
Salesforce.comは、世界最大のCRM(顧客関係管理)ソフトウェア提供企業。クラウドコンピューティングをベースに、ソーシャルテクノロジーを企業で活用するためのクラウドアプリケーションとプラットフォームの提供を主たる事業内容としている。
デジタルネイティブからはほど遠いアナログおじさんにとってもっとも手強い世界の話だが、東日本大震災の約2ヶ月後の2011年5月23日に、トヨタ自動車がセールスフォース・ドットコムとクルマ向けソーシャルネットワーク「トヨタフレンド」の構築に向けた戦略的提携に基本合意するという発表の機会にその存在を知った。前年にトヨタ自動車トップに就任した豊田章男社長とSalesforce.comのマーク・ベニオフの個人的繫がりを強く印象づけた電撃的な提携に、雲を掴むような話ながら何やら面白い話が進んでいるのだと直観的に理解した。
あれから3年半が経過したことになるが、その後フォロー不足で経緯は承知していなかったが、数日前に某新聞系サイトからのメールでSalesforce.com World Tour Tokyoなるイベントがあり、その締めくくりとして豊田章男社長とマーク・ベニオフCEOの特別対談の聴講する案内があった。数千人規模の聴衆を集めるというイベントのスケールもさることながら、どんなことが語られるのだろう。興味が湧いて応募することにした。
当日はいくつものセッションがあったが、基本的に疎い世界なので分かりやすい対談だけに留め置いた。5時20分からの開演ということで5時には会場入りしたがすでに結構な席の埋まり具合。座って待っていると時間となって音楽とともに映像が動き出したモニターを注視しているとYOSHIKIの文字が浮かび上がり、X-JAPANのライブの模様が映し出された。「?」でいると、本人が現れてピアノに向かって鍵盤を叩き始めた。

ポカン。2曲演奏した後でマーク・ベニオフが登場。ひとしきりあった後、豊田社長が招き入れられ、そこから予定の40分を超えるトークセッションが続いた。 当日のイベント録画は以下のサイトで視聴できるので、興味がある方はご覧ください。http://www.salesforce.com/jp/events/SWT-Tokyo-live.jsp?d=70130000000i2zG&internal=true
しかし、このリーディングカンパニーの総帥のある種のフットワークの軽さ、親近感は、あまりに分かりやすくて未だに違和感が先に立つ。彼をタブーな存在にしてはならないと決めたのは、トヨタのトップガンがアイフェル山中で不慮の最後を遂げた1月後。本社では恒例であるという『技術者の一日』なるイベントでの奔放な振る舞いを目の当たりにして、表と裏を知った。その社内に於けるスーパーパワーぶりを垣間見たことが、親しみで接してはならず、公には絶えず批評の対象として身をさらす覚悟を求められる人物だと肝に銘じさせた。
他意はない。もちろん悪意もない。ただ『売り家を唐様で書く三代目』になってしまって喜ぶ者は一人もいないと心から案じている。これを読んで気分を害する人のほうが多いのかもしれないけれど、彼をタブーにしてNOが言える者がいなくなることの恐ろしさを思えば何ということはない。

Posted at 2014/12/07 00:09:09 | |
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