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伏木悦郎のブログ一覧

2011年02月16日 イイね!

クルマはどこから来たのだろう?

『人は何故クルマに乗るのか?』という我ながら漠然とした質問にたくさんのコメントありがとうございます。当然のことですが、ひとつだけの正解など存在するわけではなく、皆さんそれぞれの胸の内収まる思いがもっともシンプルで的確な答ということになりそうです。

その内容やレベルはともかく、とにかく自分の頭で考えて自分の言葉として表現してみる。それによって多様性に満ちた現実を知ることから先を考えてみるのも悪くはありません。僕が免許を取得した1970年は、戦後から一目散で突っ走ってきた高度経済成長のピークの年でした。

社会に出ていない僕としては、まだあまり実感を得ることはできませんでしたが、家電製品の充実という目に見える変化によって、明日は今日より必ず良くなることを疑いを持たずに信じていたように思います。クルマがわが家にやって来る。その晴れがましい高揚感に満ちた感覚は、実際には現在よりも明らかに貧しかったけれど、未来が信じられるという点で恵まれていました。

もっとも、良い事ばかりではなくて、大気、河川、湖沼、沿岸海域の環境汚染に目をつぶってきたツケは、公害病をはじめとする負の遺産を増大させ、都市も農村部も関係なく荒廃を極めつつありました。僕の育った川崎は、全国でも有数の臨海工業地帯を有し、汚れた空気と泡だらけの多摩川の流れと東京湾のどす黒い眺めと匂いを記憶の中に残しています。よくあそこから戻ったな、今さらながらそんな思いを抱かせます。

いま中国の河川の大半は飲料水の確保が困難になるほど汚染が進んでいるといいます。過去10年ほどで成し遂げられた急速な成長を考えると、かつての日本の環境破壊の倍速の勢いで事態は進行している。人口の多さを考えると近い将来とてつもないしっぺ返しを食らうのではないかと、北京、上海、広州といった大都市を訪れる度に身構えたくなる思いが募ります。

このあたりの経緯は、基本的にはメカニズムの範疇なので、余程見識のある為政者が慎重に采配を振るわないかぎり"歴史は繰り返す"ことになるはずです。急速な成長には必ず影が差す。大都市の人の氾濫を目の当たりにすると、日本のスケールであの国を測ってはいけないと強く思います。

何の話だったっけ? おおっ、そうだ。クルマはどこからやって来た? それは、間違いなく石油の歴史と分けがたい関係にある。石油ビジネスの商業的な成立は、1859年8月アメリカのペンシルベニア州でエドウィン・ドレークという男が採掘を始め、油田を開発したことに始まる。

当時の石油の使用目的は、意外にも照明器具のランプの燃料。灯油という言葉がここに結びつくのか……そもそも石油という言葉も意味深で、巨大な岩石に染み込む形で存在している。地底深くで強い圧力に晒されているので、その固い岩石状の油田に穴を開けると勢いよく自噴するんですね。

商業的に成立する油田はベラボウに大きいのでイメージが湧きにくいですが、埋蔵量の半分近くになると圧力が弱まり自噴しなくなってしまう。そこに水などを圧入してさらに取り出すことも可能ですが、それはコストとのバランス次第。採掘が終わった油田にもまだ半分近くの原油が残っているということで、厳密な意味での枯渇ということにはならないようです。

この19世紀中頃のアメリカで始まった石油の採掘の目的は灯油で、それまでの鯨油に代わるクリーンな照明を可能とするところから注目されたといいます。この頃の日本は幕末で、ペリーが浦賀にやって来たりしてますが、その目的は捕鯨船の補給のための寄港を求めたものでした。当時のアメリカ人は鯨を明かりを灯す鯨油を採取するためだけに乱獲していた。

生きる糧として鯨を食べる文化を持っていた日本人からすると、なんちゅうまねすんねん…ですが、これも文化の衝突の範疇でしょう。僕らの世代は小学校の給食で鯨を当たり前のように食べていた世代です。今では高級珍味の鯨のベーコン。僕らは飽きるほど食べさせられ、後に一般的な豚肉のベーコンを見てこっちが本物? ショックを受けたことを覚えてます。

あの頃の動物性タンパク質といえば、豚肉がごちそうで、ビーフステーキなるものを口にしたのは20歳を過ぎてから(1972年以降)だったと記憶してます。小学生の頃ハンバーグ? ないない。

おじさんの昔話はほんとうに長いね。1973年11月に突如発生したオイルショックは、ガソリンスタンドというまさに現場で経験しました。ピークまで上りつめてクラッシュ。大体20年周期で日本はそういう目にあっているみたいです。イケイケの80年代の結末としてのバブル崩壊とかね。

で、クルマの話。石油王として有名なロックフェラーによって、アメリカの石油産業は第二次世界大戦までは世界一の産油国であり、自国生産の勢いが衰えた後も第一次オイルショックまでは世界の石油資源の大半を牛耳っていました。

アメリカにモータリゼーションが興る必然がここにありました。当初灯油から始まったオイルビジネスは、エジソンの電球の発明によって萎みかけますが、石油のエネルギー資源としての可能性に触発された人々の中に1876年にオットーサイクルを発明したニコラウス・オットーや、アイデアを元に自動車を相前後して発明したゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツという、現在のダイムラーベンツの創始者となるドイツ人脈が登場します。アメリカでのオイルビジネス誕生のニュースがきっかけだったのでは?

ガソリンというのは、実はクルマを走らせる以外にあまり使い途のない物質です。テキサスやカリフォルニアの大油田の発見によって大量の原油が産出されるようになると、一定量の必然として精製されるガソリンはそれこそ水より安くて豊富な燃料ということになった。ヘンリー・フォードの大量生産システムも有り余る燃料の存在に後押しされたと考えるのが合理的かもしれません。

現在もなお、世界中に7億台ともいわれるガソリン自動車が存在しますが、それを可能にしているのが他に使い途のないガソリンです。原油生産が行なわれているかぎり一定量のガソリン供給は可能で、コックが完全に閉じられるまでは価格変動以外に危惧することはないかもしれない。

内燃機関に限って言えば、天然ガスやメタンハイドレイドなどからGTL燃料を精製することも可能で、ディーゼルの寿命はさらにずっと先まで伸びることも考えられている。温室効果ガスの問題は残りますが、モビリティの確保については悲観する必要はなさそうです。

でも、いままでのように湯水の如くガソリンや軽油を続けていいものか? 石油資源がピークアウトに向かっていることが明らかになった今、20世紀初頭の他に使い途のない燃料がドバドバ生産されことになったのと同じ状況って考えられるでしょうか。あの時のガソリンに代わるエネルギー源は何? それが分ると、未来はパアッと明るくなるかも。

ま、それはともかく、僕はやっぱりガソリンエンジンで走るクルマが好きだなあ。FFをクルマの最終形と考えるのはどうしても納得が行かない。合理性なんかより、この身にフィットするFRがいい。もちろん自動変速なんていう楽しみを奪う高度なメカも願い下げ。タイヤの話もちゃんとしないといけないと思いますが、エンジンとタイヤのパフォーマンスが、好ましいレベルでバランスしていて、その=(イコール)のところに人間がぴったりはまっている状態がいい。

トップパフォーマンス? それはクローズドサーキットで思う存分競い合えばいいじゃない。若い時分に経験したコンペティションの刺激は、今もこの身に残っている。あのカタルシスを路上で求めようとするからおかしなことになる。

僕は、やっぱり10㎏/psを切るぐらいのパワーウエイトレシオで1000㎏程度、デザインと質感に工夫を凝らしたFR/スティックシフトがいいなあ。燃費は20㎞/ℓ、トップスピードは160㎞/hがカバーできればいい(半分嘘)。エンジンの可変技術導入は当然で、1300㏄で通常は100ps、パワーモードでは130ps/9000rpmぐい行ってもらいたい。やっばりね、35年前のウェーバー45DCOEツインチョークでリッター130馬力を実現していたKB110クーペ(レース用フルチューン)に戻るのかな。

皆さんが思い描く理想のクルマはどんなですか?

Posted at 2011/02/16 22:06:39 | コメント(12) | トラックバック(0) | 日記
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