
今年もっとも印象に残っている旅の一コマを。俺の場合、徒党を組むのが苦手で、つい単独行動が多くなりがち。よって、普通の旅行がアドベンチャーになることが多いのですが、今年の一番は北京でした。
4月の北京オートショーの取材旅行最終日。地下鉄2号線の阜成門(ふーちょんめん)駅近くのホリデーインで、早朝帰国するcarview動画班(といっても二人ですが)を見送りに6時半にロビー。気をつけて…ということで別れて、さあどうするか。
フライトは15時30分。12時半にホテルを出れば間に合う計算だ。よしっ!万里の長城に行こう。ガイドブックによれば、地下鉄で三つ目の積水潭(じーしゅいたん)駅に行き、最寄りの徳勝門バスターミナルで『空調豪華快車』に乗って約1時間とあった。
駅名とバスターミナルの名前だけをメモして、旅装一式をホテルの部屋に置いて出掛けた。バスターミナルは簡単には見つからなかったが、運良く英語が話せる女学生と出会い事なきを得た。そこにいたバスに乗ると、出発15分前。楽々座れたが、発車時刻には立ち席もでる満員状態。俺以外は全員中国人だった。
バスは約70分で万里の長城の見物の名所、八達嶺バスターミナルに着いた。時刻は9時少し前。余裕を見て10時にはここに戻ってくることに決めた。強い風か吹いて猛烈に寒かったけれど、八達嶺で見るGREAT WALLは壮観だった。
雰囲気を味わったところでいそいそバスの発着所に戻る……と、なんだか様子がおかしい。北京行きのバスが見当たらない。ちょうど到着した先ほどと同じバスの運転手に身振り手振りで聞くと、俺の腕時計の12時を指さす。次のバスの運転手も同じ反応。もう真っ青。
考えてみれば、万里の長城は行けば軽く半日以上は時間が潰れる観光名所。「万里の長城は、日本人は見る所と思うが、中国人は登る所だと考えている」午前中に北京に戻るバスを出しても乗る人はいない。
そんなことガイドブックには書いてなかったぞ。後の祭りだが、そこでバスの運ちゃん、むこうにいる怪しげなオッサンを招き寄せた。白タクだった。ポッケには虎の子の500元しかない……のを見透かしたように、500元寄越せという。
往路は地下鉄2元(約30円)とバス12元(約180円)の計210円ほど。これに八達嶺入場料45元(約675円)が掛かっただけである。北京のホテルから空港までの100元は何としても死守したい(というほどでもないが)、ということで値引き交渉。これに乗らないと帰れないという弱気が邪魔をして、400元って言っちゃった。
やれやれということで、「急いどくれッ!」多少英語と日本語を話す白タクおやじをせっついた。北京から60㎞も離れたところで張ってるとは。たまには俺みたいなカモがいるようだ。
しかし、400元は彼らの月収に迫るはず。完全にやられた……と悔やんでいると、来た道の途中で『戻れ』工事を管理する公安が立ちはだかった。
下ってきた八達嶺パーキング付近からここまでは数珠つなぎの渋滞だったぞ。仕方なしに戻ると、ぴくりとも動かなくなった。痺れを切らして反対車線を強引に行くクルマ多数。
原因は峠付近の長城をくり抜くトンネルが1車線しかなかったから。そんなアホな…である。ドキドキさせられたけれど、なんとか小一時間でクリア。高速道路に乗ったら12時少し前にホテルに戻ることができた。
その前日には、同業者がツアーを予約して連れ立って八達嶺などを巡ったらしいが、果たして彼らはこういう生々しい体験を積んだであろうか。好きこのんでするものではないけれど……。
Posted at 2008/12/22 02:10:40 | |
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