行きは不透明とも言われているが、NAIASの雰囲気から判断するかぎり順調に伸びて行く感じがする。端的に言って、僕がNAIASに通い始めて2~3年の最盛期に戻ったようて充実ぶり。相対的に沈んできた欧州がどうなるか? そしてここ数年世界を引っ張ってきた中国は? 今年も世界のモーターショー巡りを続ける意味は大いにありそうだ。
Posted at 2014/02/08 14:39:52 | |
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