あらためて、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げるとともに、命を落された方々のご冥福をお祈りしたいと思います。
それにしても、初めてその実像を目にすることになった津波の脅威は、想像を遥かに絶するものでした。ツナミの現実をこれほど克明に生の映像で見るのは、恐らく人類史上はじめてのことではないでしょうか。何度見ても、その圧倒的な破壊力と静かで無表情で何の感情も露わにしない自然の力は、殺意もなければ被害者が恐怖を意識する暇もないという意味で空恐ろしいと思えるものでした。
その結果としてある福島の原発の災害は、人知の限界を呆然と受け入れざるを得ないという悲しい現実によって知らされたという点で衝撃的でした。現代都市文明を当然のこととして享受してた頭は、石油に代わる高いエネルギー源というこれまでの効率主義の延長線上で原子力を捉えていました。
人類の叡智によって何重もの安全策で守られ制御された科学の粋……そう聞かされていたような気がします。結果論は事態が進行中の今は意味がないので止めましょう。ホリエモンのつぶやきにあった
大前研一さんのweb tvの解説で、地上波tvの特番のほとんどが事実の外縁をつつくだけのニュースショーの類と分かってしまうと、同じメディアで仕事をする者としてやるせない思いばかりが募りました。
昨夜の静岡県東部の震度6強の地震には、これは日本自動車産業狙い撃ちか?東富士に研究所と関連会社を持つトヨタの知人( 12日に気遣いのメールをもらっていた)にメールで確認すると、家族を震源近くに残す彼はそういえば本社に単身赴任だった。その無事を確認して、「本当に嫌んなっちゃうね」メールで互いに溜息をついた。
昨日、所要で町田市役所から駅周辺を歩き回ったが、店舗はどこも照明を5割方落とし、道行く人もなんか重い。JR横浜線は終日運休で、小田急も夕方近くまで動く気配がなく。駅の照明も消えていた。駅周辺には高校生が被災地向けの募金に声を張り上げていた。駅裏の家電量販店に行くと、懐中電灯やらラジオやら乾電池などの非常時用品が軒並み売り切れとなっていた。聞けば近所のスーパーも押すな押すなの盛況で、群集心理で先を争って生活用品を買い求めていたという。
皆が余分に買ったら、標準的なデータを基本に生産し搬入する供給に滞りが出る。少なくとも、被災地ではないところでは、慌てて先を争うこともない。余裕のある人が買い占めれば、そうでない人が手に入れられにくくなる。余分に買うという余計なことが、巡り巡って自分に跳ね返る。『人々の走ろうと思う欲望の総和が渋滞を生む……』どこかの偉い哲学者が言ったというが、集団化した人の心理は個人とは別になるようだ。
僕らの世代は、オイルショックのパニックを知っている。情報が今ほど密ではなかった時代。ちょっとしたデマがあっという間に日本中を覆った。ガソリンスタンドの現場で経験したあの光景は忘れられない。普段は滅多に訪れないお客が続々と現れ、公平に10ℓの販売をお願いすると怒鳴られた。
トイレットペーパーが店から消えたのも、今から思えば漫画だった……そうじゃありませんでしたね。あの時とまったく同じことをやっている。余分に買い占めたら、工場だって物流の運送業だって回らなくなる。実はオイルショックの際もガソリンの生産に滞りはなく、原油タンカーも順調に運航していたのだ。
それぞれの地域で需要と供給がバランスするようにロジスティックスが組まれている。被災地が逼迫するのは供給源が断たれ需要に大きな変化がないから。被害の及ばない地域で過剰消費したら、被災地に回す余力も削がれてしまう。だからといって、ほとんど影響のない西日本で必要以上に消費を抑えたら、供給側のマイナスが嵩んで日本全体の力が落ちて行く。事態は始まったばかりで、復興には長い時間がかかり、これまでとはまったく異なる都市構造や全体システムの構築を余儀なくされそうだ。
余力がある人が手を差し伸べるのを抑える理由はない。助け合いの精神で募金を送るのもこういう時には必要だ。交通網の乱れや電力供給の地域的なアンバランスもしばらくは覚悟する必要があるだろう。いま生死の境にいる人々はもちろん気掛かりだけど、具体的に手立てがないのに気持ちで追い立てても動ける人は限られている。一人旅をすれば分かることだが、身一つ動くだけでもけっこう厄介だ。
大量に物資を運ぶには、人とクルマと走れる道がいる。いずれも限られていることを考えれば、感情に負けて声を荒らげることもなくなるはず。ここは現場で奮闘しているプロに期待する他はないでしょう。いたたまれない気持ちは皆同じ。でも、ここはできるかぎり平常の営みを守ることが被災地ではないところにいる者の成すべきところ。自動車は日本全国で部品をはじめとするロジスティックスで動いているので、被災地でなくとも生産に滞りが出てしまう。見えないところで日々の糧がマイナスに転じている。
震災の影響を受けない日本人は限られるかもしれないけれど、とりあえず日常の業務に支障のない人はこれまでどおりというかそれ以上にバリバリ働いてもらいたい。マイナスパワーはとかく人に強く影響を与えるけれど、いま必要なのは牽引力のあるプラスの力。これから厳しさが増すのは間違いない状況だけど、負けるわけには行かないじゃないか!!くれぐれも余計なことをしないように。大変なのは、いろんなことが明らかになるこれからだもん。今は何もしないで身体を鍛えておくのも悪くない。
Posted at 2011/03/16 22:53:53 | |
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