
長旅ではあるけれど、時間が行きつ戻りつなので生身の身体とそれを取り巻く世界が微妙にずれている。生きているのは間違いないけれど、フワフワ浮いている感じもある。僕が赤字になってもあちこちのモーターショーに通いつめるのは、この特別な時空を経験したいからなのかもしれない。
シアトルからのオーバーナイトフライト(俗称レッドアイ)は、現地時刻9日の23時20分発。4時間10分の飛行で時差+3時間だから10日の6時25分着が定刻。時は8時間過ぎるけれど、3時間は消えてなくなる。寝不足で赤い目をして降機するからレッドアイ。緯度の高いデトロイトの冬の朝は夜明けが遅い。8時を回らないと明るくならない。

Quik Parkingのシャトルバスは何度も乗っているはずなのに、また乗り場を忘れている。暗い内からバタバタするのも何なので、ゆるゆると漂うように歩を進める。まあシャトルに乗ってしまえば10分でクルマが手に入る。今回は近々日本市場にも導入されるX-TRAILの北米版ROGUE SVを日産から拝借。2.5ℓ直4にXtronic CVTのFWD。せっかくの機会なので、旬なクルマを試してみたい。国外で日本車に乗ることが日本車の実力を正当に評価する手立てでもあったりする。
輸入外国車をほとんど盲目的に高く評価する人々の多くは、基本的にインフラが整い歴史的にもクルマの走りを追求している豊かな走行環境下で必然的に好評価が得やすい条件で現地のクルマを絶対的に語っているに過ぎない。そこに日本車の経験を絡めて相対評価ができるように努力する者は稀だ。やればできるのに、やろうとしないで限られた事実だけを述べる。事情は理解しているが、それでは先方の思う壺だ。
これに戦後植えつけられてきた自虐史観のメンタリティが加わると、世界中で2500万台近くが買われている事実に見合わない不当に低い評価を自国のクルマに対して下すという、利他的な行為を無自覚にすることになる。ドイツをはじめとする欧州諸国のクルマの多くが魅力的であることは知っている。
しかし、世界各地で乗る日本車が環境に応じて思いの外良く走り、日本国内で固まっている評価とは全然異なる印象を得ることも少なくない。そのことを確認した上での話なら聞けるが、試すことなく日本のインフラや法整備の下での評価ですべてを語ることに違和感を覚えるのだ。
このところの日本車は海外で乗るとこんなに良かったっけ?これなら受けて不思議はないね……そう思える逸材が多いことに気づかされる。

久しぶりの雪景色のデトロイト・メトロポリタン空港辺り。クィックパーキングで受け取ったローグにも雪が降り積もり、一年ぶりの緊張感が何割増かで我が身を被った。まあいくらなんでもこの時間に対応してくれるホテルはないだろうとダウンタウンに向かう。
COBOセンターでプレスパスを受け取ればその後が楽。すでに明るくなった見慣れた建物に歩を進め、いつもの受付に行くと「9時からよ、もう少し待って」時計を見るとまだ20分ほどあった。羽田を発った時に一瞬10日に進んだが、それからはずっと時計は逆戻りのまま延々と9日が続き、20時間以上過ごしても時計はまだ8時間しか進んでいない。

そうそう拝借したローグにはGPSナビが未装備で、頼りは記憶と勘とiPhoneのグーグルマップだけ。宿の在り処探しには難儀したけれど、結局はQuik Parkingから1㎞足らずの空港周辺というオチ。COBOセンターはフォードのプレカンの定席COBOアリーナが2年間の改修(新築)期を経て完成。リバーサイドボールルームなどのデトロイト川寄りの建屋は一新されて随分明るくなっていた。

3時のチェックインまでまだまだ時間があったが、時差ぼけ睡魔が襲いホテルのパーキングで爆睡。その後のホテル滞在中のドタバタはFBで見てください。
NAIASのプレスデイ本番までまだまだ一波瀾ありそうだが、何故か今年は気力が萎えてこない。ようやく回って来たのかもしれません。
Posted at 2014/01/12 03:36:37 | |
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